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DUNGEON DE RONPA



✣一章


コロシアイ開始が宣言されてから一週間が経った。
その間、誰かが怪我をする、とかも全然なくて。

平和だった……んだと思う。
でも、前よりはみんな元気が無くなっていた。

きっと衰弱してるんだ。モノリィさんの言葉を思い出したのか、誰かがそう零す。

祀「そんなことないですよ!私、大分元気になりましたからね。衰弱してるならありえないでしょう?」

そういって祷くんが腕を振る。まだ痛むのか、直後に腕を抑えて、天夢ちゃんに怒られていたけど。

このままコロシアイなんて起きなかったらいいのに。外に出る方法が見つかればいいのに。
そう思っていた矢先のことだった。

モノリィさんがあの時のような冷たい目をして現れたのは。

振り下ろした手が指し示すのは、驚いて目を見開いたミリーちゃんで。
飛んでいくものを止める術を持たない私は、ただ危ない、と叫ぶことしか出来なかった。けど。

ミリー「……どうしてっ……!」

碧夢くんがミリーちゃんを庇うようにして、盾になるようにして躍り出て。

かすり傷だ、と碧夢くんはいうけれど、とてもそうとは思えない量の血が流れ出していた。

モノリィ「3日以内にコロシアイが起きないようなら、今度は本当に殺すわよ」

3日間という期限を告げて、モノリィさんは去っていく。

ピリピリとして、なんだか嫌な空気。
険しい顔になったみんなを見つめ、これからも前みたいに楽しく過ごせればいいのに、と思った。

―――――――

廻「その……顔色が悪いですけど……大丈夫ですか……?」
『あ……大丈夫だよ!』

えら子ちゃんが心配そうな顔で聞いてきてくれたから、これ以上心配させたくなくて、めいいっぱいの笑顔を作る。

廻「そ、それならよかったです……
『うん、元気だから心配しないで!……えら子ちゃんは大丈夫?』
廻「大丈夫、ですよ。ちょっとだけ頭追いついてないんですけど……

へへ、と笑うその顔は、なんだか無理しているように見えた。
えら子ちゃんもこれからのことが不安なのかな。

廻「あっ、そうだ……!身の安全を守るため、とでもいいますか……こ、これからはなるべく誰かと行動するようにしようって、話が出まして!」

じゃあ、しばらく一緒にいてほしいな、とお願いしたら、えら子ちゃんは頷いてくれた。
そのまましばらくダンジョン内をうろうろとしていると、フィリップくんが向かい側から走って来たのが見えた。

緑愛「居た居た~っ!!アンタたちのこと探してたんですよ!!」

なんでも、伝言を預かってきたらしくて。
今日は気分を上げるためにモノリィさんに頼んで立ったまま食べられるパーティが開かれるらしい。

こうやってパーティが出来るくらいだもん。やっぱり、コロシアイなんて起きるはずがない。
そう、思っていたのに。

🦄

ステージのような場所で、縫衣口サン、星丘サン、ロベールサンがショーを行っている。
超高校級、と称される彼らの実力は素晴らしいもので、思わず魅入ってしまった。

……驚いたことに、このパーティでは温かい紅茶も淹れてくれるらしい。
断りきれず、勧められたままソーサーごとカップを受け取り、適当なところで飲もうと会場内をうろつく。

立食パーティなだけあって、空いているテーブルや椅子の類がどこにも見当たらないことにため息を吐く。
この熱い紅茶を飲み干すまで、俺は両手を塞がれたままなのかと思うとなんだかうんざりとしてしまった。

まだ湯気の立ちのぼるそれに口を付け、カップを傾ける。
誰かに淹れてもらった紅茶を飲むのって、結構久しぶりだから。これで不味かったら、俺は絶叫してしまうかもしれない。

なんだ、これ。

内臓がぐちゃぐちゃとかき混ぜられているような気持ち悪さと、全身に広がる痛みでどうにかなってしまいそうだった。
耐えられずに倒れた俺に数名が駆け寄ってきて、酷い顔をして覗き込んできたのが見えて。

……あの人と同じ最期なはずなのに。
きっと、俺の有様は見るに堪えないものなのだろうな。

そう思うと、なんだかおかしかった。

🦄

僕は、悪くない!
悪いのはこの環境を作り出したモノリィさんでしょう!

そう涙ながらに訴えて見ても、みんなの目線は冷たかった。
ゴミでも見るような目と視線が交差すると、あんなに優しかったみんなが別人に成り代わってしまったかのようで怖くて、辛くて。

どうして、僕のことを信じてくれないの?
だって、誰かを殺さなかったら。自分が死んじゃうかもしれないんだよ。それでもいいの?

雨車「貴方は、モノリィさんの言うことに縋るしかなかったんですね……

「縫衣口グリムくん」

【クロが特定されました】

縫衣口「僕は、悪くないんだよ?だって、こうしなきゃ、だって……

涙が止められない。
仕方がなくやったことだったのに、巡り巡ってみんなのためになることだったのに!どうして僕を蔑んだ目で見てくるの!

……あといくつ理由を話したら、みんなは許してくれるの!

縫衣口「だって……だって。だって、だって!」

近くにいた中心くんに一生懸命話してみても、怯えられてしまっただけで。
酷いよ、なんでそんなに僕を怖がるの?

モノリィ「……そろそろいいかしら。秩序を乱すクロには、オシオキをしないと」

モノリィさんがそういうと同時に、どこかから伸びてきたアームが僕の首を絞めつけた。

縫衣口「やだ、やだ、やだやだやだやだっ!!」

誰か、助けて!
僕の心の声に応えてくれたのか、数名が引き止めるように手を伸ばしてきてくれた。

でも、その救いの手は。僕に届くことはなかった。

✣一章 「慈愛の手は縫い留められる」 完

✣一章シロ 緑愛フィリップ様
一章クロ 縫衣口グリム様