MN*B
2024-06-19 01:05:45
13883文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

頭に響くは怨嗟の声

 前回はシリアスホラーな戦闘描写有な話でしたが、今回はギャグ有のノリ軽めです。
主人公ネームレスじゃないんですけど、出すタイミング逃しました。次話には出す予定です。
注意書きは1ページ目にあります。(シリーズの説明文のとこにもあります)

 前作の閲覧、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。
すごい設定の小説なのに読んでくださって感謝してます。

 アニメの感想になるんですけど…9話を二回見て気づいたんですが、伏線の張り方えげつないですね。
映画館の受付のお姉さんの腕時計。映画館の掃除用具横に落ちている服。
人間の調達先がちゃんと描写されてるの、見習いたいところです。
 
 
 


#オリ主 #五条悟 #夢術廻戦 #伊地知潔高
2021年1月9日 22:00



 場所を移動して、ソファーとローテーブルのある部屋。二人向かい合って座っていた。
ここも窓はなく、コンクリート打ちっぱなしの壁と床だ。
裸足でいる俺には、そんな床は冷たかった。

 「つまり君は、自分が成人済み女性で、解離性障害を患っているって言ってる?」

不審そうに、疲れをにじませた声で聞いてくる彼には悪いことをしたと思う。
自分でもややこしいことになってるからな。でも事実だから仕方ない。
そうなるな。と首肯してみせると、彼は突っ込んだことを言ってくる。

「いやサバ読みすぎでしょ。チンコついてたし」

 そう、何度見てもチンコついてた。
俺の知識が間違ってる可能性もあったから、彼にも見てもらった。チンコだった。
 余談だが、確認するための構図がヤバくて、彼には申し訳ないことをしたと思ってる。
少年(見た目)がズボンのウエスト部分を引っ張って広げてみせたところを、上から覗き込む成人男性。
俺がそうさせた側だが、圧倒的事案。つーか、目隠しごしに見えてるのか

 用を足した後、手洗い場で手を洗いつつ備え付けの鏡を見たらさらにビックリした。
最後見たときより幼い顔つきに、短くてまとめることもできない長さになった髪の毛。
しかもそれが眼鏡をかけていないのにバッチリ見える。もちろんコンタクトもしていなかった。
今まで違和感持たなかった俺はマヌケだな?
ついでに切られたはずの腹部も見てみたが、傷跡や縫い跡もなかった。胸の脂肪もなかった。

 髪の毛は戦っているときとか病院で切られた可能性もあるし、顔つきは気のせいかもしれない。
だが視力が良くなっていたり、ないはずのモノがあったり、あるはずのモノがなくなっている理由がつけられなかった。

 しかし現状、相手にとっては俺が本当のことを言っているのか確かめようもない。
そのためそれ以上追及してくることはなく、話題が切り替わる。


 「さっき君には名前、年齢、住所から通院している病院まで用紙に書いてもらったけど、それの確認がとれるまで少し話でもしてようか」

と、相手の雰囲気が変わり、真剣な話になるのがわかった。
向かい合って座っている彼は、肘を膝に乗せて、低く前のめりな体勢をとった。

「まず、あの場所で何があったのか話してほしい」

あれが本当の事なのか自分でも懐疑的だったが、話さなければならないだろう。
思い出すのはあまり気乗りしないなと思いながら、口を開いた。

わかった」



なんとなく散歩に出たこと。
行きついたのが小学校だったこと。
その横の森に入ったこと。
荒れ果てた森、拾ったケータイと通話。
吹っ飛ばされたこと。あの男のこと、話していたこと。
化け物が見えるようになったこと。
そしてまた別の化け物が現れたこと。
その化け物に男共々切り裂かれたこと。
そして

「男が持ってた指?みたいなやつを、化け物が食ったら

 そこまで話すと、俺は黙って顔を伏せた。
その先は、本当にあったことなのか自信がもてなかったからだ。
話したことも十分現実離れしていたけれど、この先を話してしまえば

君が殺したの?その化け物」

罪の告白。

彼はおそらく知っている、俺が殺したということを。
この話の流れでそれを聞くということは俺が何をしたのか、彼は見ていたことを悟った。

「俺が、ヒイラギさんを殺した」

見た目や在り方は化け物だったけど、声が聞こえたから。
自分を見失い、ただ彷徨うくらいなら、静かに眠っているほうがいいと俺は思った。

だから、俺は殺した。

どこから湧いて出てきたのかいつの間にか握っていた、あの黒い拳銃を使って。
あの時の俺には、相手に死を与えたという確かな感覚があった。


 「君が殺したのは化け物だよ」

確信のこもった言葉が、重く響いた。
俺は伏せていた顔を上げて、そう言った彼を見つめる。
黒い目隠しによって隠された眼が、こちらを向いていた。

「君の言ってるヒイラギさんがどっちを指してるかはわからないけど、君が相対していたのは人間の柊魚じゃない」

「人である柊魚はすでに死んでたよ」