花筵シヂマ
2026-05-10 08:00:00
46806文字
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情痴の獄 序章~六(序章修正・六だけ新作)

吸血鬼三期父と父が水木をめぐり修羅場になる話





 翌日、早速、矢倉の父の勤務先の運送会社に向かうことにした。
 矢倉の父の名を出すと、社員は怒るどころか心配そうに情報を提供してくれた。
「矢倉さん、勤務態度も良い人だったから心配してるんです。どこかで崩落事故とかに巻き込まれていないかって」
 事務員いわく、どこで行方知れずになったかが把握できないらしい。当時の配達ルートを教えて貰ったが、山間部のトンネルを通るルートが気にかかった。
「このトンネル、確か数か月前に崩落事故があったとニュースで見たんですが、それより前に行方知れずに?」
「そうなのよ、うちの社員も皆迂回ルートを進んでるくらい大きい事故で……これに巻き込まれているはずがないと思うんだけどね」
 山は妖怪の領域だと、散々、ゲゲ郎たちに聞いて来た。
 なら何らかの理由があってこの山の妖怪に巻き込まれている可能性もある。水木は礼を言い、タクシーに乗り込んだ。
 二日に分けて配達ルートを回ったが、やはり気掛かりなのはトンネルだ。
 崩落したというトンネルの前には通行禁止の立て札が置かれ、立ち入ることはできない。
「お客さん、その先の道は別の迂回ルート進めば行けますよ」
 タクシー運転手が運転席から声を張り上げている。
 水木はそれでも背伸びして薄暗いトンネルを覗き、傍らの山に視線を向ける。
 半妖のせいか、ほんの少しぐらいは妖気が分かる。
 新緑の木々を揺らす森の奥に、何かの気配を感じる。流石にここから山に登るとなるとタクシーは邪魔だろう。
「ありがとうございます。ここまでの料金を払いますね」
 多めに運賃を渡せば、運転手は困惑しつつも引き返して走り去ってくれた。
 腕にジャケットを抱いたまま、道路沿いの森林に足を踏み入れた。
 まだ活きの良い蝉の声が姦しい。山を歩いていると否応なしにあの村を思い出す。
 立ち入ってはいけないと言われた禁域に足を踏み入れた時も、こんな風に酷く汗をかいていた。
 頭上を見上げると眩暈をするほど天が高い。
「トラックごとこんな山に入ったのか……?」
 ちんけな妖怪だと親父殿は言っていたが、足場の悪いこの森に巨大な車体を隠して消えるなど無理に等しい。
 顎を伝う汗を手の甲で拭い、先を急ぐ。流石に暗くなってしまうと、夜目が利かないため帰れなくなる。
 何より眼鏡が邪魔だ。自分の汗で滑る上に息で曇る。親父殿には顔をしかめられるだろうが、外すことを赦して欲しい。
 眼鏡を胸ポケットに入れて顔の汗をハンカチで拭う。一息つこうと鞄から水筒を取り出した。
「なんだそりゃ、いいもん持ってるな」
 笠を被った和装の少年が盆に豆腐を乗せてこちらを見ている。長い舌を出したその少年妖怪は、水木を見上げていた。
「豆腐小僧!」
「おや、あんたは水木の兄さん。前に鬼太郎の家にいた人じゃないか」
 慌てて豆腐小僧の口を塞いだ。誰が聞いているか分かったものじゃない。
「悪いな。訳あって今は身を隠してるんだ。そうだ、最近の鬼太郎について何か知らないか?」
 豆腐小僧はつぶらな瞳を動かして何度も頷いた。
 無害な妖怪だということは何度も顔を見て知っている。元々山の産まれの妖怪なので里帰りしているのだろう。
