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望月 鏡翠
2025-07-21 23:07:02
10761文字
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リアタイ
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シズメ 04
シズメ/三角 麻弓/南国期間
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どうやらこの学校にはアイスが隠されてたらしい。
気温が暑くなる時期から、先生が冷やした氷やらアイスやらを渡してくれるようになった。熱中症の予防ということらしい。
プリンを自作しようと試みたり、ジュースを冷やしてアイスの代用としていた生徒側からすると、あるならもっと早く出して!と言いたくなってしまう。もちろん、二ヶ月は続くという学校生活と備蓄の兼ね合いなど色々とあるのだろうけれど、甘いものはいつだって欲しい。
「ということで、職員室にアイスをもらいに行こうと思います!」
麻弓は、茹だるような暑さを吹き飛ばすように高らかに宣言した。
声をかけたのは、ちょうど屋上にいた榎本 禄先輩である。麻弓は布団やシーツを干す場所を探していただけだが、朝一番に集まってみんなで体を動かすラジオ体操の試みが以前から行われているらしい。活動的ではあっても体を動かすのが好きなわけではない麻弓は、朝からわざわざ屋上に登ったりはしない。
禄は何度も参加しているのだろう。スタンプカードにはハンコが溜まっているし、ピカピカのメダルも持っていた。
「アイス! 俺も食べる」
「食べましょ」
屋上で飲み物やアイスを配りにくるのは、朝一番ではなくもう少し後のことだ。二人で職員室に向かう。冷房のことを考えて、どこの部屋もしっかりと窓が閉め切ってある。
ノックして扉を開けるが、中には誰もいなかった。
う〜ん、どうしよう。
頭の上から、禄も職員室の中を覗き込む。
「どしたの?」
「誰もいないみたい」
まだ出勤していないのか、もうどこかに行ってしまったのか。それとも職員室以外の場所で先生の役目を果たしているのか。
生徒に比べて教師は圧倒的に数が少ない。大変だろうなと思うけど、なるべく危ないことや変なことをせずに大人しくしている以上に、貢献できることはない。
アイスをもらうためだけに呼び戻すのも悪い。
「伝言メモだけ残しておいて、もらっちゃう?」
禄に悪い提案をしてみる。実はみんなに配っているアイスの他に、もっといいハーゲンダッツとか隠しているんじゃないだろうか。
足音を潜めてこっそりと職員室に忍び込む。机とか書類とかはきっと、先生の大事なものか私物だろうから、給湯室のおやつがおいてありそうなところだけ。
共用らしい茶葉や、急須、湯呑みがある。来客がきたときに使うんだろう。今は麦茶を作っているらしい。食べ物は、ない。
いよいよアイスを期待して冷凍庫をオープンと思ったところで、禄が声を上げた。
「麻弓! 見てみて!」
戸棚の中を指さしている。何か大発見をしたという声色で、顔も輝いている。
「先生のへそくりの高いお菓子でもあった?」
横から覗き込むと、指先にそこに古びた紙が張り付いている。
隅でぐちゃぐちゃとした文字が書き込まれている。
「あ、宝物」
「そう! 宝探しのやつ!」
学校のどこかにあるという古文書の一部だろう。先生が何処かから拾って持って帰ってきたのだろうか。それにしては、給湯室の戸棚の中というのは、妙な場所だ。
今回は濡れてもいないし、ぼろぼろに崩れたりもしない。ただ、最初から破れていて、やっぱり内容は読めはしなかった。
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