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DUNGEON DE RONPA



✣三章

岩瀬「じゃあ、また……後で……!」
狐悔「うん、また後でね〜!」

えら子ちゃんとお散歩していると、すみちゃんと愛螺ちゃんが手を振りあっているのを見つけた。
何してたんだろう、その様子を見つめているとすみちゃんはどこかに行ってしまった。

目が合うと、愛螺ちゃんはにこにこしながらこっちに来てくれて。

『何かあったの?すっごく嬉しそう!』
狐悔「えへへ、分かる?実はね!二人で絵本作ることになったの!すみちゃんに字を書いて~ってお願いしたんだ!」
廻「狐悔さんと岩瀬さんの合作ですか……す、凄いものが出来上がりそうですねっ……!」

狐悔「びっくりして腰ぬかしちゃうくらいのやつを作って見せるから、楽しみに待っててね~!」

愛螺ちゃんの背中を見送る。
完成が待ち遠しくて、早く時間が過ぎればいいのにと願ってしまうほどだった。

――――――――――

星丘「読み聞かせだなんて、いつぶりだろうね」
ミリー「ええ、本当に。狐悔さんや岩瀬さんが主体となって、矢張さんや服部さんや……結構な方にお話を伺って作ったと聞きましたの。きっと、素晴らしいものですわ」

雨車「お兄さんも色々お話しましたよ~。どんな内容になったのか、とっても気になりますね」
宙八覡「アタシも聞かれたわ。どういうジャンルになったのか見当もつかないわね」

絵本がついに完成したらしく、せっかくだからみんなで見よう!ということになった。
「それなら私が読み聞かせしてあげる!」という愛螺ちゃんの言葉に甘えて、こうして読み聞かせ会が開かれたわけだ。

狐悔「集まってくれてありがとう!じゃあ始めるね……!」

ぱらり。
絵本が開かれる。

―――――――――――

矢張「凄かった……もう少しで涙が止まらなくなるところだったわ」
岩瀬「……楽しんでくれたなら、良かった、です」

日暮「映画を見終えた後のような満足感があるよ。各々の分野ごとの専門知識も、説明口調にならない程度に子供でも分かるように取り入れられていて……
服部「ああ、それにどの絵も可愛かった!流石としかいいようがないな」

『ハナノくん、嬉しそうだね』
中心「なんというか、悪いやつの悲しい過去だったり……みんな幸せになれてよかったなって、思いました……!」

廻「あの……狐悔さんの読み聞かせ、とっても良かったです……!」
狐悔「ありがとう!手伝ってくれたみんなのおかげだよ〜!」

結果は大盛り上がり、みんなに笑顔が戻ってきたような気がして、私は嬉しかった。

幸せな時間に戻れるんじゃないかと思うくらいだった。
今までのコロシアイが全部夢で、それで……

非日常が1歩1歩確実に私たちに近づいてきているなんて知らずに。

幸せを許してくれない人がいることを忘れていなかったら。
きっとあんなことにはならなかったんじゃないかと思うの。

🦄

今日は、みんな楽しんでくれたみたいで良かった。

誘われた時はどうしようかと思った。
思わず断ろうとしたけれど、別に嫌なことをお願いされているわけでもないし……むしろ、わたしの好きなことだったから。

狐悔さんは、思っていたよりも怖くなくて。
わたしのお話もちゃんと聞いてくれるし、こうした方がいいかもって言ってみたら取り入れてくれたし……

ここから出られたら、またああやって一緒になにか作れたらいいな。

がつん!
頭が真っ白になってしまうほどの衝撃に襲われ、びっくりして、痛くて。その場に座り込んでしまう。

痛いよ。辞めて。
わたし、なにか悪いことしちゃったのかな。

ごめんなさい。

謝っても許されないことをしちゃったんだろうな。
頭がクラクラして、次第に何も感じなくなっていく。

ぼんやりとした視界の中で、キラリと何かが光ったような気がした。

🦄

それにしても、凄かった。
出来上がったものの素晴らしさもそうだし、誰かと何かを作ることがこんなに楽しいだなんて知らなかった。

普段は、創作とは無縁のことをしているから、尚更楽しかったのかもしれない。
それに、私が声を荒らげてしまってもみんなが受け入れてくれたこともあるんだろう。

からかわれると怒ってしまうのは私の悪い癖だ。
そういう距離の詰め方があるのは知っているし、悪意ない言葉に怒ってしまう時もある。

ここの人たちは、みんな優しい。優しすぎる。
確かに、コロシアイは起こってしまったけれど。原因はモノリィにあるのだから。

このままずっと過ごしていたい。
そんなワガママなことをお願いしたのが悪かったのかしら。

深く深く突き立てられたナイフは、私の命を確実に狩り取っていく。
あまりの痛さに息をすることも出来なくて。けれど、どこか遠い世界の出来事を見ているかのように冷静な自分もいて。

……あの子は、ずっと悲しそうな顔をしていた。
別に、私は大丈夫よ。だから、心配しないでちょうだい。

🦄

悪くない……私は、悪くないっ!

仕方の無い事だったの。
みんなが褒めてくれたから。だから、次はこれを超えるような最高の物を作り出さなきゃって!

最高の絵本を作るには、こうするしか……人を殺すしかなかったの!
それ以外の手段なんて知らなかった、だから、こうして…………

星丘「そんなことなかったんじゃない?キミは、超高校級の称号を冠するまでの才能を持っているんだから。探せば他に道はあったはずだよ」

「狐悔愛螺さん」

【クロが特定されました】

狐悔「他の方法があったら、どれだけ良かったと……
……私が、どれだけ悩んでたか知らないくせに」

ガチャン。
アームが首輪のように……いや、そのまま息の根を殺すような勢いで締め上げてくる。

そのまま、どこかへと引きずられて。
首の圧迫感が無くなり、瞼を上げるとそこには……


【オシオキ開始】

連れていかれた先は、人気のないどこかの道。
フラフラと歩いていると、ガサガサ……と音がした。

ふと後ろを向くと私のお友達のクマさんがそこに立っている。

気がつくとそばに居たお友達。皆には見えてなかったらしい私のお友達。

声をかけようとした。

近づいた。

顔に痛みが走った。

痛み?どうして?

自分の頬を触ると赤がある。これは血だ。

眼前には野生の熊。あれ、私のお友達は?

あれ、あれ、あれ。

考えている暇なんてない。逃げないと。

逃げる、逃げる、逃げる。足を動かして逃げる。どうにかして逃げる。

チリン、と音が鳴る。リボンが取れた。蜜柑も落ちた。それでも走る。走る。走る。

足音が増えた。明らかに増えている。それでも気にせず走る。走、あ。

足が止まる。急ブレーキを掛けるように。

目の前には煉瓦の壁。壁?なんで?

後ろを振り向くと、

「あ」

最期、何故か口角が上がった。

【オシオキ完了!】

……鞭ばかりで可哀想ね。そろそろ飴をあげたらどうかしら」

……調子に乗るのも程々にしておきなさい。貴方はただの協力者なんだから」

✣三章 「夢見るためのおまじない」完
✣三章シロ 岩瀬すみ様、矢張柚弥様
三章クロ 狐悔愛螺様