Hizuki
2018-09-16 10:07:35
10500文字
Public FF14
 

14ふせったーログ[オル光・ルン光・アイ光・その他]

【FF14】オル光・ルン光・アイ光・その他。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。




『ご命令を、お姫様』(ルン+光)


プリンセスデー。
それはソーン朝期のウルダハを起源とする伝統的な行事。
選ばれた市民の女の子に、王が1日執事として付き従う。
時代が変われば、その様子が姿を変えるのも自然な成り行きだと言える。

「歌姫達の公演、今日も盛況だなぁ」

ナル回廊の一角では、三歌姫と呼ばれる女の子達が歌と踊りを披露している。
その子達に住民も、冒険者も同じように熱い声援を送っていた。
公演の様子を遠目に眺めながら、オレの横に並ぶ弟子がそう呟いた。

「しかしプリンセスデーも様変わりするものだな」
「今は王様じゃなくて女王様ですからね」

現ウルダハを治めているのはナナモ女王。
女王である以上、王が市民にということはできないということになる。
だからこそ、今のプリンセスデーではこのような盛り上がりを見せているという部分もあるのだろう。

「でも、面白いですよね。王様が一般の女の子に従うって」
「本来なら絶対ありえないことだから尚更だろう」

選ばれた1人の女の子を姫として、王自らが付き従う、か。
女の子にとっても、王にとっても、それは特別なことに違いない。

「お姫様、かぁ

そう言いながら彼女はもう一度歌姫達の舞台に目を向ける。
声にはほんのわずかな羨望の色が見えた。
帽子を取って左足を引き膝をつく。
頭を下げて、口を開く。

「何なりとご命令を、お姫様?」
「えル、ルンさん、何を!」

彼女のやや戸惑った声が上から降る。
少し顔を上げて様子をうかがえば、見たことがないほどに顔を真っ赤に染めた彼女の姿。

「お前だって女の子だろ?まぁ、オレは王じゃなくて師匠だけどな」

全ての女の子のための日だというのなら、もちろんオレの弟子だって例外じゃない。
英雄だ何だと言われているが、それ以前に目の前にいるのはただ1人の女性だ。
見ようによってはこの赤魔導士の装束だって、執事の格好に近いものに見えなくもない。
いや、やっぱり無理があるか。

「えっとえっと

どんな場でも冷静に対処してきた彼女がこうも慌てている姿が見られているのだから、それだけでも十分。
とはいえ、こじつけと言ってしまえばそれまで。

「む、無理!私にはお姫様なんて無理ですぅぅぅ!」

くるりとオレに背を向けるとそう言いながら走り去った。
人々は公演に夢中で彼女に気を向けるものはいない。
ついさっきの様子から考えるに、心底嫌がっているようには見えなかった。
逃げ出したのはきっと照れ隠しだろう。
立ち上がって彼女を探しに行こうとすると、地面で何かが光っている。
拾ってみればそれは彼女が着けていた赤い宝石の付いたイヤリング。

さて、お姫様を探しに行くか」

彼女とウルダハで出会ったのはただの偶然。
持ち主が分かっているのならば返さないわけにもいくまい。
向かったのはザル回廊の方向。
当てはないがくまなく探せば見つかるだろう。
帽子をかぶり直すと、彼女の足取りを追ってザル回廊へ向かった。