玲緒
2021-03-01 23:53:10
8466文字
Public
 

#sansterweek2021

Twitter企画#sansterweek2021に寄稿した小説のまとめになります。

Day 1:Rendezvous

 二月二十八日 
 人工太陽の日が落ちて、住人たちが眠りにつき始めた雪深い町。
 クリスマス飾りの派手やかな明かりが照らす暗い街中に、温かな光が漏れる一軒のバーがあった。
 店主の名前を掲げたその店からは、いつも楽しげな笑い声が漏れている。その笑いの渦中にいるのは、青いパーカーを着こんだ、子供くらいの背丈をしたスケルトン。サンズと呼ばれる彼は古くからの店の常連で、店を訪れれば、彼のジョークや面白いトークを求めて日夜モンスターたちが集まってくる。
 今日も店へと顔を出したサンズは、気付けば店の常連となったモンスターたちに囲まれていた。今日も話を聞かせてよ! という常連の言葉を、ジョークを炸裂させては周りを笑いの渦へといざなっていく。

 いつもと変わらぬ日常。毎夜変わらぬ賑わい。
 だが、今夜は少しだけ様子が違った。

 コトリ、とカウンターテーブルにグラスを置くと、サンズはゆったりとした動きで席を立った。
「あれ? サンズ、どうしたの?」
「え~、もう終わりぃ? いつもは閉店まで居るのに~」
「もう帰るのか?」
 彼の行動を見た常連客から「どうしたの?」と声がかかるなか、サンズはへへ、と笑って手を振り答える。
「そろそろ、弟の読み聞かせの時間でさ。閉店までに終わってたらまた来るよ」
 引き留めようとしてくる常連たちにそう告げて、店主にそっと目配せをする。グラスを磨きながら佇む炎の店主が、僅かに炎を揺らしたのを確認してから、サンズは改めて周りの客たちに手を振ってカウンターを後にした。

 カランカラン、と鳴り響くドアベルを、背中に聴きながら扉を閉める。
 そのまま左に向かえば、弟の待つ我が家がある。だが、サンズは敢えてその方角に背を向けた。寝静まる雪深い町を、一歩……一歩と歩いていく。
 目指す先は、町の中でもひときわ目立つ大木な木。大小さまざまな電飾で飾り付けられたその木の根元に、うっすらと足元を闇に溶け込ませた、黒い服の男の元へと、近づいていく。

「時間ぴったりだな、G」
 黒服の男に声をかけると、彼はゆったりとした動作で振り返った。
 白磁のような白い肌。顔に縦にひび割れたような傷を持つその男は、スケルトンに似た空洞のような目元を緩ませ、愛おしげにサンズを見つめた。
……久しぶりだね、サンズくん」
「あぁ、一年ぶりだな」
 そう言って、サンズはにこりと笑いかけた。