トリミング その他いろいろ編7

twitterにアップしていた極短編まとめです。乙普、楊普、玉普、望乙、玉雲、紫陽洞、楊戩と太公望ほか。お題をいただいたものやワンドロに参加したものなど。腐向けもあります。

「今回が最後だって言ったよね」


【望乙】夜の長さを確かめて
夜の長さをはかりながら微睡んでいるときだった。
「あれは……
となりでぼそりと声がした。太公望が天井を見上げたまま、何かを考え込んでいる。さっきまでの熱はまだ冷めきっていないのに、どこまでも静かな横顔だった。まるで何十年も前から足を止めて、行き先を思案しているみたいな。
「あれ?」
寝そべったまま肘をついて覗き込むと、ちらりと目だけがこちらを向いた。
「普賢が十二仙になったのは……あれは誰が決めたのだ」
ああ、と太乙は瞬きをする。正式に普賢が十二仙に招かれたのはすこし前のことで、もうすっかり当たり前みたいになっていたけれど、そういえばそのことについて太公望と話したことはなかったかもしれない。
「言い出したのは元始天尊さまだけど、私たちも別に反対しなかったよ」
ふーんとだけ言ってまた視線は天井へ戻される。太乙も仰向けになって同じように天井を見上げた。
そっか、この子は私を抱いているときも普賢のことを考えていたのか。なるほどね。どうりで最近うわの空だと思ってたんだ。太公望から普賢を取り上げるなんてことはできないし、逆もまたしかり。この場面で他の人の話をするのはそりゃあ無粋にはちがいないけれど、普賢だからね、仕方ないっていうか、嫉妬っていう気分でもないし——
「いたっ!」
いきなりぐいと髪を引かれた。片手で無造作に髪を掴んで、太公望がふわりとひとつ欠伸をしたところだった。
「朝まで起こすなよ」
掴んだ髪に頬をうずめ、太公望は目を閉じた。寝顔のかわいさに思わずぽんぽんと頭を撫でようとしたら案の定、払いのけられたけれど、それもまたどこまでも不器用な愛情表現だと知っている。
「ニヤニヤするでない」
「寝てないならもうすこし話そうよ」
「寝ておる!」
夜はまだ長い。寝息を数えながら太乙も目を閉じた。