Skorca
2026-02-28 23:21:42
6108文字
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語彙トレ2026(2月後半)

Blueskyで参加させていただいている語彙トレ2026の投稿作2月後半まとめです。

語彙トレの詳細については主催のKiri様の記事をご覧ください。
創作365日語彙トレーニングことはじめ

カクヨム小説家になろうにて公開中の下記作品の世界観で好きに書き綴っています。

禁書屋の常連客
遺形の承継者
親愛なる我が従弟殿 ~遺形の承継者 番外編~
ある空隙についての物語

最終ページに各話の登場キャラクターと関連作品の一覧があります。


欺瞞(2/20)

「御伽話とやらは書けたのか」
 現れた皇女は開口一番、そう尋ねてきた。
「おおまかにはな」
 気乗りしない様子でドレイクは羊皮紙の束を彼女に渡す。皇女はすぐさま読み始めた。
……聖者。ルーシが?」
 胡乱な顔を向ける彼女に、ドレイクは肩を竦める。
「近いことは言われていただろう。あの外見だしな」
「お前も笑っていたではないか」
「ああ。そういう虚実あるものの実態を包み隠し、虚像に手を加えてあいつとニームを切り離す。聖者と、異質な化け物とに。エルムが動かぬ過去に囚われないためには、その欺瞞が必要だ」
 皇女は皮肉げに笑った。
「であろうな。真実は幸福を招かぬ」


---解説---
 後世の人々がルーシ(バルサム)ばかりを神聖視している理由はこのドレイクによる仕込みです。ルーシからすればお前何やってんだ案件ですが、ドレイクの方が彼に言いたいことがたくさんあるのですぐに黙らせることでしょう。
 もっとも、ドレイクの末裔であるリツェア帝国は、ルーシの末裔であるエレカンペイン王国ばかりが脚光を浴びるのも面白くないので、自分たちの祖を「教典を記した賢者」として同列に崇めており、彼の名も大陸中に伝えられています。
 なお、『遺形の承継者』の時代ではニームがもはや魔物や妖怪のように認識されているのも、「まったく異質な、人間にはどうしようもない厄災」という印象を植え付けて、エルムの民が憎悪や復讐心に囚われてしまう状況を避けるための、ドレイクによる操作です。