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黒竹
2022-05-30 21:05:34
20516文字
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ビブリオテイクは狭すぎる
【ルカミク】現パロ。
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帰宅してからパソコンでミクのブログにアクセスしてみた。先ほど携帯電話から見てみたのだが、思いのほか長文で目が疲れてしまった。それに内容も、あの小さな画面で読み込むには骨が折れるほど充実していた。
可愛らしいデザインのブログは、見た目に反して文章が固い。顔文字も記号もなく、ですます調で書かれたそれはしかし、感情がない事務的な書き込みとも違っている。登場人物に感情移入してしまう過程であるとか、構成についての的確な感想とか、なるほど、よく読みこんであるのだと傍目にもすぐに判る文章だった。
『二人で過ごす時間は、彼らにどんな変化をもたらしたのでしょう。それは草木が芽吹くようにゆっくりとした心の変化でした。
けれど種がなければ花も樹も生まれないように、きっとどちらにも、初めからその想いはあったのです。
それなのに社会や立場、色々なことが原因で彼らは結ばれませんでした。悲しいと思うところもあるけれど、二人は恋人同士になる以上に、もっと深いところで結びついたのだと思います。
空でした二人きりのダンス。風の抱擁。場面がすんなり頭に浮かんで、口付けよりも熱い愛情がじんわりと沁み込んできます。
判りやすい恋の成就だけが幸福ではないこと。想いを通じ合わせる方法はひとつではないのだと、そう語りかけてくる優しい物語でした。』
ブログにありがちな日常の話題はなかった。本当に読書感想だけを載せるために使っているようだ。
「ああ、これ
……
」
いくつか見覚えのある書名もあった。図書館で貸し出したものだ。ルカは読んだことがないけれど、ミクがその本をずいぶん気に入ったことが伝わってくる。少し興味をひかれた。
「なるほど、確かに参考になるわね」
有名無名ジャンル問わず感想が載っているので、何か面白い本はないだろうかと悩んだ時にはかなり有用そうだ。
それにしてもこの長文をほぼ毎日書いているのか。マメなことである。タイピング速度はどのくらいだろう。
「語彙も豊富だし、高校一年生の女の子が書いてるとは思わないわよね、これ」
それもあんなに可愛らしい子がだ。ブログに書きこまれたコメントを見ても、ミクにそういう接し方をしている人はまったくいない。社会人だと思われている節さえある。プロフィールは名前だけで、それも年齢性別が判りにくいハンドルネームなので仕方のないことかもしれない。
ちょっとした優越感。自分は彼女の正体を知っている。相対したことだって何度もある。
まあ他の友人知人に教えたりしているのかもしれないが、それでも腹の底はくすぐられる。
今度ミクが来たらブログの話をしようと考えて、ルカはその思いつきを楽しみにしている自分に気づかない。
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