それから暫く経って。
症状を通して、空の王国や星の子の使命の事を断片的に知っていたオレは、ガーベラの講義と訓練のお蔭で、更に多くの事柄を学ぶ事が出来た。
けれど、石窟の風の試練を踏破し、初めて暴風域と原罪に挑んだ後、オレの症状は更に悪化していった。
それでも、明らかになった事はある。
オレが見てきた、他者の記憶。その内容の一部は、ガーベラが趣味で掻き集めている『旧き星の子』達の文書群
―行方不明となり忘れ去られた星の子達が書き残した記録と、不気味過ぎる程に一致していた。
「キミが付けてくれてる夢日記と照らし合わせたら
……私と同じように探求の道を歩んでいた『旧い先輩達』の記録と、とてもそっくりな部分がチラホラあったの。煌めきレネイ、闇の花のネネム、大魚追いディノ、ロゼとロディ、朝露フェリシア、白雪のアルハ、群青の波のルプス
……」
各地に設けた拠点の一つで、文書の山を整理していた時、リトル・ガーベラはそう教えてくれた。
「正直に言うと、4分の1はワクワク、残り4分の3は不安ってとこかしら。キミの症状の原因だけでなく、キミが、ネモという星の子が何のために生まれたのかも気になってる。でもね
……」
テーブルの上に乗った小さなガーベラは、優しくオレを抱き締めて、オレの頭を、長髪を撫でてくれた。
「大丈夫、大丈夫。キミは『ネモ』以外の何者でもないよ。キミが、自分が何者かすら解らなくなったとしても、私はキミの友として、キミを『ネモ』と呼び続けるから」
泣きそうになるのを堪えて、オレは強く、ガーベラを抱き締め返した。
そして、運命のあの日。
オレと『白イタチ』のガーベラは、開放されたばかりの火の試練に挑んだ。
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