リース
2024-08-24 17:02:14
41947文字
Public ドラゴンズドグマ
 

オルグの独白(完結)

ドラゴンズドグマ2にて
本アカウントの覚者リースのメインポーンのオルグが、サブアカウントの覚者、叢雲さん宅のラルスさんと、そのポーンに転生した異界のリースに出会うお話。
※過去作であるDDON、DDDAのエンディング要素も少し含まれています。
※ゲーム内で語られていない部分は多少捏造が入っています。

叢雲さん宅のラルスさん
Lさん宅のスアくんをお借りしています。

※ラルス×リース
オルグ×スア
それぞれのBLCP要素あり

※2/20
4章、エピローグ他更新(4ページ目から)で完結


『プロローグ』

「では、行って参ります。戸締りはきちんとしてくださいよ。」
「んオルグもいってらー

覚者である我がマスターのリース様と、漂泊の民である我らポーンは、ここはヴェルムントにある城都、ヴェルンワース平民区に自室を構え旅の拠点にしている。

夜の帳が下りる頃、私は異界へ向かうための支度を整えて扉を開けた。マスターは疲れが溜まっていたのか既に眠気まなこを擦りながら手を振っていた。がさつなマスターがきちんと戸締りする様子を確認してから、ヴェルンワースのポーンギルド内にある大リムストーンへ足を運ぶ。

今回異界に向かう目的は、主にソーサラーとしての経験を積むことにあった。
私もマスターもソーサラーはほとんどやらないジョブだったためソーサラー用の防具を持っているか心配ではあったが、今回はそれなりのものを用意してくださった。

この口元を覆うマスクも正直暑いしあまり有難くはないが、防御面を補うためには仕方がない。それに、もうウォリアーの時のように防具がないからとビスチェを着るのだけは勘弁願いたい。

そんなことを考えているうちにポーンギルドに到着した。淡い光を放つ巨大なリムストーンに近づき目を閉じると、体と意識が軽くなって吸い込まれるような感覚を受ける。

目を開けると、周囲の景色が青く仄暗い空間へと変わっていた。ここでまたリムストーンに近づけばそこから異界へ渡ることができるが、さて今回はどんな異界に辿り着くか。



「お前は、ソーサラーか。」

リムストーンに向かって歩き出そうとすると、不意に背後から声をかけられた。この空間で声をかけてくる相手は他でもない、異界の覚者様だ。
覚者様は我らポーンを雇用するために自らもリムの中に入ることができる。

異界を歩いていてもいいが、リムの中で異界の覚者様のスカウトを待ってもいいなと思っていた矢先だったため、丁度いい。

おや、私の魅力に惹かれてのお誘い、です……

いつものように挨拶と自己紹介をしようと振り向いた瞬間、言葉を失った。

「ソーサラーを探していたところなんだがよければ来てほしい。」

人でいうところの壮年にあたる年齢だろうか、緑掛かった薄い髪色に髪と同じ色の髭、丸縁の眼鏡の下から覗く翡翠色の瞳を持つ男性覚者様には見覚えがあった。

私はオルグと申します
私ならお役に立てると思いますよ。」

「俺はラルスだ。よろしく頼む」

ラルス

そう名乗った目の前の覚者様は、ここヴェルムントでもバタルでもない別の理、覚者が同じ世界に複数存在する世界で、かつてリース様の伴侶となったお方だった。
偶然同姓同名で、偶然似たような容姿という場合でもなければ、間違いなく本人なのだろう。

その当時もリース様の専従ポーンだった私の名前を聞いてもさして反応がないということは、やはり彼は記憶をなくしているのだろうか。今の私のマスターがそうであるように。

円環の理の中にいる以上、同一人物と違う世界で巡り合うことも決してないとは言えない。今の私とマスターがこの世界でも再び共に居られることができたように、彼はこの世界でも"ラルス"として産まれ、そしてまたも覚者となってこうして見えることになった。数奇な縁もあるものだと思っていた時だった。

