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望月 鏡翠
2025-07-21 23:07:02
10761文字
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リアタイ
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シズメ 04
シズメ/三角 麻弓/南国期間
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海に入る前に、プールの備品倉庫から借りてきた浮具を装着した。つけていない人が大半だったとしても、自然科学研究部の一員として、自然を舐めた態度は禁物だ。
「はぁ〜、きもちい」
プールも楽しいと思っていたけれど、ぷかぷかと浮きながら波に身を任せる浮遊感は格別だ。日差しも体を海に浸しながらであれば、ちょうどいいのかもしれないと思えてくる。
海の透明度が高いから、ゴーグルをつけて海底を覗き込めばそこを泳いでいる魚の姿を見ることができる。バンドを後頭部に渡すとせっかく結いあげてもらった髪の毛が崩れてしまうから、手で押さえて顔に当てるだけだ。
海の生き物を写真に撮るのは難しい。カメラを向けるたびに、思い知る。
視界いっぱいに広がる海が美しいのに、カメラの画角では一部しか映らない。それに陽の光を浴びて煌めく鱗も、静止画に収めるのは難しかった。
麻弓は海を撮影するのを諦めて、カメラを隣の浮き輪に向けた。
「愛美先輩〜!」
麦わら帽子を被る愛美が、顔を上げる。
「こういうとき、どんなポーズがいいんでしょうね」
「ピースとか? のんびりしたままでもいいですよ」
「麻弓さんは映らないんですか?」
「先輩の写真撮ったあとで一緒に写りまーす」
浮き輪を引き寄せて、二人で写真を撮る。
南国の風情になってから、海は前より混み合っていた。
海に沈んでいない場所はどんな空間でも遊び場になってしまう定めらしくて、礼拝堂も旧校舎も、そしてシズメ霊山の本堂も例外ではなかった。
屋根を砂浜代わりに、寝そべっている。
日本人じみた感覚は、バチが当たりそうと考えたが、屋根に止まっている鳥や中に住み着いている魚には、そんなことは考えないのだから、麻弓は自分で思っているよりも人間という種族のことを神格化しているんだろう。
精神面の話はともかく、霊媒師に見られたら怒られるんじゃないだろうか。
この間の夜もいたが昼間も相変わらずいる。屋上から離れていないのなら、きっと見えてはいないだろうが、よく考えれば職場と家が海に沈んでいる場所が学校しかないという状況で、完全な部外者である鎮はけして居心地がいいわけではないだろうと思うと気の毒に思えてくる。
屋上から涼しい室内に戻るときに、また鎮に声をかけた。
「あ、おじ
……
」
この呼び方はあまり歓迎されないのだった。
「鎮さんおはよ〜。唐揚げ美味しかった?」
「まぁ、悪くなかったぞ。またもらってやってもいい」
食べてくれたらしい。それなら今度はまた別の料理でも作ってこようか。
「あのさ、うちの生徒で本堂の屋根とか登っちゃってる人いたんだけど、大丈夫そう? なんか申し訳なくてさ」
「
……
本堂の屋根に? フン、不敬な奴らめ
……
。しかし本当なら強く言ってやりたいところだが、この状況下だ。まあ、少しくらいなら見逃してやってもいい」
態度が大きいようでいておおらかでもある。変な人だ。
放送で注意を呼びかけたりした方がいいだろうか、なんて考えていたけれど、その必要はなさそうだった。
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