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kr0mm333
2026-06-13 16:02:13
10521文字
Public
バチ(腐)
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六平先生は靡かない
こちらはチヒ柴webオンリー「最高の共犯者」展示作品です。
開催おめでとうございます!
年齢逆転チヒ柴の学パロです。
チヒ柴ですが、未満な感じかも。
六平先生→柴の高校の非常勤講師。担当教科は数学。職員室に机がないので準備室にいる。柴君の誘惑に靡かない大人。
柴くん→高校2年生の梅雨に六平先生と出会った。六平先生に日々ちょっかいをかけては軽くあしらわれている。顔よし頭よし、運動神経よし。モテる要素しかない。
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三
「なあ、センセー。ホンマ、一回でええから付き合ってやあ」
数学準備室の机に頬杖をつきながら、柴は懲りもせず千鉱へ声をかけた。
この攻防も、ずいぶんと長くやっている気がする。
「本当に飽きないな」
千鉱ももう慣れきっているようで、手を止めることなく、書類へ視線を落としたまま答えた。
「そしたらやめるし」
千鉱はそこで初めて手を止め、柴の方を向いた。
「俺が応じたら次は誰を狙うつもりだ? 俺につきまとうのをやめるってだけだろ」
その返答に、柴はニンマリと笑う。
「へぇ。わかるんや?」
見透かされたというのに腹は立たない。むしろ、ここまで言い当てられた人間は初めてだった。
「お前みたいな奴は、相手が自分に落ちたら興味を失って次に行くだけだからな」
「否定はせんよ。本気になられても困るし」
「それなら最初から手を出すんじゃない」
千鉱の言葉は真っ当だが、それがつまらないと感じて柴は「えー」と不満そうに声を上げた。
「でも、センセーみたいな真面目なオトナを翻弄するんから楽しいんやん」
「本当に悪趣味だな」
少しは動揺するかと思っていたが、返ってきたのは冷静な評価だけだった。
「生徒にそんなん言うてええの?」
笑みはそのままに、「チクったろかなー」と独り言のように呟いてみる。
それに対して千鉱は呆れたようにため息を吐くと、いつになく低い声で柴を咎めた。
「都合のいいときだけ子供であることを盾にするな」
その声音からは、いつもの穏やかさが消えていた。今向けられているのは厳しさと、怒りにも似た鋭さだけ。
「ええやん。オンナはオンナであることを武器にすんのに、俺が
生徒
子供
であることを武器にしたらアカンの?」
「駄目だ」
即答だった。
「何で?」
ようやく千鉱がペンを置く。呆れ半分だった表情から、教師として生徒を見る顔へと変わっていた。
「教師にやってみろ。お前の進路や人生に響くんだぞ。試験だけで行ける大学だってもちろんあるだろう」
だがな、
「素行が悪いだけのガキと、他人を犯罪に巻き込むクズは訳が違う。ブラックリストに載るのは大人だけじゃない。それが理解できないのなら、お前はまだ軽率で、誰かにケツを拭いてもらうだけのガキだってことだ」
この教師が、ここまで強い言葉を使うのは初めてのことだった。それだけに真剣だということなのだろうが、柴は若さゆえの反発心から鼻で笑った。
「めっちゃ言うやん」
「当たり前だ。お前は人を見る目を持ってる。だが、本当の悪人っていうのは誰よりも無害な顔をしてるんだ。お前が金になるとわかれば、どんな手を使っても利用するぞ」
「知ってるような口ぶりやな。若い頃になんかあったん?」
千鉱は若い。見た感じ新卒ではなさそうだが、そこまで年嵩というわけでもなさそうだった。
「知り合いに警察関係者がいるからな」
「えー! さすが先生やん! 知らんかった! すごいやん! センセーの周りならそういう人おっても不思議ちゃうか! そらそうやわ!」
大袈裟に感心したように振る舞うと、千鉱は眉を寄せる。
「茶化すんじゃない。キャバクラのさしすせそだろ、それ」
いつもの千鉱の声に戻ったことに安堵しながら、そんな態度はおくびにも出さないで「ごめんごめーん」と手を合わせる。
「てか、センセーがキャバクラって言うの似合わんね」
ありふれた言葉だが学生の前で口にしたことが気になったらしく、千鉱は「うるさい」と言って大きく咳払いをした。
そして、真っ直ぐに柴と向き合った。
「
……
なあ、柴。ひとつだけ約束しろ」
いつもの穏やかな声。だが、その奥には真剣さが滲んでいる。柴はきょとんと目を瞬かせ、「内容によっては」と返した。
「在学中は俺だけにしろ」
予想外の言葉に、思わず「え?」と聞き返す。
「他の先生や学外の他人に、こんなことはするな」
まるで告白のような言い草に、「コイツもやっぱ男やな」と自嘲する。
「なんそれ
……
俺だけにしろって、付き合ってくれるってこと? あんな説教しといて?」
結局、この教師も今までの大人と変わらなかったらしい。
「なら、卒業したら応えてくれるんか?」
半ば投げやりに問いかけると、千鉱は首を横に振る。
「応えない。最低限、自立してから言え」
「なんやねんソレ!?」
柴の苛立ちに千鉱は取り乱すことなく、静かに息を吐いた。
「さっきも言ったろ。教師が相手だと今後に関わる。見知らぬ他人だと犯罪に巻き込まれる恐れがある。その点、俺はお前に言い寄られても絶対に応える気はないし、他の先生達に何か言われても、お前のおふざけで済ませることができる」
「おふざけちゃうわ」
咄嗟に出たのは軽口でも、いつもの悪ふざけでもなかった。
「そうかもな。なあ、柴。お前の将来を大事にしてやれ。お前が道を踏み外すと、お前と連んでる薊や真城も同類と見られかねない。不用意な行動でアイツらの人生をめちゃくちゃにするな」
冗談を返すこともなく真っ直ぐに告げられ、柴はしばらく黙り込んだ。
薊と真城の顔が頭をよぎる。自分のことならどうでもいいと思えても、あの二人まで巻き込むつもりはなかった。
「
……
わかったよ! センセーだけにする!」
ヤケクソのように声を上げる。実際、今の柴は千鉱以外にちょっかいをかけようとは思えない。それなら、責任を持って柴に靡かないようにしてもらわねば。
一方、千鉱はふっと表情を和らげた。
「それでいい」
満足そうに頷くと、柴の頭に手が置かれた。
大きな手のひらが、ゆっくりと頭頂部のあたりを動く。
一瞬、柴は固まった。だが、すぐに我に返ると千鉱の手を掴んだ。
「頭撫でんな! セットが乱れるやろ!」
柴の訴えに、千鉱は驚いた顔で柴の頭と掴まれている自分の手を見比べる。
「セット
……
してたのか?」
柴の髪はハーフアップだ。短髪の千鉱には、その手間などわからないのだろう。
「してるわ! 俺の髪めっちゃ細いからセットすんの大変なんやぞ!」
一際大きくよく通る声が、数学準備室に響いた。
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