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アスナショウコ
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【創作|馬子軸】アンシーリーコート
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外伝 バスカヴィルの魔犬【中編】
あらすじ
舞台は英国。不可思議な事件を巡る、残された者の物語――。
ベイカー・ストリート221Bに暮らす小説家、エマ=ジェームズ・ワトソンにある人物からとある純血貴族の不可解な死を解き明かしてほしい、と依頼が届く。忽然と姿を現した魔の犬。青い炎を吐き出す口、真っ黒なその犬に狂気を見出して死んだ男。これは殺人か、それとも神秘の気紛れか? ワトソンとシャルルマーニュはその地、ダートムーアへと向かう。
前編→
https://privatter.me/page/6596ce95596b9
後編→
https://privatter.me/page/659d3ad0c5cc4
2024/1/9追記 終わりそうなので数字消しました。後編の量おかしいやん?とか言わないで。泣くぞ。22歳成人のガチ泣き披露するからな。
感想や応援よければ→
https://wavebox.me/wave/b064pup7uhwd9l39/
スペシャルサンクス:笋様、Littorio様
いつも遊んでくださってありがとうございます。
笋様より『鳥の一族』の皆さまのお名前や一部語録などをお借りしております。
Littorio様より『渡りの一族』の皆さま、アマネセール家の御家名をお借りしております。
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***
昨晩の夕飯の味がしなかった話は、シャルルマーニュにも、誰にも話してはいない。結局目を覚まして朝に食べたクロワッサンとロイヤルミルクティーはしっかりと味を感じる事ができたのだ。疲労のせいだろうと結論づけて考えるのをやめた。
窓の外を見ると朝日に照らされて輝く草原と沼沢地が見える。昨晩の薄気味悪さを一切感じさせない爽やかな景色に胸を打たれながら、私は隣の部屋に泊まっているシャルルマーニュの元へ向かった。手分けして周囲やバスカヴィル邸の内部を色々調べておきたかったが、結局昨日は部屋に戻って即寝落ちたため、何もできないままに終わっていた。
「それで何から調べるよ。昨日あんなに起こしたのに起きねえし。ったく、どうなってんだ」
「
……
は? いつだ?」私は驚いて思わず数秒ぽかんと口を開けて固まった。
「部屋戻って、荷物解いてすぐだよ。お前昨日のまんまじゃん。シャワー浴びてきたら」
「確かに
……
いや待て。シャル、お前私が爆睡している所を見たのか?」
「あっ! 今シャルって呼んだ!」どうでもいいことに反応するので一回引っ叩く。
「今それはどうでもいい! どうなんだ!」
「見た、見たに決まってんだろ! その格好のまま靴も脱がずダブルベッドの上ですやすや熟睡、揺すっても引っ張ってもスリッパで叩いても起きねえし」
「スリッパで叩いた!?」
「そこは気にするのかよ!?」シャルルマーニュは私に揺さぶられながら、「ととととにかく熟睡してたぜ〜〜」
「
……
そうか
……
やられた。やはり杞憂ではなかったか」
どうやら一服盛られたらしい。私は杖を呼び出そうと手に魔力を収束させようとした。だが何も起きない。
「やられたって何がよ」
「
……
どうやら魔力封じの霊薬を飲まされたらしい。しかもかなりの量を」
「は!? じゃあお前
……
今魔術使えねえの!? じゃあ人魚の姿にも戻れねえって事か!?」流石に状況把握が早い。私はシャルルマーニュの部屋に入り、置かれていた猫足の椅子に腰を下ろした。
「
……
大量に飲むと副作用で昏睡する事例がある。昨日の夕飯だが、全く味がしなかった。盛られたとすればこの時だろう
……
だがこのまま魔力を封じられ続けると非常にまずい」
「具体的にどうまずいんだよ」
「感覚的に、恐らく『出力』のみを阻害されている状態だ。つまり体内で魔力は生み出され続けている。炉心のようなものだからな」
「待って。それまさか
……
」シャルルマーニュは察したのか小刻みに震えながら冷や汗を流して私を凝視した。
「ああ」
「『ああ』じゃねえよ!!!! 何冷静な顔してんだ!!!! ジェームズお前
……
お前それはつまりよ
……
」
「いずれ体内に蓄積できる限度を超える」
「爆発するって事かよ!!!!」
昔も似たような事があったな、と急に思い出した。爆発すると再生が大変だから嫌なんだが。そんなことを考えながら慌てふためくシャルルマーニュを眺める。
「
……
人魚の姿に戻れないのが厄介だ。変身は意外と魔力を使う。この時に排出する余った魔力を使って契約妖精への供与や、221Bであれば部屋に張り巡らせている防御結界用に回しているのだが
……
このまま魔力を出力できない状態が続くとお前の言う通り本当に爆散しかねん」
「どうにかしねえとじゃねえか。どうにかできねえのかよ」
「
……
どうしよう」
「思考放棄するな!! おいジェームズ、お前の事だろ、なんかもう思いついてんじゃねえのかよ!?」
「そんなこと言われても困る。こんな事は百数十年生きてきて初めてだ。これでも混乱している」
「顔が冷静すぎてそうには見えねんだよバカ!! と、とにかくお前はもう何も食べんな。いいか? 何か食べる前には俺が毒味を
……
」
「すまない」
「今度は何だよ!?」
「
……
さっき食べた」
「お前さてはポンコツ野郎だな?」
私はシャルルマーニュに一撃拳骨を喰らわされた。痛い。
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