冬暁
2025-12-15 20:40:05
6792文字
Public 鳴保
 

NRHS Calendar 2025 No.3

12/15〜12/20、12/25の鳴保カレンダーまとめ。


12/15 『料理』


 一緒に暮らすことになったのは自然の流れだった。僕のマンションの契約がちょうど更新時期で、付き合ったばかりとはいえ互いによく知った中で。これから家に訪れる頻度が増すことを考えれば、いっそ中間地点に居を構えよう。そんな結論になったのは必然のことだった。これですぐに別れたらキツイな、なんて冗談混じりに話はしても本当にそうなる気はしなかった。
 広い2LDKの高層マンションの一室。運び込まれた荷物はそれぞれの部屋で解かれた。意外なことに鳴海さんの荷物は僕より少ない。執務室の状態を考えれば、自宅の荷物が少ないのは当然なのかもしれなかった。
 まだ閑散としたリビングで向き合った僕たちは、さっそくとばかりに不穏な空気を漂わせている。
「僕まだ荷解き終わってないねん。鳴海さんが作ってや」
「ボクだって終わってないが」
「あれだけやん。時間ができた方が作るって約束やろ」
 それを聞いた鳴海さんはキュッと顔を歪める。
「お前の荷物があんなに多いとは思わなかったんだ」
「それで時間ができた方なんて言ったん? 僕に作って欲しいなら初めからそう言えばええやろ」
…………
 引っ越し作業は時間がかかる。当日の食事は買おうか、なんて話をしていた中で提案して来たのは鳴海さんの方だ。てっきり自分で作りたいのかと思ってた。
 冷蔵庫に食材をワクワクしながら詰めていたのも鳴海さんだし。
「なら、一緒に作ろうや。その方が早く終わる。どう?」
「そうだな。それならいい」
 うん、と頷いた鳴海さんに思わず笑ってしまう。
「そんなに僕の手料理食べたかったん?」
「ちがっ、わ、ない、けど……
「僕も鳴海さんの手料理食べたかったから同じやな」
「保科も?」
「そうやで? これから一緒に暮らすのはわかっとるよ。でも、新生活始める最初のご飯は好きな人の手料理がええやん」
 はたり、と瞬いた様子にゆるりと笑みを浮かべた。
「鳴海さん、何食べたい? 色々食材買うて来てくれたから、何でも作れそうやなぁ」
 冷蔵庫の中は引越ししたてには見えないくらいみっちり詰まってる。隣にきた鳴海さんとあれこれ選びながら取り出していく。きっと数時間も経たないうちに良い香りがして、同じテーブルで二人だけの料理を囲む。それがこれから続いていくのかと思うと、何だかくすぐったいような気もした。

Posted by 冬暁/薄明