nekosuimidori
2026-04-20 22:02:06
13128文字
Public
 

なみだなみだ不思議なるかな



 なんで俺だったんだと、泣いて喚いてしまいたい自分が確かに此処にいた。父も母も失って、彼らが生きれなかった分の先の道を背負うだけでもコルムにとっては歩みが遅くなるほど重かった。それでもなお里と皆の命を背負い救うなんて、いっそ潰れて粉々に砕けて消えてなくなってしまいそうなほどだった。
 それでもウツシが、己の最愛が、憎み続けた自身をそれさえも己の一部分だと受容してくれるのであれば。赦さないことを許すと言うのであれば。
花に嵐の例えもあるが、この身に宿る焔にはそれを掻き消す嵐はまだ訪れていないのだろうと。
 今この時くらい、そう思ってもいいだろう。
 ほんの少しだけ溶け始めた心を抱えて、瞼の裏に止まらぬ雨で濡れた瞳をゆっくりと隠した。