「それから、あそこにいる奴も紹介しておく
……リース!」

!!
思わず己の耳を疑い、次の瞬間心臓が早鐘を打つ。ラルス様が振り返った先で座り込んでいた青年は気だるげに立ち上がり、灰緑色のマントを靡かせながら早足にこちらに近づいてきた。

「私はリースです。よろしくお願いします!」

短い銀髪、左右違う黒と青色の瞳、見間違うはずがない。かつて別の理にいた時のマスターと同じ姿、同じ声をしたそのポーンは、人懐っこい笑みを浮かべながら専従ポーンの証たる傷のついた右手を見せてきた。それは紛れもない、目の前の覚者様との契約を交わした証明。

……ええ。よろしくお願いします。」

声が震えていたのを隠せていただろうか。
リースと名乗ったポーンは、こちらを物珍しそうな顔で見つめた後、そそくさとラルス様の隣に移動していった。







とある世界では、国を治める白竜を守護するために覚者が多く存在していた。そこで当時も私のマスターだったリース様が出会ったのが、同じ覚者であるラルス様。彼はリース様の年齢から一回り以上の見た目をした男性だった。

クエストで同行したことをきっかけに知り合い、よほど彼に惹かれるものがあったのか、人とあまり関わりたがらなかったリース様は、彼と何度か交流を重ねていった。

そしてある時から、所謂恋仲という間柄にまでになり、二人きりで永遠の愛を誓った。人の中には同性というだけで周囲の目を気にする者もいるが、お二人はそんなことを気にされる様子もなく、寄り添い合う仲睦まじい姿を、私はずっと近くで見てきた。

脳裏に、二人寄り添いながら歩くリース様とラルス様の姿がフラッシュバックする。
そして再び暗転した後、泣き腫らした表情でリディルを自身の胸に突き立てるリース様の姿が。


ラルス様、貴方はかつてリース様と結ばれておきながら、また別の理では、再び覚者となったリース様の手で自身を殺させた。

そして此度は、あろうことかその最愛だった彼の姿をさせたポーンを側に置いて人形遊びですか。
リース様は、貴方の死を最期まで嘆きながら、絶望と失意の果てに自ら命を絶たれたというのに。

(……全て忘れているくせに。
貴方はそこまでして、またリース様の前に現れるのか。)

これはなんの悪夢だろうか。
腹の底から何かが込み上げてくるような不快感に襲われる。口元を覆う布の下で、それを吐き出してしまわぬようキツく口を結んだ。






『一章』



ラルス様は魔物との戦闘時も視野を広く持ち、ポーンに適宜必要な指示を出しながらも、剣と盾を握り自らも前線で戦われていた。盾で攻撃を受け流しながら隙のできた敵にすかさず重い一撃を見舞う堅実な立ち回りをしている。

彼の専従ポーンのリース様いやリースは、シーフの技を極め、敵の攻撃を直前まで引きつけてから身を捻ってかわし、最小限の動きで素早く懐に潜り込むと相手の急所めがけてダガーを突き立てる。
その戦い方は、かつて二人が別の世界で共に闘っていた姿を嫌でも思い出させる。それ程までに息の合った立ち回りをして見せていた。

多少の危うさもあるものの、彼のその素早い身のこなしも我がマスターと酷く似ていた。見た目や動きが同じでも、彼はラルス様の作ったポーンに過ぎないというのに。



そんなことを考えていた直後、気がつけば上空からグリフィンが咆哮を上げながらこちらに突っ込んでこようと身を翻す姿が見えた。

「グリフィンが来てます!気をつけて!」

私の声に真上を見上げた二人は、物凄い速度で接近するグリフィンの強襲をギリギリでかわす。あれをくらったらひとたまりもない。

獲物を仕留め損なったグリフィンは再び空へと舞い上がり次の機会を伺っている。近くにある死体を持って離脱しないところを見ると、完全に我々に標的を絞っているようだ。

「マスター!」

リースがラルス様に駆け寄り、ラルス様はその意図を汲んで盾を構える。リースが盾に足をかけ踏み込むと同時にラルス様が、空中に留まるグリフィン目掛けて彼を跳ね上げる。

グリフィンの背後からその長い尾を掴んだリースは、自重をものともしていないかのように軽々と体の方へ登っていく。当然グリフィンも振り落とそうと暴れるが、リースにはさして問題ではなかったようだ。寧ろそんな緊迫の瞬間を少し楽しんでいるかのような表情をしている。