「最近の鬼太郎はどこにいるかは分からないんだ……噂では、アンタ絡みで親父殿と鬼太郎が喧嘩して、鬼太郎が大怪我したって聞いた」
 血の気が引いた。我が子のように慈しんできた鬼太郎が、怪我をした。それも水木のせいで。
 狼狽する水木に、豆腐小僧は申し訳なさそうに続ける。
「みんな、アンタのせいとは思ってないさ。でも親父殿は正気じゃない。鬼太郎たちが知恵を出してあの恐山の妖怪病院に親父殿を閉じ込めたそうだが、今やあの病院は親父殿の城さ」
「ゲゲ郎の城……?」
 豆腐を持つ手が微かに震える。思い出すのも苦痛だというように豆腐小僧は声を顰める。
「アンタは知らないだろう。親父殿は岩子さんと出会う前は手のつけられないおとこだったんだ。その間に山という山の妖怪と知り合い、あらゆるツテを持ってるんだ。妖怪病院の妖怪なんざ、親父殿にしてみりゃ子供も同然な相手もいる。……水木の兄さん、どうしても親父殿の元に戻る気はないのかい?」
 聞こえるはずがないのに、背後から迫ってくる下駄の音があるように思う。からん、と軽い音のはずなのに一歩が重い。
「何が都合が悪いんだい……? 親父殿の後添いになる決意をしたんだろう?」
 豆腐小僧の幼い声が徐々にゲゲ郎の声と重なる。
 何が、許せないだと?
 水木は無意識に奥歯を噛んでいた。
 見開いた眼球が乾くのも厭わない。
「何もかもだ。俺はゲゲ郎の後添いはやめる。それに」
 水木はポケットから眼鏡をかけた。激しく暴れていた心臓の音色が小さくなっていく。
「別の良いおとこを見つけたんだ」
そういえば己の胸がすく気がした。冷えた風が水木の汗で濡れた肉体を撫でていく。
 豆腐小僧は落ち込んだように、「そうかい」と呟いた。
「水木の兄さんは案外、狡猾なんだね」
「そうかもな」
「それで、どうしてここに?」
 本来の目的を思い出したように水木は話し始めた。先程の重苦しい雰囲気は嘘のように、豆腐小僧はこの森の異変を教えてくれた。
「トラックとやらは見てないけど、確かに同じ人間が頻繁にここに来てると噂は聞いたことあるよ。でも確かに、最近は来てないかな?」
「どこに来てたかわかるか?」
「この先の湖の近くの木を見てたとか」
「ありがとう、恩にきる」
 豆腐小僧は笠を深く被り、いつもより言葉少なく去っていった。逃げるようなその背は草むらへ消えた。
 ゲゲ郎と仲違いしていることをよく思わない妖怪も多いのだろう。
 もっと、言い方があったかもしれない。あれだとまるで尻軽だ。
 豆腐小僧が他の妖怪に水木のことをどう伝えるか急に不安になってきた。
 冷えた汗を拭いながら黙々と坂を上る。無駄な思考をしないためだ。
「なんだ、この匂いは」
 歩を進めるうちに、何かが腐ったような臭いが鼻孔を突いた。
 ゴミというよりは獣臭い。
 脳裏を哭倉村の惨状が過った。あの生々しい鉄分の臭いとはまた違う。肉が腐ったようなそんな臭いだ。
 密集する草木をかき分けて身を突き出した。黒々と棚引いた影が水木に被さる。
「う……ッ」
 腐臭がより深さを増した。眼球を小さな針で刺すような痛みが走り、思わず目を閉じてしまう。
「隙を見せれば首をとられるぞ、水木殿」
 黒影に、囁くようにそう言われて胸を押された。
 目の前に立つおとこのインバネスコートの裾がはためいている。
 この光景は見覚えがある。
 あの時は褪せた縹色の着流しをまとった後ろ姿だった。
 靡く髪も白ではなく茶色い。
「親父殿……
