花筵シヂマ
2026-06-06 23:20:01
27374文字
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玲瓏の花籠(3から4話まで)

後転男体化なので前は女の子のミズキが出てきますが、転生しておとこになり、例の村で父と再会します



 ミズキのからだは驚くほどに飲み込みが早かった。
 恥じらいはなくならないものの、陰核を撫でながら膣を指でかき混ぜると「気持ち良い」と泣きながら縋りつき腰を浮かせて果てることが増えた。びしょびしょに濡れたおんなの花びらの奥の赤い肉の花園を見れば見るほど、おとことしての本能が暴れ出しそうになった。
 物足りないとばかりにミズキの小さな蜜壺がひくひくと蠢くのもまた、ゲゲ郎を誘惑してやまなかった。
 それでもゲゲ郎は最後の一線だけは越えられなかった。
 昂りを押し込め、ミズキをおんなにする決意ができずにいたのだ。
「あ、ァあん……ッ」
 長襦袢がはだけて、白い肩も豊満な胸も露わにしながら開脚したままミズキが絶頂の余韻に浸っていた。
 溶けるように熱い蜜壺から指を引き抜き、ゲゲ郎は己の前を隠すように背を向けた。ここ最近、いつもこうなのだ。自分の欲望が下穿きを押し上げて濡れてしまう。違うことを考えていればそのうちに萎えていく。
 しかし今日は違った。
 冷たい手がゲゲ郎の手首を掴んできたのだ。別のことへ思考を巡らそうとした脳みそが思考をやめる。
「ゲゲ郎、いつも……なんで向こうを見るんだ……?」
 艶を帯びた低い声に、くらりと目眩を覚える。言い訳が浮かばず舌の根が渇いていく。
「何か隠してる? おれ、ちゃんと……夜伽ができてないのか……?」
 衣擦れの音がし、ミズキがからだを起こしたとわかる。
 背中にミズキの体温を感じた。益々、ゲゲ郎はからだがこわばっていくのを感じた。
「俺ばかり気持ちよくしてもらってる……ゲゲ郎を気持ち良くしてあげたい……
 耳元に吐息を感じ、ぐらぐらと脳みそが溶けていきそうだった。振り払うこともできず、ゲゲ郎はミズキの方へ向き直った。つぶらな眸の前で、ゲゲ郎は自らの帯を解いた。
「隠していた訳ではない、こんなからだを晒したくなかっただけじゃ……
 己の着流しの前を捲り、下穿きを見せつけた。硬く熱く育ったそこにミズキの目は釘付けになっていた。
「これは……
 ミズキは四つん這いになり、指先で悪戯にそこに触れた。おんなに手慰められたこともないせいで、大袈裟に腰を引いた。
 一つ懸念があった。
 ミズキはもう年頃のおんなだ。
 しかし、聞けば山奥で暮らし、おとことの接触を親以外に持っていない。もしかすると、おとこの欲望など見たことがないかもしれない。
 ゲゲ郎の喉が自然と鳴った。
 ミズキは不思議そうに陰茎を観察している。
「これは、なんでこうなってるんだ?」
 ゲゲ郎は戦慄く唇を、引き結んだ。自分が何なのかと教えてあげないといけない。庇護欲に似た何かが、己の中で芽吹いていく。
「これはな、……ややをミズキに孕ませるためにこうなっておるんじゃ」
 下穿きの布を引いてゆっくりと欲望の姿を露わにしていく。白銀の下生えに隠されていた陰茎が頭を持ち上げ、青筋を浮かして膨張していた。張り出した亀頭の先端から透明な蜜が溢れている。
 ミズキの幼い目が好奇心に輝く。ミズキの眼前に突き出された陰茎を、より一層顔に近づけた。
「こんな大きいのを……?」
 無垢な唇が陰茎の幹に触れそうになる。
 もう我慢できなかった。
「赤子の作り方を知らんのじゃな。初心なおんなじゃ……
 ミズキの肩をやんわりと掴み、押し倒した。先程まで散々舐め上げ濡らしてきた花びらに、昂りをゆっくりと擦り付けた。
「こうやって、………おとこの賜物をおんなのなかに挿れて……子を作るのじゃ」
「あっ、……!」
 散々弄ってきたせいですっかり肥大した陰核に幹を擦り付けてやる。ぐちゅ、ぐちゅと淫らな音が響きあい、ミズキの顔も簡単に蕩けていく。