リースがグリフィンの背中付近に到達した頃、金属を擦り合わせる音と同時にグリフィンの背で彼のダガーから発火するのが見えた。非常に燃えやすい羽の性質上、その火は翼や全身に瞬く間に燃え広がり、グリフィンは苦しみもがくも地上へと墜落した。

延焼して混乱している隙を逃さず、起き上がられる前に私の魔法で追撃し動きを鈍らせ、ラルス様が素早くグリフィンの頭部目掛けて一撃を当てると、グリフィンはやがて断末魔を上げながら力なく地面に崩れ落ちた。

「我ながら完璧でしたね!」

グリフィンが地面に激突する直前にその背から素早く離脱していたリースは、褒めてほしいと言わんばかりに腰に手を当てドヤ顔をしていた。

「リース、まだ敵は残ってるぞ。」

ラルス様にそう言われたリースは、少しだけ拗ねた様子で「はーい」と口を尖らせると渋々ダガーを構え直した。






「ひと段落ついたか。オルグも怪我はしてないか?」

ラルス様は周囲を確認し血払いした剣を収めると、戦闘後に必ず我らの状況を確認しにきて必要時には薬を手渡してくる。てっきりリースだけに甘いのかと思っていたが、私に対しても分け隔てなく接してくるので少々調子が狂う。

「はい、お疲れ様でした
やはりお二人は呼吸が合った戦い方をしますね。」

「へへ、当然ですよ。でも先輩の魔法もすごかったですけどね。ずっとメイジやソーサラーをしてきたんですか?」

いつの間にいたのか、リースがラルス様の横から会話に入ってひょこっと顔を覗かせてくる。

"先輩"
その呼び名自体は嫌いじゃないし、異界ではそう呼ばれていたこともある。しかし他でもないこのポーンにそう呼ばれる度に、彼はマスターではないとわかっていつつも、どうしようもなく胸の辺りがざわついていた。

……そうですね、私は昔から魔法職をメインにしているので。」

彼は私の言葉にへぇーと相槌を打つと、ラルス様の荷物から勝手に干し果物を取り出したかと思ったら美味しそうに頬張りはじめた。最初からそれが目的だったらしい。
ラルス様も慣れているような顔つきでリースに困ったような薄く笑みを浮かべつつ彼の頭をわしわしと撫でている。

私は何を見せられているのか
そんな光景をただ眺めていると、ラルス様から再び声をかけられ我に返る。


「これから月光の塔というところに向かう予定なんだが、何があるかわからない。回復役を雇っておきたいんだ。

異界を多く渡ってるお前なら、誰か適役を知ってるかと思ってな

今は私以外のサポートポーンはいないものの、前線にいる二人の活躍により私自身もソーサラーとして攻撃支援がしやすい。三人でも十分安定したパーティ構成ではあるものの、前線で戦う以上二人も時には傷を負う。この先回復役がいないのはやはり心許なくはあった。

「なるほど。それでしたら、私がご案内しましょう。」

回復役と言われて思いついたのはただ一人。支援において他の追随を許さないポーンを知っている。

加えて、リースがマスタースキルを使い続けるためにも、私が先程のような大魔法を繰り出すためにも彼のスタミナの支援が必要不可欠だった












お初にお目にかかります、覚者様……
スアと申します。」

リム空間の一部がゆらりと歪むと、黒い正装に身を包んだ細身の青年ポーンが現れる。

……オルグ様……?」

夜の昏い海を思わせるような髪色の青年スアは、私のマスターとよく共に旅をしているポーンだ。
スアはラルス様の後ろにいた私に気づき、見つめれば吸い込まれそうな双眸をこちらに向けてきた。