「妖怪と接触する気配を感じたのでな。君は思いのほか、隙だらけに見える」
 嘲笑するような笑みさえ嫌味に感じない。
「よく見よ、随分と肥え太っておる」
 水木は身を乗り出し、親父殿の向こうに佇む黒影を見た。それは巨大な老木だった。木の正面には湖がある。
 嫌な記憶が目覚めそうになる。
 大人の男が腕を回しても届かないであろう幹と、柳のように細く伸びた枝が触手のように蠢いている。その枝に、黒い何かが絡みついていた。
 よく見ようと目を凝らすが、親父殿が手で水木の目元を覆う。
「見ぬほうが良い」
……この木が妖怪の類なのか?」
 親父殿は無言で頷いた。見渡す限り生身の人間はいない。なら、依頼人の父はもう————
 行き場のない怒りが手のひらを這う。
「じゃが、本体はコレではないようじゃな」
 疑問を口にする前に親父殿の背に蔦が伸びる。
「おい後ろ!」
 親父殿は素早く片手をあげた。黒い蔦がその腕に絡みつく。
 白い皮膚に黒い蔦が見る間に食い込み、いつも余裕のある表情をしている親父殿が眉を寄せた。
 何か武器はないか。
 素早く視線を滑らせるが枯れ木しか落ちていない。
「やれやれ……
 親父殿が蔦を掴み、乱暴に引きちぎる。腕から血が溢れても気にもしていない。
 向き直ったかと思うと暴れ狂う蔦を捕まえて、小さく息を吐いた。
 ばちばちと火花が散り、青白く輝く親父殿は素敵な笑みを浮かべる。電気を流された木は、黒く焦げつき、蔦を地面に叩きつけた。そのまま枯れ木のように微動だにしなくなり、枯れた葉を落としている。
「やったのか……?」
 恐る恐る親父殿に近づくと、親父殿はどこか一点を見つめていた。
「おい」
 無遠慮にもう一度呼ぶ。しかし親父殿は微動だにしない。
 焦れて肩を掴むと、親父殿は真っ直ぐに指を指す。
「童じゃ」
「何だと?」
 指の先、枯れ葉の折り重なる下に、確かに白い手が見えた。水木の血の気が一気に引いた。子供やおんなが犠牲になるのは耐えられない。いつしかの幼い鬼太郎の影が重なり、足が縺れながらも駆け寄る。無我夢中で枯れ葉を掻き分け、やがてその手が止まる。
「き、……たろう?」
 茶色い髪の子供が膝を抱きしめ、丸まっている。
 しかしその浴衣は、ゲゲ郎と同じく縹色。
 伸ばした手が、少年の頬に触れた。
 少年の睫毛が震えたかと思うと、赤い眸が水木を宿す。
「大丈夫か……?」
 当たり障りのない声をかけると、少年は顔をくしゃりと歪めた。
「母上!」
 水木のからだに抱きついた少年は、わんわんと泣き始めた。見目は鬼太郎なのに、取る行動は全く違う。
 鬼太郎じゃないのか。
 伸ばした腕で抱きしめてやると、なお一層、少年は腕を締める。
「会いたかったぞ」
 そう低く唸る、おとこのような声が耳朶を打つ。
 まるで抱きしめているのが子供ではなく、〝あの〟おとこであるような。
 思わず勢いをつけてからだを突き放した。あどけない少年が水木を見上げている。
「あ、……すまない。知り合いに似ていたから」
「大丈夫じゃ……儂も母上と間違えたのじゃ……
「お前の母はどこに……
 問いかけてから荒れ地を見渡す。どう考えてもここに他の人間の姿はない。それが答えなのだ。
「水木殿。その子は人間じゃ。案ずる必要はない」
 木の周辺を散策していた親父殿が戻り、水木の肩を軽く叩いた。
 親父殿がそう言うなら妖怪の類でも——ゲゲ郎でもないのだろう。
 突き放して出てきたのは自分自身だ。
 振り払わなければ。
