匣舟
2024-06-18 20:51:46
27049文字
Public 東リベ
 

東リべ短編まとめ

いままで書いたと〜りべ短編(〜10000字)のまとめです




「ミチ、迎えに来た。」

 予告通り、彼らは私の家まで律儀に迎えに来てくれた。さあ行きましょうか!と家を出ようとする私に待ったをかけるようにココくんが私の手を掴む。

……集会遅れますよ?」

「まだ時間はあるだろ?ま、座ってくれ。」

 するりと自然な動作で玄関に座らされた私は履いていたブーツを脱がされる。そして、さっきからイヌピーくんが肩にかけていた紙袋から箱を取りだした。パカッと目の前でその箱が開けられたので中身を見てみると中に入っていたのは綺麗な、青色のハイヒールだった。

な、んですか?これ、」

「オヒメサマになんてなり得ないって思ってる誰かさんへのプレゼント、かな?」

「オヒメ、サマ、」

 幼い頃の私が、ずっと憧れていたもの。いつか王子様にガラスの靴を持ってきてもらって、迎えに来てもらうんだ!なんて意気込んでたんだっけ?というかなんでそれをココくんが知ってるの……?とテンパっていると、その考えをくみ取ったのか、ミチのお母さんがな、昔はずっとシンデレラのようなお姫様になりたい!って言ってたのに今は女の子っていうより男の子に近いって気にしてたのよ。って前聞いたんだよ。というのをココくんが喋ってくれた。……母さん、変なこと言わないでよ……。言ったけども!ファッションセンスがダサいから二人の隣にいると街ゆく女の人に睨まれるとも言ったけど……!なんで言うのかなあ!!キッチンで食器を洗っているであろう母さんに変なこと言わないでよ!という念を送る私に、ココくんはフッと笑みを零しながら私の頭を撫でた。

ミチの考えるオヒメサマなんて知らねェけど、オレたちの考えるオヒメサマってやつはお転婆だけど、弱くても仲間のために立ち上がり続ける強い志を持ってるヤツの事だよ。なぁ、イヌピー?」

「ああ。オレたちのオヒメサマはオマエだけだ、ミチ。」

 オマエにはガラスの靴じゃきっと脆いだろうから、ミチの瞳みたいに綺麗な青いハイヒールをな、イヌピーと一緒に探したんだぜ。というココくんの解説が入る中、いつの間にか盗み聞きしてた母さんの絶叫のような歓声が後ろから聞こえた。いつもなら母さん!と叫ぶところだが、私はそれどころではなかった。
お姫様発言もそうだけれど、イケメン二人に跪かれているこの現在の私の状況にテンパらない人なんている!?いねえよなあ!?そうだよなあ!?とマイキーくんを脳内の中で真似していると、するりと足を撫でられたあとに、イヌピーくんとココくんが片方ずつ私の足にハイヒールを履かせてくれた。テンパりながら宙に浮いていた足を地面に付けると、コツ、という音が鳴る。
シンデレラの足にガラスの靴の靴がピッタリと合ったように、ピッタリと私の足にハイヒールが合った。まるで、自分がお姫様になったような、そんな感覚。綺麗な青いハイヒールを見ていた視線を上にあげると、イヌピーくんとココくんと私の視線が一気にかち合った。

「「さあ、我らがオヒメサマ。お手をどうぞ?」」

「ヒェ……

 視線がかち合った途端、半強制的に二人の手を握らされ立つのかなと思いきやチュッという可愛い音が静かな玄関に響いた。なんの音かと思えば、二人が私の手の甲にキスをしたみたいだった。

「きっききききき…………!?!?」

「アー、まだお転婆なオヒメサマには早かったかもなぁ、」

 動揺しすぎてきききとしか喋れなくなった私をそんなミチもかわいい。とイヌピーくんが撫でる。後ろの扉からもう結婚ね……これは……という母さんの気の早い声が聞こえる。最早動揺しすぎてつっこむ気にもなれなかった。誰か、収拾をつけてくれとさえ思う。

「これからも、ずっと一緒に歩いていこうな、ミチ。」

「約束だぞ?」

 そんな気の早い母さんの発言を聞いたのか将来の約束まで取り付けてくる彼ら。……アレ、もしかして外堀埋められてね?と気づいてココくんを見たら舌をペロッと出された。か、確信犯だっただと……

「な?ミチ?」

 そう言って詰め寄ってくるイヌピーくんとココくんに適うはずもなくひ、ひゃい……。と言ってしまった私。結局、集会には20分オーバーも遅刻したし、青ハイヒールを履いて二人にエスコートされながら神社に登場(?)してしまったので、マイキーくんのドスの効いた「は……?」 という声と神社に絶対零度が吹き荒れるまで、あともう少し。