kanaco
2025-05-18 17:20:58
23763文字
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【十二信】虎の子、風邪をひく/龍の子、熱をだす

《十二信》虎の子、風邪をひく
高い熱を出した十二くんと、看病する信一くん(P1~P4)
《十二信》龍の子、熱をだす
高い熱を出した信一くんと、プロポーズに挑む十二少くん(P5~P8)



信一がパッチリ目を覚ました時、正面にあったのは当然十二の顔だった。しかも彼はすでに目を覚ましていて、もの言いたげで不服そうな表情をしていた。そして開口一番に発した言葉は、

「お前バカかよ、何で一緒の布団に入ってるんだ。風邪が移るだろうが」であった。

………お前に理不尽王の称号を贈呈する」
信一は相手に全く同じようなもの言いたげで不服そうな表情を返す。

いや、でもこれは今じゃ相手に気を使えるという“成長の証”なのか?
っていうか、こりゃ、もとの調子に戻ってきたな。

時計に目を移せば16:00。3時間ほど寝たらしい。
病人にとっては取るに足らない休息時間であろうが、少し回復をしたのだろうと信一は安心した。目も口調も先ほどより随分としっかりしている。四仔の薬が効いているのかもしれない。さきほどの体温が39.5ならば38.0前後までに下がっていそうだった。

「だってお前が可愛かったんだもん」
そう唇を尖らせながら正直に話せば、その信一の顔に(ぐぐお前の方が可愛い)と言いたげに十二がますます拗ねる。

「くそっ。なんでお前と布団に入ってんのに、手も出さずにわざわざ仲良く並んで寝なきゃなんねぇんだ」
「いや、無理だろ。熱があるヤツが俺に手を出してくるんじゃねぇ」
「次起きたら、ぜってー抱く」
「抱くな、大人しくしてろ」
「ひぃひぃ言わせてやる」
「ひぃひぃ言うのはお前だ。次起きたら四仔センセーの超絶苦いお薬セカンドの時間なんだから。しかもよく分からないがスペシャルブレンドらしいぞ」
「うぇっ、こんなのあんまりだ」

だるいー、あついー、ぐらぐらするー。

ひっきりなしに出る体調の悪さへの愚痴に、本当に元気になってきたじゃんと信一は笑うと「もう一度寝ろ」と言い聞かせ、もう添い寝は必要ないだろうと布団から出ようとした。上半身だけを起こす。が、その細腰を伸びた両腕が絡むように掴む。

「あれ、デジャヴ」
「やっぱ、ここにいて」
「どっちなんだよ」
風邪移すからヤなんじゃなかったのか。

「もういまさらじゃねーか」
ムスっとした十二が、腰に回した腕の力を籠める。

「傍にいろ」

あれま!さっきと変わらねぇ!

ケラケラと笑う信一を十二が布団へと引きずり戻す。
絶対に逃がさないとでもいうようにそのまま腕の中に信一を閉じ込め、充血して潤んだ瞳を今度はギラリと明確に煌めかせる。

「はいはい、どこにも行かないよ」

信一がそういえば、十二の顔が満足気に笑んで顔が近づく。

「本当にダメ」
「分かってるって」

唇に向かってくるかと思った十二の口は、信一の髪をかきあげて額を露わにするとそこにキスを落とした。
さっきまで自分が抱きしめていたというのに(体も心も本当に成長したものだなぁ)と謎の目線の感慨深さを信一は感じる。

「寝ろ」
耳元で十二がそう囁く。
(いや、寝なきゃいけないのは俺じゃなくてお前.......)

心の中でツッコミをいれる。
しかし逞しくなった腕や胸に抱きしめられる安心感と、いつもより高い温度に誘われて、信一は再び夢の世界へ旅立っていった。




次の日、相変わらずの驚異的な回復力を見せた十二は朝方には平熱となり、昼頃には各所への挨拶をすませると、ケロリとした状態で廟街へ自分の足で帰っていった。

信一はと言えば、添い寝して濃厚接触したにも関わらず熱も出なければ体調も万全なままだった。それでも龍捲風に言われて念のため診療所を訪れ、四仔に「やはりバカは風邪をひかないな」という嫌味言われる覚悟で端折りながら諸々説明すれば「それはもうお母さん……」という斜めの上の感心したような言葉をかけられ、信一は白目を向くことになった。




《AFTER》
🐻「お前が寝込んだ時はどうしてたんだ?」
🐶「俺は十二を部屋から閉め出す。そうすると十二がドアから窓から壁穴から侵入しようとするから、龍兄貴との激しい攻防合戦が始まる
🎅「大スペクタクルだな」
🐶「でもガキの十二が龍兄貴に勝てるはずもないから、いずれ諦めて」
🐻🎅「諦めて?」
🐶「何度もドアの前に様子を見に来て、その度に花とか果物とかお気に入りのシールとかをドアの前にたくさん置いていく」
🎅「かわいい」
🐻「動物の恩返しか何か?」

🐯「くしゅんっ」