「どうする。連れ帰るか?」
「連れ帰るって、あの屋敷にか?」
 思わず少年と親父殿を交互に見てしまった。
 親父殿が人間の子を迎え入れるなど考えられない。
「調べたところこの木は本体ではない。こやつの親がおるはずだ。そんな場所に、童を置いておくほうが危険ではないか」
 正しい判断だろう。
「だが……
 少年はどうするだろう。得体の知れないおとこ二人に付いていきたいというだろうか。
 さっきは衝動的に抱きしめたのに、今になり動揺が腹に渦巻く。
 正直、少年には断ってほしい。
 なぜだか切実にそう思った。
 少年は下から乞うように水木を見上げた。
 充血して濡れた赤い目がやけに、ぎらついて見えてしまう。獣が闇夜に隠れて喉笛を狙うあの飢えた眼差しだ。
「母上を探したい。儂を一人にせんでほしい」
 水木の袖を掴む小さな手は、人とは思えないほど強かった。


 屋敷につくなり、少年のための部屋の片づけに追われた。
 幸いにもシーツも布団カバーも既に洗濯済みなので簡単な片付けて済んだ。
 少年は天井画の一点をずっと見続けていた。水木もこの屋敷の部屋の内装の壁紙や天井画の精巧さに何度も見惚れてきた。
 しかし少年の視線は羨望などではなく、もっとほの暗さに満ちた何かだった。
 嫌悪感、というのが正しいかもしれない。
「気に入らないか?」
 少年は目を伏せ、口角を緩めた。年相応には見えない。
 しかしすぐに子供らしく眦を下げて屈託なく笑った。
「立派な部屋で目が回るのう! こんな柔らかいベッドは初めてじゃ!」
 まるでそうしないといけないという風にベッドの上に飛び乗り、わざとらしく跳ねている。
 微笑ましい光景なのに、なぜか冷汗が止まらない。
 先ほどの木の妖気に当てられたのだろうか。
 何か、言わなければいけない気がするのに声が出ない。
 奪われたように、声帯が機能しない。
「楽しみじゃなぁ……ここでの生活」
 寝転がった少年が肘をついて猫のように見上げてくる。
 当たり障りのない話題を探り、ようやく引き当てる。
「そういえば……君の名は?」
 少年は天へ視線を流す。確かここの天井は、天使のくせに羽根が黒かったはずだ。
 前に親父殿に名前を教えてもらったはずなのに、思い出せない。
「タナカ」
 歪んだ片目は水木をあざ笑っているようだった。
 会話を妨げるようにノック音が響く。張り詰めていた緊張の糸が急に切れた。
「もう話は済んだか。すまんが手当を手伝ってほしい」
 左手を庇うように入ってきた親父殿はいつもより覇気がない。
「そうだな、すまないまた来るよ。田中くん」
 ドアが閉まる前に、田中の姿は天蓋の向こうに消えた。
 水木を待ちもせずに親父殿は先に進んでいく。そんなに痛むなら早く呼んで欲しかった。
 黒い羽織を身に着けた親父殿は腕を庇いながらも追いつけないほど速い。
 いつもお茶を飲む談話室ではなく、別室の戸を開けた。
 円卓の前に座すなり、深く腰かけて倒れるように持たれている。だらしなく伸びた腕がまるで羽根のようだ。
 羽根。
「あの部屋の……
 思わず呟いていた。
 不意の言葉でも親父殿が聞き逃すはずがない。
 振り返った親父殿は長く伸びた茶色の髪が柳のように顔に被さっていた。
 赤茶色の双眸が艶を失い、今にも割れてしまいそうだ。
「いや……何でもない。それでもアンタがそうなるなんて、相手は相当妖力が強い相手だったのか?」
 枯れ木とはいえあれは本体ではないと言う。
