MN*B
2024-06-19 00:59:31
13029文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

その身に巣食うは蠱毒也て

考えた時系列がちょうど今の時期にぴったりだったので、勢いで書きました。投稿するのは初めてでして、読みにくかったらすみません。
詳しい注意書きは小説1ページ目、もしくはシリーズ概要にあります。
アニメはまだ8話までしか見てません…矛盾やおかしいところがあったら、どうにか修正加筆しようかと思います。
オリジナルモブがいたので、一応オリキャラタグ入れてます。

追記:いつの間にかブックマークを100以上もいただいてました!ありがとうございます。



#オリキャラ #五条悟 #夢術廻戦 #オリ主 #二次創作小説1話リンク集 #夢術廻戦100users入り #もっと評価されるべき #夢術廻戦長編第一話リンク #名作
2021年1月6日 22:51



 「先輩〜待ってくださいよ〜!」

2級になったばかりの呪術師、柊魚(ヒイラギ)は、先を足早に歩いていく男に声をかけた。二人の身につけている武器装備がチャキチャキと甲高い音を立てている。
男は止まりこそしないが、進んでいこうとする足を緩めた。それに柊魚は少しホッとした小さいとはいえこんな森の中では、明かりも持たずにいる先輩を見失いそうだった。
進んでいるのが一本道だといっても、この先輩とはぐれれば、自分は生きて帰れるか危うくなるのだ。
というのもここに入る前、チラりと見た校舎では2級くらいの呪霊が一体以上発生していたのが目に入っていた。3級以下ならもっと居ただろう。
一体ならまだしも複数を相手にしたら死ねる
そんな校舎を横目に、二人はこの小さな森に入った。
隠されている特級呪物を回収するのが、今回の任務の最優先事項だったから。


 しばらく歩けば道は行き止まりで、あるのはコンクリートで固められた人工的なため池と、そこへ汲み上げられた水が小川になる始まりの部分だった。
作られた川の小さなせせらぎだけが場に満ちていて、マイナスイオンとやらが出ていそうだ。

封印、解けかけてるんですよね?」

パッと見たところ、何の変哲もないように柊魚には思えた。校舎の方がよっぽど怖い状態だろう。
チラりと、先輩である男の顔を覗く。相変わらず眉間にシワが寄っていたが、いつもより深くキツく寄って見えた。

「回収する、それが任務だ」


 小川となる水の流れを一時的に止める。呪物の回収にはその作業が必要だった。先輩が元からある設備を使い、ため池からの水を塞き止めていく。少しの間なら、ため池から水が溢れることもない。
柊魚はぶるりと身体を震わせてそれを見ていた。
水が引いていき、石とコンクリートで作られた水底が見えてくる。周りに苔も生えず、藻もこびりついていないそこには、言われていなければ見つけられないような、ひっそりとした四角い切れ目があった。
 川のあった場所に降りて屈みこみ、石の凹凸に指をかけグッと力をこめると、カランと音を立てて石板が外れた。

「うわっ」

思っていたよりも軽くて、柊魚は思わず尻もちをついてしまった。

最悪」

先程まで水が流れていたところだ。当然地面についた箇所から水が服に染みていく。真冬にこんなことになるんて
傍に寄っていた先輩が、首を振っているのが見えた。寒さによって見える白い息が、彼のため息の大きさを物語っている。
自分が足手まといみたいじゃないか〜!
恥ずかしさから、勢いよく立ち上がってパタパタと服を叩く。水は染みてしまっていて意味をなさない行為だが、動くことでこの恥という熱を誤魔化したかったのだ。
 柊魚がそんなことをしている間に、男は無言のまま蓋の外れた水底に手を伸ばした。
手のひらに収まるほどの箱をそっと取り上げ、表面を撫でるようにして開ける。木々の間から入ってくる僅かな月明かりで、開け放たれた桐箱とその中身が照らされていた。


 「両面宿儺の指だ

ボソリと、呟かれた。
その手には呪符でぐるぐる巻きにされ、中身が何なのかわからない代物がある。

「透坂(トオザカ)先輩?」

柊魚は箱の中身を見つめる先輩へ声をかけた。
それの封印は解けていないはずなのに、嫌な感覚が肌を撫でまわしている。

「前に両面宿儺の指を見たことがある。とは言っても、封印のされたままの写真だけだ」

これとそっくりの物だ、と彼は呪物を顔の前に掲げる。

「特級呪物だとは聞いていたがまさかコレだとはな」

強い封印はされたまま、残穢すらあまり漏れていない。だが他の呪霊を牽制するには十分に思えた。

「先輩、それ気持ち悪いから早く箱にしまってくださいよ回収任務でしょ」

柊魚はもう早く帰りたくなっていた。封印が解けていなくても特級呪物は特級でヤベー呪物だった。これならまださっき校舎で見た呪霊と戦った方がマシだと思う。

 「先輩、上に連絡してアッシー君呼びましょうよ〜。ついでに帳はってもらって、校舎の方の呪霊もパパ〜っとやっちゃいましょ?ね?」

じゃ〜んと、ポケットから携帯電話を取り出してみせた。来る途中に買って付けたご当地キャラのストラップが、ゆらゆらと左右に揺れる。
それに見向きもしない透坂先輩は、ただただ呪物を見つめたまま話した。

なぁ柊魚」

「なんですか?」

「呪物の封印が解けかけてもいないのに、なぜこの辺りに等級の高い呪霊が湧いているのか。報告によれば、この町全体にその傾向が見られた」

そういえば確かに呪物の封印が解けかけているから呪霊がいるのかと思っていた。実際のところ封印はまだ大丈夫だった。
木々の向こうに見える暗い校舎で、這いずり回っているであろう呪霊が枝葉の間から見えたような気がした。
すすすっと、先輩の隣に並ぶようにして立つ。やっぱ一人だと死ぬかも。
横から覗き込んだ先輩の眉間には、やっぱりシワがあった。

「ここは田舎で、年々人口も減りつつある。そんなところで2級に近い呪霊が確認されたそれも特級呪物が置いてある付近でだ」

チラりと目を向けるのは、水のなくなった川底と、もうすぐ溢れてしまうであろうため池。そういえば水を塞き止めたままだった、元に戻さなきゃ。
先輩はそのことを忘れているのか、次はぼんやりと木々の間から見える町を見渡した。

「おそらく上は封印の緩んだ呪物のせいだと考えていたんだろう。もっとも封印が解けていようがいまいが回収はされるがな。今じゃこの場所にこれは過ぎたるものだ」


「話を戻そうなぜ呪霊が湧いているのか、それは分からん。誰かが呪物でも持ち込んだか、死人でも出たのか」
それを聞いた柊魚は思わず「ウェ〜ッ」という感情を顔と声に出す。
それを見ていた透坂は、ふっと眉間に寄っていたシワも薄くなり、表情が消えた。

「まぁ関係ない。今からもっと増えるからな」

チャキと装備の音が鳴る。

「えっ透坂せん」


「死人も呪霊もな」