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ひさね
2023-09-02 20:41:17
8222文字
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納涼祭
夏が終わるそうなので書いたホラーっぽいの。少しだけグロめの気色悪〜い話もある。
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(マリィの話)
怖い話、ですか? ううん、わたくし自身、あまりそういったものに詳しくなくて。
ああ、でも一つありますよ。それらしいのが。子どもの頃の話にはなりますが。
恥ずかしい話、子どもの頃は夕方まである座学がどうしても苦手で、午前中ぐらいはなんとか耐えていたのですが、午後からはどうしても駄目で。よく逃げ出して夕方まで隠れていたんですよね。城の管轄内の馬屋の裏、少し進んだ先の森で、よく遊んでいました。丁度、一人になれる絶好の場所だったんです。今思うと、危険極まりないのですが。
その日もそこで時間を潰していました。虫を捕まえたり、木に登ってみたりとか、枝で丸を描くとか。あとその日は雨上がりだったから、泥を見つけてバシャバシャしていましたね。靴も服もさんざ汚しましたね。中々、楽しかったです。
その時は、もう森の探索はしつくしていたので庭のようなものでした。縦横無尽に走り回っても迷わず帰れるの、意外と誇りだったんですよ。幼心に。
そしていつもの夕暮れ時、そろそろ帰ろうかと思って歩を進めると、何故か元いた場所に戻ってきました。あれ、と思って目印にしている木だとか、太陽の位置だとか確認しながら歩いてみるけれど、戻ってくるんですよ。さっきまで遊んでいたところに。
枝も丸も雑然と散らばって、赤くなっていました。夕日でというよりも、まるで赤いセロハンを通したように真っ赤でした。
そんな光景、見たことがなかったので、少し怖い、と思いました。
その時、子どもの声が聞こえたんです。一人じゃなくて、3人ぐらい。きゃあきゃあ、少し高めの声ではしゃいでいるようでした。
でも視界には何もいませんでした。自分が遊んだ痕跡があるだけです。
声のする方向を見てみると、そこに見たことのない道がありました。それなりに人の足で踏まれたような倒れた草が溝みたいになっていて、なんとなく進めそうな道でした。
それはもう、驚きましたよ。だって遊んでいるときは一切なかった道ですから。突然現れたとしか思えません。
その謎の道を前にまごまごしている間も、子どもの声は聞こえます。そこで、ふと、この先に行けば森を抜けられるのでは、と思いました。先に人がいるから、声がするんでしょうし。
一歩進もうと、足を踏み出すと。
馬がいななきました。耳元で、甲高く。
そこで目が覚めました。
あたりを見渡すと馬小屋の中です。太陽は高く昇っていて、まだ昼過ぎのようでした。どうやら、一番仲良しの馬の体にもたれかかって寝ていたようです。
さっきのは白昼夢だったのでしょうか。
ともかく、立ち上がろうとすると。
ぺしゃ、と足元で濡れたような音がしました。心なしかそこも重たかったです。
そろり、と視線を下ろすと、服の裾と靴が泥まみれでした。遊んだときにつけたものと、そっくりそのままです。
その後はすっかり怖くなってしまって、大人しく勉強しました。こっぴどく怒られましたが。
そして次の日、同じところに行ってみたんです。今度はサボりとかではないですよ?
結論を言うと、そんな道ありませんでした。そもそも、わたくしが遊んでいた痕跡すら全くありませんでした。その後、大雨があったわけでも風が強かったわけでもなかったのに。
一体、どこで遊んでいたんでしょうね。
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