 親父殿は着流しの袖を捲り、蔦に絡まった腕を曝け出した。
「うっ……!」
 あまりに痛々しい傷に言葉を失う。
 細腕に蛇が絡んだような赤紫色の火傷の痕が残っている。今にもその傷跡が蠢き、親父殿の腕を締め上げていきそうだった。
「どうやらあの木の役割は厄介者を追い払う役目だったらしい。奴は立派に役目を果たしたわけさ」
「治るのか?」
「どうだろうな。この傷に残った呪力が妖力を吸い上げているようでな……
 残念そうに眉を寄せている。助けを求められたわけではない。だが、おとこの眼差しが水木の善意をくすぐる。
 隙を見せないおとこが翳りある横顔で困ったように浮かべる微笑ほど何とかしてやりたいと思うものはない。
 そもそも、水木は絆されやすかった。
 だから何年もゲゲ郎と褥を共にしてきたようなものだった。
 それに、尻軽ではない。絆されたが自分で選んだ道だ。
「アンタ、吸血鬼なんだろう? なら……俺の血を飲めば妖力が増したりしないのか」
 親父殿の目がこぼれ落ちそうなほど大きくなった。
 てっきり求められていたと思っていた。思い出したように羞恥心が蒸気機関車のごとく湧き上がり、頭から煙が出そうだった。
「あ、いや、すまん、いつも妖力をもらっているから」
「ふ、ははは……水木殿は誠に隙だらけだな」
 体を逸らしてまで笑うので水木は徐々に萎縮していった。
「もういい、言ってみただけだ!」
「そう憤慨しないでおくれ。なら頂こうかな」
 両腕を広げて誘われる。まるで花が蜜を吸えと誘っているようだ。さながら、水木は蜂だろうか。
 歩み寄る距離が縮まっていく。妙に早い鼓動は制御できないほど激しく脈打っている。おとこの股の間に膝をついて、身を寄せた。水木のシャツのボタンが外され、首筋を手で撫でられた。
 背に回された腕がやんわりと水木を抱き寄せた。
 濡れた吐息が頸にかかる。
「君は、まるでわざと罪深く生きたいようだね」
 心臓の裏側を爪で引っ掻かれた気分だ。
 生温い舌が首筋をなぞっていく。冷えた歯が皮膚に食い込むその感覚に腹の奥が熱くなる。手のひらに生汗が滲み始め、握り込んでもそれは消えない。
 瞼をやんわりと下ろした。その先に、あの赤い片目が恨みがましそうに睨んでいるのが見えた。
 ーーーーどこかで悦んでいるんだ。
 その通りかもしれない。
 緩んでいく口元を止めることは、もうできなかった。



 薄暗闇が支配する空の真下、一匹の妖怪が急いで歩いていた。何度も注意深く周囲を観察し、やっとのことで目の前の掘立て小屋に入って行った。
 小屋の中にはおとこが横たわり、その傍らに黒髪のおんなが座っている。囲炉裏の炎が赤黒く燃え、時折、弾けるような音が響く。
「鬼太郎!」
 涙を溜めて部屋に飛び込んだ少年妖怪は、眠るおとこの傍らに座り込んだ。
「水木さんを見つけたぞ! 例のおとこと一緒だ!」
 眠っていたおとこは、その片方の瞼を静かに開けた。
「鬼太郎……無理しないで……
 おんなは泣きそうに鬼太郎の手に触れた。
「大丈夫だよ、ねこ娘……そうか……豆腐小僧、ありがとう……
 枯れた声でそう言い、安堵の息を吐いた。
「水木さんが無事でよかった」
 そう口にしているのに、鬼太郎の表情は晴れない。
「何か、心配事でもあるの?」
 ねこ娘が涙を浮かべてそう聞いた。
 鬼太郎は浅いため息を吐いて、囲炉裏に視線を逸らす。
 「父さんが、何かする気がして怖いんだ……
 パチン、と跳ねた囲炉裏の火に、鬼太郎は痛ましく眉を寄せた。