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ぎんちき
2023-12-21 18:35:37
44403文字
Public
再録
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【R-18G】紺碧はやがて斜陽に染まる【再録】
当作品は以下の要素を含み、人を選ぶ内容となっておりますので閲覧にはご注意ください。
・人魚パロディ/童話「人魚姫」を基にした独自設定
・年齢操作
・登場人物の死
・グロテスクな表現(ファンタジー臓物)
2021年2月に本編をpixivにアップ(現在非公開)、同年7月に発行した同人誌の加筆修正ありWeb再録です。
遊び紙に入れていた文章や、ご購入いただいた方におまけでお渡しした短文も含まれます。
なお、作中で題にしている「月」「花」内の季節が一般的に表現される「雪月花」の季節感とズレているのは認識の上ですのでご了承ください。
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波に去りし独白 あるいは、残滓
海面を漂う影。それは空を見上げ、思う。この数日間、気がつけば、ひとり、同じことを考え続けていた。先日、耳にしたことについてを。
「丸井くんは、
人魚
・・
を食べてみたかったのですね」
そうなれば、考えられるひとつの可能性があった。
(その為に俺に近づいたのか?人魚を、食べる為に)
振り返る。丸井と出逢った日のことを。そのあとから、今日に至るまでを。そして、ふ、と微笑んだ。
「
……
彼はそんなに器用な人間じゃありませんね」
丸井くんは手先が器用で、魔法のようなことをたくさんしてみせる。話を聞いているところから推測するに、要領だって良いのだろう。でも、どこか不器用な人であるには違いない。
ひどくお人好しで。きっと、俺たちが身を置く過酷な自然界では生きていけない。そんな、生ぬるい人。
「そーいうところが、嫌いなんです」
──嫌いになりたかった。嫌いになれたなら、どんなに楽だったろうか。馬鹿なんですよね、俺は。
そうだ。これ以上俺が、俺を見失わないために。利用すればいい。彼を。簡単なことだった。意は決した。これ以上鈍らせないためにも、早く。
……
しかし、どうやって?
不意に、木手の視界の端をキラキラと輝くものが過ぎ去っていった。波に流されていくそれを、何とはなしに腕を伸ばして手にした。つるりとした質感のそれには古びたラベルがこびりついている。木手には読めなかったが、酒類のものであった。瞼を閉じ、深呼吸をひとつ。無機質な硬さを胸に抱き、決めた。
黙したままに、泳ぎだす。向かうは浅瀬。息を潜めて。
岩場に泳ぎ着いた木手は、瓶の口部を握り天へと振りかざした。そのまま、躊躇なく、迷いなく、打ち付ける。鳴り響く音。それを耳にしたのはただひとり。粉々に砕け散る底面。
刃を手に入れた、木手。
岸辺へ移動し、丸井の来ていないことを確認した上で上陸する。そして、切っ先をまじまじと見つめた。光が反射して、海面に負けず劣らず輝く。指で触れたとて、そこは簡単には切れなかった。つまるところ中々の重労働が見込まれるものの、やめるという選択肢はなかった。
鋭利なそれを、自身の腹部へ深く突き立てる。鋭い痛みと灼けつくような感覚。だが、一度では駄目だと悟り、何度も、何度も繰り返した。刺して、刺して、刺して。次第に視界が霞んでいった。もう瓶を握るための力はなく。砂浜にそれが落ちると同時に、木手も倒れた。
(
……
わがままな俺で
……
)
ごめんなさい
わっさん
。木手の口が動き、決して誰にも聞かれることのない謝罪のことばが、砂上に零れ落ちた。
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