玲緒
2021-03-01 23:53:10
8466文字
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#sansterweek2021

Twitter企画#sansterweek2021に寄稿した小説のまとめになります。


Day 3: Sleeping at work

 三月二日
 今日は仕事だから、家で大人しく待ってな。そう言って、サンズは一人家を出た。そんな彼を、少し時間を置いてから追いかける。
 大丈夫、行き先はわかっている。きっと、昨年と同じだから。

 雪深い町を出る。吊り橋に見えるように細工をされた石橋を渡り、ひたすらに進んでいくと、遺跡にほど近い所に小さな小屋を見つけた。木造の見張り小屋だ。その中で、サンズはカウンターに顎を乗せて眠っていた。
……
 そっと傍らに立ち、居眠りをする彼を見下ろした。
 昔は、仕事中に眠ってしまうことなどほとんどなかった。それこそ真面目一辺倒で、普通に徹夜もしていたし、書類の提出期限だって守っていた。他のものがサボろうものなら、口を尖らせて文句を言いにいっていた程だ。
……ごめんね、疲れただろう……?」
 届かないのを承知で呟く。
 この華奢な体に、とてつもない苦悩を強いているのはわかっている。わかってはいても、何もしてやる事ができない。
 世界の理から外れて観測する者となった自分は、観測する力を得るかわりに、個人に対して干渉する力を失った。何故かこの時期だけは彼の前に姿を表すことはできるのだが……こちらから干渉することはできない。彼に強いられた役割を変わってやることも、少しでも良い未来へと導いてあげることもできないのだ。
……ごめんね……
 見張り小屋で居眠りをするサンズの頭をそっと撫でる。
 何もしてあげられないけれど、せめて少しでも穏やかに眠れるように。そんな風に祈りながら、穴の空いた大きな手で頭を撫でた。