【#深淵覗きの断章】ネモと、影の夢の贈り物

ネモフィラが語る、『深淵覗きガーベラ』との出会いの経緯と、異能力“交信”の目覚めの話。
Twitterで連載していたやつの加筆修正版となっております。

⚠原作の諸要素に対する独自解釈・捏造・オリジナル設定あり⚠

Fanmade by チーバオ(QiBao)
#sky創作 #sky二次創作


 オレが生まれたのは、孤島の預言者の石窟が見出されてから数週間経った頃。
 そして、あの厄介な症状に悩まされるようになったのは、石窟の試練当時解放されてた水の試練と地の試練を踏破してからだった。

「お願い……僕の大切な友達……目を醒まして……
「ああ、実験は成功だ。掘り出した標本が蘇生したぞっ!」
「大精霊様ぁ! 我らをお助けくだされ!」
「いやだ、まだ何も……成し遂げてないのに」
「これが、俺達への罰だというのか」

 毎夜見る、知らない精霊や知らない星の子の記憶の悪夢。
 嫉妬、怒り、悲しみ、憎しみ、混乱、対立、別離、崩壊、その他色々……多数の朧げで不穏な記憶がごちゃ混ぜになっている。
 目覚めている時も、そいつらの記憶が唐突に、オレの意識に混ざり込む。
 そして、激しい眩暈と共に、オレの記憶は少しの間滅茶苦茶になってしまう。いわゆる記憶混濁ってヤツだ。



 書庫の『秘密の場所』で手に入れた空色のケープを纏い、オレ自身に「ネモ」という名を付けて名乗るようになってからは、オレが誰なのかすら解らなくなる頻度は多少減らせた。
 それでも、ひどい時は錯乱したり、意識を失うこともあった。

 出会った星の子は、皆オレを避けた。
 腕っぷしの良さそうな奴らまで、雛鳥のオレに怯えた。

 オレはこの苦しみを抱えたまま、ひとりで星の子の使命を続けるしかない。
 視てきた記憶のようなつらい出来事が、オレにも起こるなら。いっその事そうした方がいいんだ。
 助けてくれる奴が、解ってくれる奴が居ようと居まいと、どうでもいい。
 どうせオレは拒まれる。
 オレの事は、オレひとりでどうにかする。するしかない。

 あの日、雨林の神殿付近でいつもの症状が出て、冷たい雨を浴びたまま気絶する寸前……そう思ってたのさ。
 けどな、その後オレは、背の高い白イタチ仮面の星の子に助けられた。



 すらりとした黒ズボン服、橙色と臙脂色の重ねケープ、預言のペンダント、捨てられた地の大精霊とお揃いのモヒカン三つ編みヘア、金紫のタッセル髪飾り。
 そして、背中のランタン。

「全く、この格好で探索してて大正解だったよ。でなきゃキミを運ぶのに手間取って、キミの大事な翼を散らしてたかもしれない」
 大きな木のうろの中で目覚めた時、アイツはオレにそう囁いた。

 ああ、この子と仲良くなりたい。
 強くそう思ったけど、どうせ無理だと思ってしまって。

「助けてくれてありがとう。オレ、もう大丈夫なんで探索に戻ります。ひとりでどうにか出来るし」
 そう言って、アイツと別れる事にした。
「わかった。私も他に色々やる事があるから、ここで『さようなら』だな。でも……
 少し黙った後、白イタチのアイツは楽しげにこう言った。
「キミとは、また何処かで会える気がするよ」



 これが、オレとガーベラの一度目の出会い。
 二度目は、草原の交流広場だった。