Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
instant
Public
普賢とその他CP
トリミング その他いろいろ編7
twitterにアップしていた極短編まとめです。乙普、楊普、玉普、望乙、玉雲、紫陽洞、楊戩と太公望ほか。お題をいただいたものやワンドロに参加したものなど。腐向けもあります。
「今回が最後だって言ったよね」
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
【太公望と楊戩】文字書きワードパレットより、黄昏月/境界、橙、夜のとばり
実は知っていた、と告げられたとき思わず「嘘でしょう?」と上ずった声が出た。
「嘘など言うものか」と言われてさえ、にわかには信じられず、まじまじとその横顔を見つめてしまったほどだ。
たしかにあのとき、そんなに驚いたふうもなく、淡々と己の正体を受け入れてくれたけれど。無邪気な子供のような、それでいて人を食ったような曲者の目が愉快そうに細められる。
「普賢師弟にお聞きになったんですか」
疑いが晴れぬままそう訊ねると、逆に「普賢なら知っておったのか?」と問い返された。
それはありえない、師が喋るはずがないし、自分だって話したことも話そうと考えたこともない。ではどうして。
「ほれ」
酒を差し出され、手の中の盃が空になっていたことに気づく。あわてて傾けると清んだ酒が注がれた。表面に空の橙が映って揺れた。
酒でもどうだと声をかけられたのは、夕刻にさしかかった頃だった。執務室の机にはまだ書簡が山と積まれ、徹夜を覚悟したところだったので、少々拍子抜けして「いいんですか」と訊ねた。太公望は「夜通しやったところでたいして進まんだろう」といそいそと片づけはじめている。どこから持ってきたのか、盃二つと銅製の壺を取り出して、夜のとばりがすっかり下りるより前に、はやばやと酒席を設えた。何事もメリハリが大事よのう、と声を弾ませるところをみると、きっと今朝からそのつもりだったのだろう。なんとも抜かりないものだ。
そうやって注ぎつ注がれつを繰り返し、いい感じに酔いが回ってきたところでの冒頭の発言に、当然ながら楊戩は大いに混乱したのだが、当の本人は「単なる勘だ」といつもの調子でのらくらとかわす。
「だったらどうして何も聞かなかったんですか」
「おぬしがなにも言わぬからだが?」
それがどうしたといわんばかりの口ぶりだ。人の素性を気安く聞くものではないという配慮なのか、それとも玉鼎師匠が隠していたことを慮ってのことか。
太公望は「そういうことではないよ」と苦笑した。
「わしにはその情報は必要なかった、それだけのこと」
「必要
……
そういう問題ではないでしょう」
「楊戩、」
むくれる幼子を諭すように、太公望は言う。
「崑崙山にあって、わしのまわりには何者ともつかぬものが少なくなかったし、そやつらが何者であるかに、わしは興味がなかったのだ。白鶴しかり、十二仙しかり」
「そうでしょうか」
「ではおぬし、道行の尻尾らしきものが何かわかるのか? 普賢の頭についておった輪っかは?」
「
…………
」
人と、人でないものの境界は、ここでは案外あやふやなのかものう。そういって、なにかを思い出したようにくつくつと笑う。
「もしかしたらわしも、おぬしの思うておる太公望ではないのやもしれんぞ?」
「ええ
……
冗談はよしてください」
気持ちを整理しきれないまま、渋い顔をする楊戩の盃に、太公望は最後の酒を半分ずつ分けて注ぐ。そしてさもうまそうにひといきに飲み干した。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内