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リース
2024-08-24 17:02:14
41947文字
Public
ドラゴンズドグマ
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オルグの独白(完結)
ドラゴンズドグマ2にて
本アカウントの覚者リースのメインポーンのオルグが、サブアカウントの覚者、叢雲さん宅のラルスさんと、そのポーンに転生した異界のリースに出会うお話。
※過去作であるDDON、DDDAのエンディング要素も少し含まれています。
※ゲーム内で語られていない部分は多少捏造が入っています。
叢雲さん宅のラルスさん
Lさん宅のスアくんをお借りしています。
※ラルス×リース
オルグ×スア
それぞれのBLCP要素あり
※2/20
4章、エピローグ他更新(4ページ目から)で完結
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『エピローグ』
リムの空間を抜けると、いつもの見慣れた風景が目に飛び込んできた。まずは周囲の様子を確認するために辺りを見渡す。
大抵異界から帰還するのは朝、ヴェルンワースの人々が活動を開始する時間だ。
きっとあの方はまだ寝ているだろうな。今度朝市にでも誘ってみようか、とぼんやり考えながら賑わう噴水広場を早足に抜けると、おそらくまだ眠っているであろうマスターのいる自宅へ向かう。
今回の旅は、自分にとって衝撃的の一言では言い表せないような出来事ばかりであった。いつもなら雇い主から手土産を貰ってくるのだが、今回は急な解雇だったため何も持っていない。そもそも、どうして解雇になったのかすらよく覚えていないのだ。旅の途中で戦闘不能になって離脱してしまったのかと思ったがそのような覚えもない。
そんなことを思いながら広場を抜け路地に入ると、誰かが自宅の前に立っている。
よく見れば、自宅を背に姿勢良く立っている人物はスアだった。
私よりも先にあの世界から帰っていたのだろうか。
いや、それよりも私が異界へ発つ時点ではスアはまだ一緒じゃなかった気がするのだが。何故今彼がここにいるのだろう。
「オルグ様
…
!」
スアはこちらを認識すると、珍しく僅かに声を上げて歩み寄る。
「スア
……
頭痛は大丈夫でしたか?」
「
……
え?」
「ほら、月光の塔を出た後竜を追って
……
それから、私達急に倒れたような
……
」
月光の塔でラルス様がドラゴンと対峙し、飛び立った後そこから意識があやふやで、急な頭痛に襲われたことだけは今でもはっきり覚えてる。その後何かあったことは間違いないのだろうが、ひどく長い夢でも見ていたような、記憶に霧がかかったようでどうしても思い出せないのだ。
そのことをスアも覚えているだろうという体で話をしていたのだが、スアは何か思い違いでもしているのだろうか。
「
……
どうかしました?」
スアはジッと私の顔を覗き込んできて、暫く何かを考えていたのか私の声に気づくような仕草の後に顔を逸らしてしまう。
「
……
いえ。確かに、私もその後のことはよく覚えてないですね。
不思議なこともあるものです。
……
さぁ、私はここで待ってますから、とにかくまずはリース様に報告を。リース様が待っていますよ。」
少し間を空けて、スアは自室の扉に視線を移した。
それならスアも一緒に入ればいいのにと思いつつ、表情を変えずぐいぐいと背中を押してくるスアに促されるまま自宅の扉を開け足を踏み入れる。
静かな自室。案の定マスターはまだベッドの上で夢の中にいるようだ。
私が入ってきたことにも気づかないくらいよく眠っている。そっとベッドへ近づき、規則正しい寝息を立てるマスターの寝顔を見て、自分は漸くもどってこられたのだと思うと、胸が熱くなるのを感じた。
「
…
マスター。
リース様、おはようございます。」
私の声に反応して少し煩わしそうに声を漏らすマスターは、眩しいのかまだしっかり開いてない目でゆっくりとこちらを振り向いた。
「
……
。
……
あぇ
…
