河童の皿箱
2025-08-03 08:31:36
13128文字
Public 遊戯王:長め
 

Redone

時空怪盗がとある歴史のターニングポイントをやり直すだけ。


 本日は快晴なり。燦々と輝く太陽のもと、会場には満員の人。待ちかねていたパフォーマンスを、今か今かと待ちかねる。見上げる時計塔が、カチリ、カチリと針を進めるたびに、どよめきは徐々に、徐々に熱を持つ。
 ふ、っと。会場が暗闇に包まれる。スポットライトに照らされた時計塔が、開幕まであと少し、なのに、まだまだ遠い。やきもきとする観客たちの鼓動を先導していく。いよいよ10秒前に迫れば、人々はカウントダウンを告げ、5、4、3、2、1

 ゴオォーン――

 梵鐘の、侘しき音が、響かれて、寂しき余韻に浸入れば。シン、と鎮まる客席に、淡く広がる海の水。光の帯にて描かれし、その水、魚、浮かぶ月。ザプンと寄せる波の音に、乗って届くは琴と笛。時計の塔にゆらりゆれゆく梵鐘の、鯨の声に聴き入れば、豪と叫ぶは龍の声。
 空に昇りしかの龍を、塔の上に手見上げるは、過去を覗きし潜水者。ふたりでふいと、特等席にて光を、波を、未来を見れば、ふっと下には、女の子。

 お父さんと手を繋いでは、皆と同じく空望み、掌伸ばして、光を掴んだ。きらり煌めく手の中で、まだ形しか無き未来を覗いては。

「ねえ、パパ! わたし、きっとすごい科学者になるわ! こんなに素敵な世界を本当に作れるくらいの、立派な科学者になりたいの!」