私がいることにも驚いたろうが、いつものアーチャーの姿をしていないことにも違和感があるのだろう。加えてラルス様の専従ポーンの姿にも少し戸惑うような様子が伺えて、私に何か言いたげな顔をして少しだけ首を傾げているように見えた。

「覚者様、彼はとても優秀なメイジですよ。私が保証します」

黙ってしまったスアの代わりにすかさず口を挟む。ハッとした様子のスアと目線を合わせると、彼はなんとなく察してくれたのか、何も言わずラルス様へ向き直る。

失礼いたしました。
私は支援行動を重視し、常に覚者様に寄り添います。
この杖で必ずやお役に立ってみせます。」

「オルグが言うのならそうなんだろう。道中よろしく頼む。」

ラルス様の言葉にはい、お任せくださいと短く返事をするスア。
ラルス様とリースが出発の支度をしに行ったのを見送り、二人が離れたのを確認したスアが静かに近づいてきた。

オルグ様、あの方は……それに彼の専従ポーンあれはリース様ではないんですか?」

我がマスターのことをよく知っているスアも、あのポーンを見たら当然疑問も湧くだろう。スアの表情も少しだけ戸惑いの色が出ているように見えた。

彼は、マスターの皮を被ったポーンなんですよ。」

思わず感情を乗せてしまい、横にいたスアが少しだけ身構えるような動きをしていのが視界の端に入り、自分でも驚くくらいの低い声が出ていたことに気づいた。










月光の塔にたどり着いた私達を待っていたのは、ファズスや偽覚者王達の手荒い歓迎だった。
彼らはその神凪の声で使役されたポーン達と手下を使いラルス様を排除しようとしてくる。

我々が戦闘態勢に移行する前にファズスの手下が一番に放った矢は、スアが事前にラルス様に張っていたエスコートアニマのバリアによって簡単に弾かれた。それを見越していたラルス様は駆け出すと、矢を放った手下と一気に距離を縮め剣を突き立てる。


いきなりマスターを狙うとは、やってくれますね!」

リースもラルス様に放たれた矢が気に食わなかったと見えて少々いつもより立ち回りが荒っぽい。それでも攻撃ついでに蹴りをお見舞いする余裕はあるらしい。得意の身のこなしで戦場を舞うように動き回っている。

ラルス様とリースは敵を撹乱しながら確実にその数を減らしていくが、それでもまだかなりの数が残っている。二人が討ち漏らした敵を私のサンダーレインでちまちま狙うのもそろそろ面倒だ。

チラリとスアを見やると、彼の周りを光の筋が漂い、手に持った杖に収束していくのが見えた。
ならば私もラルス様とリースが引きつけた敵を一掃するため大魔法の詠唱を開始する。

「ラルス様、リース様、こちらへ!」

スアが声を張りながら杖を天に向けて掲げた次の瞬間、杖から放たれた光はまるで傘のように空へ広がり、光の雨を降らせる。

それとほぼ同時に私の詠唱が終わり、竜巻をイメージするように頭上で大杖を振り回すと、発動地点に生まれた小さな旋風は地理と砂を巻き上げ始める。

「警告しましたからね、責任持てませんよ!」

異変に気づいた敵が散る前に大魔法ヴォルテクスレイジを放つと、地面を這っていた小さな旋風は轟音とともに荒れ狂う竜巻に成長した。

大杖を大きく前に振りかざし、先端に魔力を込めるイメージで、杖と巻き上がる竜巻を繋ぎ止めその場に留まらせる。放った後も暫く集中力を要求される高難度の技だけあり、巨大な竜巻は断末魔を上げる敵を最も簡単に飲み込んでいく。同じく巻き込まれた瓦礫がぶつかり合う音も敵の悲鳴も、竜巻の轟音が掻き消していく。