「ミズキ……ミズキのなかに迎え入れて欲しいのじゃ……お主のなかに注ぎたい、子を作りたい、儂のものにしてしまいたい」
 気づけば押さえつけるようにミズキの両手首を掴みからだを揺さぶっていた。柔らかな乳房が律動に合わせて揺れ動いている。
 花弁に亀頭を押し付けて優しく擦り付けるが、それでも蜜壺が濡れているそうで今にもすんなり入りそうだった。
「あ、あ、だめえ、……っ、はいっちゃう、……っ」
 ミズキはそう言いながらも腰を浮かして擦り付けてくる。
「ミズキもここが疼いて仕方ないのではないか……? 指だけでは届かない奥まで、もっと気持ち良くさせてやろう……
「あっ、あ…………
 亀頭に花びらが吸い付いてくる様をミズキは困惑しながら見つめている。
「ミズキ、頼む……
 愛らしい小さな唇を啄み、上目遣いで子供らしくねだってやる。ミズキはうまく判断ができないようだった。
 喉から搾り出すように出た言葉はこれだけだった。
「儂を受け入れて、儂の妻になっておくれ」
 ミズキの目に薄い涙の膜が張る。
 そしてただ、小さく、そして確かに頷いた。
「う…………っ」
 もう待てない。
 ミズキの言葉を奪うように舌で口腔を犯しながら、花弁を捲りあげて狭く濡れた魅惑の壺に陰茎を忍ばせた。
「んえ、……んんっ、ううー〜〜ッ!?」
 深い場所より浅いところをかき混ぜる。
 異物を押し出そうとする蜜壺の力を緩めるように、花芯を指で捏ね回した。
「あ、ヒッ、い、あ、……っあ!」
 ミズキは目を見開き、溢れるほどのおとこの欲を必死に受け止めている。
 それに応えるようにミズキの蜜壺の充血した粘膜がゲゲ郎の肉欲に絡み吸い付く。
 おんなの胎内に入るのはこんなにも幸せに溢れているのか。
 下半身からミズキと一体になっていくように気持ち良い。息が乱れ、脳みそがかき混ぜられたように思考という思考が壊れて意識を飛ばしそうになる。肌がぶつかり合う音と粘着質の高い音が混じり合い、吐息がそこで消えていく。
「あ〜〜っ、あう……ひ、……あ、……ゲゲ郎……!」
 ミズキのか細い腕がゲゲ郎のからだに絡む。弾力のある足がゲゲ郎の腰を締め付けしがみついてきた。
「こわい、あ、こわいい…………
 顔を赤くして泣きじゃくるミズキを見ていると壊したいような凶暴な心地になる。
 その獣の感情を押し込み、ミズキの頬に唇を寄せて愛撫を繰り返した。
「大丈夫じゃ、儂はここにおるよ……
 ミズキを拘束していた手首を離せば白い手首は赤くなっていた。力の入らない指と指を絡め、律動を緩める。
 ゆさゆさとからだを揺り動かしながら、拙い愛を囁いた。からだを貪るための都合の良い囁きかもしれないが、ミズキは嬉しそうに目を細めてくれる。
「儂の目の届くところにいておくれ」
 ミズキと肌を重ねるたびに、今までずっと求めていた片割れに出会ったように思えた。
 そうだ、ようやく見つけたのだ。共に生きていける相手を。
 ふいに脳裏に深い湖が浮かんだ。
 あの水底の龍も、こんなふうに片割れに出会ったのだろうか。
 だがゲゲ郎はあんな龍のようにならない。
 片割れを失うことはないからだ。
 失わせてなるものか。
 ミズキの汗ばんだ肉体を掻き抱き、子袋のなかに子種を注ぎ込んだ。
 

 ミズキとの密かな夜伽は、本人は気づく気配はなかった。しかし時折見せる眼差しや、頸を掻き上げる仕草などの端々にハッと息を飲むことが増えた。あどけなさよりもおんなとして生まれ変わったのだ。そう気づいた。
 これに違和感を覚えたのは、やはりネコ女だった。
 ある昼下がり、御簾の前で仁王立ちしている姿を見るなりついに露見したと冷や汗をかいた。
「アタシに隠し事があるだろう」
 ネコ女は全身の毛を逆立てて猫耳を立たせ、フーフーと唸るようにそう言った。それはお節介な女というよりは、娘に手を出された母親の顔そのものだった。
「ミズキに手を出したな」
