kr0mm333
2026-06-13 16:02:13
10521文字
Public バチ(腐)
 

六平先生は靡かない

こちらはチヒ柴webオンリー「最高の共犯者」展示作品です。
開催おめでとうございます!

年齢逆転チヒ柴の学パロです。
チヒ柴ですが、未満な感じかも。

六平先生→柴の高校の非常勤講師。担当教科は数学。職員室に机がないので準備室にいる。柴君の誘惑に靡かない大人。

柴くん→高校2年生の梅雨に六平先生と出会った。六平先生に日々ちょっかいをかけては軽くあしらわれている。顔よし頭よし、運動神経よし。モテる要素しかない。


  二


「なあ、センセ。俺とエエコトしよ?」
 数学準備室にやってきた柴は、仕事を片付ける教師の耳元で囁いた。
 だが教師、六平千鉱は柴に動揺した素振りもなく平然と書き物を続けている。
「お前を呼んだのは蓮水先生だろ。先生からお前が来たら職員室に来るようにって伝言を預かってる。数学準備室ここじゃなくて、職員室に行け」
「あとで行きますー」
「そう言って行った試しないだろ」
「職員室より、六平センセーとお話したいなー思て」
「仕事の邪魔だ」
 柴は成績はいいものの、サボりが多い。それについて担任から小言をもらうことがよくあった。
 以前は呼び出したところで校内にいないことが多かったが、今は千鉱のいる数学準備室に入り浸っている。そのおかげで、柴の担任である蓮水から伝言を頼まれているようだ。
「なぁんで靡かんかな。他のセンセーは怒るか照れるかしてんのに」
「お前……他の先生にもこんなことしてるのか?」
「さあ? どうやろ?」
 どうやと思う? と隣の机から拝借した椅子に座り、千鉱の体にしなだれかかる。
 千鉱の気を引くために言った方便、というわけではなく、実際に試したことはある。担任の蓮水だけは呆れながら出席日数の心配をしていたが。
 柴は客観的に見て自分の容姿が優れているということは理解している。道を歩けばスカウトに出会うし、男女問わずに食事でもでもどうかと声をかけられる。一夜いくらだと聞かれたことも一度や二度ではない。
 もちろんその誘いに乗ったことはないが、そんな柴が自分の容姿を利用しないわけがなかった。
「そういうことをするのは感心しない。それと、仕事の邪魔だ」
 平坦な声とともに千鉱に肘で小突かれるが、柴はイケズと笑いながら彼の腰に手を回す。
「なあ、センセ。一回ぐらい試してみてもええんちゃう?」
「断る」
「俺らだけのヒミツにするから」
「駄目だ。そもそも、高校生に興味はない」
「じゃあ、高校生やなかったら相手してくれるん?」
 冗談めかして言ってみると、千鉱が一瞬だけ視線を寄越してきた。
「社会人として真っ当に生きてる人間以外は論外だな」
「条件厳し過ぎちゃう!?」
「当たり前だと思うが?」
 学生を辞めれば付き合ってくれるのか。
 柴の言葉の裏にあったものを、千鉱は正確に見抜いていたらしい。
「そういえば、進路の提出はお前だけらしいから、早めに出しておけよ。それと、俺とどうこうなりたいと言うなら、せめて二十五になってから出直すんだな」
「なんで二十五なん?」
「大卒社会人三年目なら、今の発言の意味を理解して、少しは大人になっているだろ」
 子供扱いされたことに抗議しようと口を開きかけたが、話は終わりとばかりに千鉱はまた机に向かう。
 五十九戦、五十九敗、引き分けなしの全敗。
靡くどころか、照れる気配すらないこの教師を前に、柴は次の手を考えるのだった。