竜巻を大杖から独立させると、大きく息を吐き呼吸を整える。いつもは下手をすれば暫く動けなくなってしまうのだが、先程スアの放ったチアーオブザゴッドの効果により体が軽く、すぐに次の動きに移ることができた。

残る手前にいる偽覚者王だが、配下が残らず倒されて完全に腰が抜けていたのだろう。命乞いをする間もなくリースによって喉元にダガーを突き立てられた彼はあっけなく絶命した。




最後の手下と、思ったより見かけ倒しだった偽覚者王が倒れたと同時に、空に展開していたチアーの光の傘が消え去り、先ほどまで軽快に動けていた体がいつもの重さを取り戻す。チアーのスタミナ消費無効は一定時間広範囲の味方に効果をもたらす。

それだけチアーの効果は絶大だが、その代償として光が消えると同時にスタミナを全て奪われてしまったスアは呼吸を荒げ、胸を押さえる。スアが地面に激突する前に急いで抱き止め、脱力してもたれ掛かる彼が起き上がれるようになるまで体を支えた。

「お疲れ様です。流石ですね」

当然です。」

くったりしていたスアはそう言って私の体を押しながら一人で立ち上がる。
あれだけの魔法を放ったというのに、既にスアはいつも通りの涼しい顔をしていた。命を削るようなあんな大魔法でも、無茶を重ねれば重ねるほど耐性もついてくるものなのだろうか。



その後、ファズスと偽覚者王の目論見は、ファズスが召喚した賎竜の後に現れたドラゴンによって崩れ去り、ついに我々とドラゴンとの決戦が迫っていた。


ドラゴンは然るべき決戦の場所へと誘うため、その背にラルス様を乗せて月光の塔を飛び立っていく。私達もその巨大な影を追いかけていた途中だった。

「やれやれ本当にポーン使いが荒いっ」

「あまり喋ると舌を噛みますよ。」

スアとそんなやりとりをしていると、上空で先程まで何事もなく飛んでいたドラゴンが空中で突然身を捩ったかと思うと動きが止まった。
翼が動かなくなったその巨体は、真下に広がる大海原へと落下していく。

一体何がそう口をついて出た矢先

「らラルス様!!!」

横を走っていたリースが、遥か遠くにドラゴンと共に海へと落ちていくラルス様らしき影を捉えて、悲痛な声を震わせ叫んでいた。

いつも私とスアの前ではラルス様を『マスター』と呼んでいたリースが、足を止めることもなく走り続け、届くはずがないのに海に落ちていったラルス様に手を伸ばして、息を弾ませ必死に何度も彼の名を呼んでいる。


「リース様!お待ちください!」

スアの声にハッとし、気がつくとリースは私達よりも先を走っていた。

……リース!!」

精一杯の私の声掛けも聴こえていない彼は、軽装故の身軽さとその脚力で私とスアとの距離を広げていく。
脚が速いところまでそっくりなのだなと頭の片隅で呑気なことを考えていると、不意に烈しい頭痛に襲われた。

ずっと頭を殴られ続けてるような痛みについに足を止めてしまうが、先を行くリースだけは平気なのだろうか、あるいは痛みを我慢してでも足を止めたくないのか、我々を振り向くことなく走り去っていく。

並走していたスアを見やると、自分と同様頭を押さえて膝をついていた。彼を咄嗟に支えるが、こちらを見つめるスアも苦悶の表情を浮かべている。二人ほぼ同時に頭痛に襲われたということは、単なる体調不良によるものではないことは明らかだった。
ドラゴンやラルス様が海に落ちていったことと何か関係があるのだろうか。そう思ってる間にも頭痛はどんどん烈しくなっていく。

リース……

なお遠ざかるリースの背を成す術もなく眺めていると、急に意識を保てなくなり、視界がぐらりと揺らいだ後、地面にぶつかる衝撃を最後に視界が黒く染まった。