 ゲゲ郎は手にしていた煙管を置き、自然と平伏していた。言い訳など出なかった。ミズキの意識がないのを良いことに毎夜のように蹂躙しているのだから。
……許せとはいわぬ……
「ミズキを愛妾にする気かい!」
 大股で歩み寄ってきたネコ娘に胸ぐらを掴まれた。動じることなく、ネコ娘の黄金の双眸を見つめ続けた。
「愛妾などではない。儂の妻じゃ。儂はミズキを妻にする」
「は……? 正気でそう思ってるのかい?……本当に、ミズキを……?」
 怒りに満たされていたネコ女があからさまに狼狽していた。
……ネコ女、頼む……ミズキには儂から事を話したい……無論、正気の折に、じゃ。じゃが今しばらく時間が欲しい……今しばらく……
「アタシが黙ってても……ミズキに拒まれる可能性だってあるだろう。屋敷を出てしまうかもしれない。そうしたらどうするんだい、それでもミズキを繋ぎ止めるのかい」
 ミズキが、この屋敷を出ていく。
 ゲゲ郎を拒み、そしてこの屋敷から姿を消してしまうーー。
 考えただけで全身の血液が冷えていくのがわかる。
「儂のそばにいるよりも幸せなことなどあるのか? この屋敷を出られないミズキに」
 ネコ女が息を呑んで目を逸らした。思いがけず冷たい口調になってしまったからかもしれない。だが今のゲゲ郎に、ミズキがいない未来など考えられなかった。
「だがな、坊ちゃん」
 なおもネコ女は何かを言おうと唇を開いた。
 しかしそれを妨げるように、ぼたり、と何かが落ちた音がした。
 ゲゲ郎の背後からだ。振り向けばあのミズキに似た人形が勝手に立ち上がっていた。
 ゲゲ郎と同じ顔の人形だけ窓枠に腰をかけている。
 ミズキに似た人形は、ゲゲ郎が与えた白い着物の裾を引きずり、静かにこちらへ歩み寄ってくるではないか。
 人形の白い顔に浮かぶ笑みをそのままに、ゲゲ郎とネコ女の前に座り込んだ。そしてゆっくりと自らの下腹部を撫で回し始めた。
 何度も何度も、愛おしそうに。
 それが何の仕草を示すかゲゲ郎はすぐに思い至った。
「ミズキはややを孕むのか」
 口にするだけで興奮が溢れてくる。
 人形は小首を傾げながら、腹を守るように身を丸めていく。人形は口元も目元も微笑を浮かべ、幸福そのものを味わっているようだった。
「これは例の、予知人形かい。……まさか、だからと言ってミズキが……
 ネコ女の冷静な声などゲゲ郎の耳には届いていなかった。
 ゲゲ郎は這うようにして人形にちかづき、両手で守るように囲い込んだ。
「人形の予知能力は絶対なのじゃ。ミズキは子を孕む、儂の子を……ああ……そうか。人形はずっと儂らのことを予知しておったのじゃなあ」
 人形の黒い頭を撫でながらゲゲ郎も多幸感に唇を歪めた。
 まるで人形がミズキの心を代弁しているようではないか。
 夜の行為だって操られているとはいえ、多少は気が無ければ足など開かない。求婚をあれほど喜んでいたのも、演技であるはずがない。
 そう考えれば考えるほど、早く自らの感情をミズキに伝えないとならない気がしてきた。
 そうすればきっと、この人形のように孕む未来もあるのだ。
 想像するだけで気分が舞い上がる。
「坊ちゃん、聞いておくれ。その人形は確かに予知人形かもしれない。だけど相手がアンタかどうかなんて……
 ネコ女の言葉はどこか遠いところで聞こえていた。
 ゲゲ郎は人形を恭しく両手で抱き上げ、高く掲げた。そして己の白い髪を伸ばし、人形のからだに絡み付ける。決して離さないように。
「儂以外の子を孕むことなど許すわけがなかろう」
 慈愛に満ちた笑みを浮かべていた人形が異変に気づいたのか周囲を見渡し始めた。しかしゲゲ郎を見るなり、俯いてしまってその表情は読めない。
 もしかして現状を憂いているのだろうか。肝心な事を伝えないせいでミズキもまた焦れているのだろうか。
 もう、昼のミズキに夜伽のことを伝えよう。
 そうすればこの人形も再び笑みを浮かべてくれるに違いない。
「案ずることはない。儂のミズキ」
 人形の黒髪に指をひそませた。それを窓枠からゲゲ郎に似た人形がそっと見ていた。