オルグ
…
外行ってた?」
眉根を寄せながら目を薄く開けば黒と青の瞳が覗く。口の端から涎を垂らしてぼんやりこちらを見つめるマスターの姿は、いつもの光景のはずなのに何故かひどく安心感を覚えマスクの下で口元が弛んでしまった。
まだ半分夢の中にいる様子のマスターに苦笑しつつ、横になったままの彼のベッド端に腰を下ろす。
「寝ぼけてるんですか?異界に行ってくると言ったじゃないですか。昨夜はちゃんと自身で戸締りもできていたようですね。
さぁ旅の報告と朝食の支度をするので起きてください」
「
…
ふぁ
……
まだ眠
…
もう少し寝かせて
……
」
欠伸をしながら布団の中で体を動かしていたマスターは再び寝る態勢に入ってしまわれた。
「おや
……
いつになく甘えん坊ですね。夜更かしでもしてたんですか?」
私の言葉にマスターは動きを止めた後、気まずそうな様子で自身の顔を半分覆うように布団を手繰り寄せる。暫く返答がなく、マスター?と声をかけると目だけをこちらに向けてきた。
「
……
いや、なんか
…
オルグが夜中に帰ってくるかなって
……
なんとなく起きてたら、いつの間にか寝てた」
小声でぼやいたマスターは少しバツが悪い様子でまた布団を被りなおしてしまった。出発前にはあんなに眠そうにしてた上、いつもは早々に寝てしまうあのマスターが珍しいこともあるものだ。
漂泊の民である私達は、本来はどこの世界にも属さない。それでも今は帰るべき場所があって、そこで帰りを待っていてもらえるというのは、こんなにも嬉しいものなのだと改めて思う。私が属すべき世界は、今マスターがいるこの世界だ。
「
…
やれやれ、仕方ないですね。ではそのままで結構ですので聴いてください。」
マスターの枕元に腰掛けたまま、再び布団から顔を出している彼の顔を見下ろした。帰ってきたのだからもうこのマスクも必要ないだろう。口元を覆うオラクルベールを取り去る。
やはり口を覆うものがあると息がしづらい。
「
…
旅先では色々と雇い主に貢献できましたよ。
ソーサラーの立ち回りも学べて、いい経験になりましたし。」
今回の雇い主
…
ラルス様が、かつてのマスターと同じ姿をしたポーンを連れていたことは敢えて言わなかった。
今目の前にいるマスターには、かつてラルス様と結ばれた記憶はないのだから。話しても思い出しはしないかもしれないが、それで気になられるのも癪だと思った。
今はせめて、私だけのリース様でいてほしい。
数多の世界が繋がり円環を成している限り、この巡り合わせを断つことはできないのかもしれない。もしまた彼らと会って旅をすることになったとしても、運命だと思って諦めるしかないのだろうか。
それでも、たとえ何が起ころうとも。
また異界で別のリース様と出会うことがあろうとも、私の今のマスターはここにいる貴方様ただ一人なのだ。
彼がいる限り、私はまたここに帰ってこられる。
「まぁ実は
…
後半の方は何故か記憶が曖昧なんですが
……
」
まだ布団を手放す気がないマスターはまだ眠そうにしながらもこちらの報告に耳を傾けて「ふーん珍しいじゃん。」と相槌を漏らしながらこちらを見上げていた。
他愛もないことを話しながら報告を続けていると、そのうちマスターの布団から腹の虫が鳴る音が聴こえてきた。眠いと思えば今度は腹が減ったりと、本当に忙しないマスターだ。
思わぬタイミングに笑ってしまい、マスターが拗ねてしまったため、報告を切り上げて朝食にしようと立ち上がる。
外で待っているスアにも声をかけなければ。
そう思って窓を開け放った後に外に向かおうとすると
「ああ、そうだ忘れてた
…
」とマスターもベッドから名残惜しそうに上半身を持ち上げ、伸びをしたあとまるで照れくさを誤魔化すかのようにニッと笑った。
「おかえり。オルグ」
彼の灰色がかった銀髪の先端は寝癖であらぬ方向に跳ねており、私が開けた窓からの日差しで僅かに光を帯びていた。
「
……
はい。ただいま帰りました、マスター。」
→『リースの告白』
もう少しだけ続きます。
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