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玲緒
2021-03-01 23:53:10
8466文字
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#sansterweek2021
Twitter企画#sansterweek2021に寄稿した小説のまとめになります。
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Day 7: Surface
三月六日
……
最後の日。
丸一日使って、サンズは彼を様々な場所へと連れ出した。共に暮らした都、共に働いた研究所、溶岩の蠢く赤い大地、青い花とクリスタルの輝く水の都に、一面の銀世界と、古びた遺跡へと続く扉の前まで
……
。行けるところには全て行った。少しでも多く、彼との思い出を残しておくために。
「君に会えて嬉しかった
……
とても、楽しかったよ
……
」
人口太陽が沈み始めた頃。雪深い町で一際目立つ大木の根元。大小さまざまな電飾で飾り付けられた大木の下に立ち、彼は寂しげに笑ってみせた。
もうすぐ、彼はサンズの前から消えてしまう。消えてしまったら、次に会えるのはまた一年後。
もちろん、寂しくないと言えば嘘になる。本当のことを言えば、ついていきたい。いくことが叶わないのなら、せめていかないでくれと縋りつきたい。消えないでくれと懇願したい。
けれど、それも叶わぬことだとわかっている。
そもそも、消えたはずの存在が目の前にいること自体がおかしいのだ。バグなのか何なのかはわからないが、彼を引き止めてはいけないことくらい、サンズにもちゃんとわかっている。
「へへっ、楽しかったって言うんだったらさ、そんな泣きそうな顔すんじゃねえよ。笑えよ、ほら
……
オイラみたいにさ」
だから、わざと明るく振る舞い笑みを作ってみせる。
「それに
……
もしアンタが望むならさ
……
このまま、此処に留まってもいいんだぜ?」
「!」
「どういう原理か知らねえが、こうやって姿を見せられてるんだから、此処に留まることだってできるんじゃねえの?」
そして、わざと相手の言葉を誘う。
留まるなんて言ってくれないことくらい
……
サンズにだってわかっているのだ。
「
……
ごめんね
……
」
サンズの誘いに、彼はゆっくりと首を振った。
此処には、ちょっとした休暇のような感覚できているだけだから、と小さな声で呟いて、無理に笑顔を作るスケルトンを見つめる。
「私には、まだまだ知りたいことがたくさんあって、追い続けたいことがたくさんある。だから、此処に留まるわけにはいかないんだ
……
」
「
……
そっか
……
」
「ごめんね
……
」
本当は、サンズの傍に居て、これから襲い来るであろう脅威から守ってやりたいのが本音だ。だが、それは叶わないことなのだとわかっている。手を出すことすら叶わないのだと。
それが非常に悔しくてたまらない。目的のためだったとはいえ、世界から去った過去の自分を呪いたくて仕方がなかった。そんな事をしてもなんの利益にもならないことくらい、わかっている。だからこそ、本音を隠して笑顔を見せた。
こちら側へ、引きずり込まないようにするために
……
遠くから、時刻を告げる鐘の音が聴こえてくる。それを合図に、徐々に薄れていく体の輪郭。
「そろそろ、時間のようだね
……
」
名残惜しそうに、サンズの頭を撫でてやる。
笑顔の裏に隠した泣き顔を見せないように、サンズは精一杯に笑みを浮かべながら「気をつけていってこいよ」と別れの言葉を呟いた。
「また、同じ日の、同じ時間に来るから」
だからどうか、無事でいて
……
言葉にできない願いをソウルに秘めて、ガスターも精一杯の笑顔を向ける。
「ああ、同じ日の、同じ時間に、この場所で
……
だろ?」
たとえこれが幻覚だったとしても
……
アンタに会えるならそれでいいと、サンズもまた言葉にできない思いを飲み込んで、精一杯の笑顔を向けた。
「約束するよ。来年も、また、この場所で」
「あぁ
……
待ってる」
短く言葉を交わして、ガスターの体は闇に溶けた。
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