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河童の皿箱
2025-08-03 08:22:10
13184文字
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遊戯王:長め
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とある少年が持つサイキックについての報告書
Gボーイとファイアと娑楽斎が実験するだけ。
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さて、そんな一行は車を走らせ、各地を転々と移動しては、いくつかの実験を試みた。赤き丘陵、クレーター、深い森林などなど。サイキックの力の源はその個々人によって変化する。絵師は少年を連れ回しては、その力の源をひとつひとつ考察しようとしたのだ。大地の力の収束点、星の力の墜つる場所、あるいは、生命の中心へと。
けれど、少年はどこに行っても、なんらかの心地よさや、雄大なる大自然に感動を覚えこそしても、絵師の指し示した力の塊や、漂う魂を見たり、声に耳を傾けることはできなかった。目を閉じ、そこにあるはずの自然の魂を探そうとしても、少年は探せなかったのだ。
つまり、少年のサイキックはシャーマニズムやアストロロジーとは関係性を持っていない、と結論づけられるだろう。ましてや、東洋に伝わる神通力に分類される力を持っているわけでもない。ともすれば、外部に力の源流があるのではなく、ごくごく単純に、自分自身の内側、精神が最も強い影響を及ぼしている、と考えて良いかもしれない。
滝壺でぱちゃぱちゃ水遊びするふたりを眺めながら、絵師は端末へとレポートを書き続ける。こういう水場では少年の方が優位に立つようで、戯画は水で濡れるのを、割と本気で嫌がっているようだ。それは炎から産まれた存在だからか、それとも、もともと本であったからなのか。
調子に乗ってお仕置きの拳骨を食らった少年が、戯画の小脇に抱えられて戻ってきた時。絵師はこめかみを押さえては尋ねた。「なあ、小さい頃に誘拐された経験とかはあるか?」。ブー垂れていた少年は、そんな突飛もない質問に驚くも、けれど首を横に振った。「変な虫とか、蛇とかに咬まれたとかは?」。いいや、そんなコミックヒーローのオリジンもない。「知らない場所にいた記憶は?」。妄想することはあっても、やっぱりそんなこともない。
「ぼくも不思議なんだ。どうしてぼくがリブロマンサーになって、ファイアスターターを喚び出せたのか。だってぼく、ずうっと父さんと母さんと一緒だし、学校は
…
あんまり上手くいってはないけど、普通に勉強してるだけだし、ただの
……
その
……
ギーク、だし。コミックみたいな出来事に巻き込まれるのだって、あの日の放課後、あの子が襲われてから、だし」。
どうやら、本当に心当たりは、戯画を喚び出したあの瞬間しかないらしい。しかし、ここでまた絵師は頭を抱えた。リブロマンサーのうち、サイキックなのは少年のみであり、もうひとりの少女が目覚めたのは、魔法の才。けれど、魔法と超能力は全くの別物であるし、なんならそんなふたりの世話を見ているかの代理人は別のタイミングでリブロマンサーとなり、かつ、これまた別種の力、闘気の修得者である。
けれど全員が別種の力を持っているのに、それ以外の性質は間違いなくリブロマンサーであり、少年はコミックスの、少女は絵本の、代理人は小説の力を引き出し、纏い、戦っている。
しかし、絵師には、皆で同一の性質を持つにも関わらず、闘気、魔法、超能力を携え、しのぎを削る人々を知っているし、仲間にはそちらの調査を依頼している。こちらできっかけをつかめなかった以上、そちらの調査に期待するしかないだろう。
「さて」。絵師は次なる目標を掲げた。「ちょいと力をぶつけ合ってみようじゃねぇか。もっと人気のない、広い場所に行くぞ」、と。
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