akinoshiroihana
2025-04-14 21:38:13
11167文字
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名刺置き場1

2022入院頃~、ゲッター


「明後日は大寒だってさ」
言うほどかねえ
「それで寒さで心細くなってやしないかと」
なんだいそりゃ

人恋しく、とかそういうあやうい言葉はどちらにも選ばれなった。

寒さと他のネガティブな感覚をいっしょくたにしちまうほどおめでたくはないぜ、でも、そう――そうだな、
キュリー夫人は苦学生時代、寒さと空腹ををごまかすのに下宿の部屋の荷物だの家具だの毛布の上に載せてその重みを感じて寝たってのならガキの頃読んだ覚えがあるよ、
重さってのはそんないろいろ都合良く忘れさせてくれるもんかね――って、なんだ「いいこと聞いた」って、おい!

その日、膝上げと背中起こしがセットで動く医療用ベッドの「カインド機能」とやらに竜馬もろともきれいに挟まれて、断末魔鳴り響かせたナースコールで飛んできたれんちゅうには「ベッドの上にいたのが普通に一人だったら別にそんな困ったことにもなりやしませんよ」とたいへん外聞の悪いことを言われてしまったと、隼人はその後数日自ら面会謝絶の身になっている、

病院の外、くしゅんという音、鼻先を赤らめてしょんぼりと銀の空を仰ぐ竜馬の上には、白梅が溶けた雪を宿して震えている。風のひとつも吹いて揺らせば、抱いた雫もろともに彼の元に落ちそうになっているのに気付かれないまま

厳寒の中、白い冬花が春を思わせる香を抱いている。