Romom🍙
2026-04-23 03:25:51
37646文字
Public 🌕
 

深追いは時に傷を生むものの……

か、閑話休題⁉️

大学生プロファイラーのジョシュアと、オリフレム大学で非常勤講師をするクライヴが、兄弟パワーを駆使して事件を解決する話です📕 基本はジョシュア目線になります🐦‍🔥

ほんのちょっぴり光の民の二人が出ます🐉左右とかは決めていません❗️✌️
(文中に出てくる効果名とか内容は聞き齧りなので、変すぎると思いますが、堪忍くださると嬉しいです)
※カプのつもりはないですが、案の定弟兄観が濃ゆいと思われます🐦‍🔥🔥

↓本筋文
「深追いは時に傷を生む」(弟視点)
「執行者について」(兄単体)




 クライヴ曰く、オベリスクの調査は順調で、筆を執る段階も近いそうだ。
 事件も無事終息し、勝利祝いと称してクライヴの邸宅で行ったお茶会。参加者には、愛犬トルガルと、幼馴染であるジル・ワーリックが同席してくれた。四人で会うのは随分久しく、あの日の記憶を、全員が感想文に認めるのであれば、揃って「懐かしかった」と記すだろう。
 大欠伸を見せつけてくれたトルガルが、名残惜しそうに鼻先をクライヴの頬に押し当てる。それを、ジルが引き取って、二階の客間に上がっていった。それから、悪い悪い兄弟は、山間から陽が顔を覗かせるまで語り合っていた。
「俺は、ヴァリスゼアの神話を、史実であったと証明したいんだ」
 黒いはずの瞳孔さえ輝かせて──睡眠をかなぐり捨てた弊害もあったのかもしれないが。昂った様子で、クライヴは語っていた。ジョシュアは、神話や御伽噺は現実でないからこそ興味深いと思う質だが、わざわざ焼石に水をかける趣味はない。兄の熱意の邪魔はしなかった。
 思えば、地面に走る青い光の筋が、彼を神話の世界に引き込んだのやもしれない。それが原因で心無い周囲に──実母にさえ気味悪がられていた過去を、覆したいと願ってのことだとすれば、些か狂酔じみた姿勢にも納得がいく。
 警視の私室、事の一部始終をジョシュアの口から聞き終えたシドルファスは、満足そうに煙を吐いた。目敏い空気清浄機から、今まで以上の騒音が轟く。
 オリフレム署の愚行については、他言厳禁を条件に打ち明けた。苦々しい表情をしていたが、存外、ジョシュア自身が立ち直っていることを察すると、早々に土産話に昇華した。
「クライヴには秘密に」
「あそこも、どデカい爆弾こさえちまったな」
 末端の対応が世も末であるだけで、実際のところ、かなり誠実な警官もいたのだ。不誠実な職員は、何故か知らないが、ロズフィールドの姓を前に大胆になるというだけの話。最も、ジョシュアが次期大公であろうがなかろうが、誰に対しても一定の尊重はすべきであって。しかも、容疑者のつもりで同行を強要したのではないなら、尚更だろう。
 後々、ガブより教えられたが、当初の指示との『食い違い』が、取調室で行われたようだった。そんな理由、クライヴが知ったら大騒ぎでは済まない。彼のことだ、炎を身に纏った様相で、オリフレム署の玄関を突き破ってしまいかねない。ジョシュアが解放されたのに、今度はクライヴが檻の中なんて、笑い話には少々リスキーな展開だ。
「しかし、まるで探偵だ。卒業したら、兄弟で事務所でも開くか?」
 クライヴと探偵業に勤しむ。魅力ある想像だが、ジョシュアは頭を振った。
「楽しいだろうけど、無理だな」青い光に誘われる彼の背中を思い返す。ひとたび、事件を追いかける旅に出たならば、縦横無尽に振り回されかねない。
「そりゃいい。是非、二人揃ってうちに来いって言おうとしていたところだ」
 萌葱の視線は、冗談であると言い添えている。そこに、三割ほどの期待が滲んでいるのも見逃さなかった。シドという男に、頼りにされている事実は素直に喜ばしい。クライヴも、きっと同じことを言うだろう。そして、誰よりも賢い男は、返事を先読みして首を横に振った。
「ま、今後行く道に迷ったら、立ち寄ってくれよ。我が特殊殺人課は、ご存知の通り万年人手不足なもんでな」
「伝えておきます、兄さんに」
「おう」目元に小皺を刻みながら、高望みをしない賢人は笑った。「待ってるぜ」