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【7/19更新】シャアム短編まとめ
シャアム
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お題「アルバイト」
「何をしている。」
ミラーボールに反射した紫や黄色の毒々しい光が満ちるホールの中、場に似つかわしくない硬質な声が響いた。
「貴方こそなんでこんな所に。」
対する声は正にキョトン、と言った風で全く緊張を孕んでいなかったが、その主の格好は奇妙奇天烈と言って過言でなかった。
サテン生地で出来た長いウサギ耳のカチューシャ。
身体の線にぴったりと沿ったこれでもかとハイレグの肩出しレオタードにはフワフワしたウサギの尻尾。
その下には黒の網タイツとピンヒール。
首元には何故かそこだけフォーマルを意識した付け襟風のチョーカーを付けている。
その日シャアは「連邦の白い悪魔が体を張って接待している」という噴飯物の噂の真相を確かめるため、スウィートウォーターの中でも特に治安の悪い歓楽街へと足を運んでいた。
ギラついた下品な街並みの中一際目立つウサギのネオンサインを掲げた店、そこで見つけたのがかつて命の張り合いをし、今は和平の下穏やかな関係を築けているライバル兼友人のアムロ・レイ(ウサギのすがた)だったのである。
尊敬していると言っても良いライバルの訳の分からないフォームに脳が拒絶反応を起こしたシャアは、顳顬を揉みながらもう一度尋ねた。
「君はここで、何をしているんだ。」
「バイトだよ。貴方は知らないだろうけど、ロンドベルは反連邦組織用の特攻部隊だからな。こんな平和な世の中じゃ予算をカットされ過ぎてジリ貧なんだ。俺の給料もかなり下がってしまったし
…
。それで、アルバイト。」
「なるほど
…
。しかし何故こんな所で。」
「ここが一番単価が高いんだ、個人的にモビルスーツを弄る為の部品なんかも買いたいし
…
。全部買おうと思ったらまぁまぁ稼がないといけない。」
「
……
。」
なるほど。理屈は分かった。
しかしアムロ程の男がこんな格好をさせられているのは受け入れ難い。
尻は半分見えているし、何の下着も着けて居なさそうな胸も意外とむちっとした胸板から乳首が溢れそうになっている。
股間は
…
その狭い中にどうやって仕舞っているんだ?
「それに、実際の所給仕するだけだから格好にさえ目を瞑れば割のいい仕事なんだ。」
アムロは遠慮なくまじまじ見つめてくるシャアの視線を避け、さり気なく横を向きながら答える。
「
…
しかしな、君がここで働いている事は既に噂になっている。くだらん尾鰭も付いて、性接待をしているなどと言われては連邦のエースパイロットの名折れだろう。」
「ええ
…
。そんな噂が?俺の顔なんて殆ど知られてないし、良い収入源だと思ったんだがな
…
。」
ウサギ耳を外し掌でクルクル弄びながら残念がるアムロ。
その時シャアはとあるアイデアを閃いた。
「どうだろう。君が良ければ、こんな治安の悪いアルバイトは辞め、私の執務室で話し相手になってくれないか。」
「貴方の?」
自分で思いついた事だが、これが名案に思えたシャアは饒舌にプレゼンをする。
「そうだ。仕事で息の詰まった時、気軽に話せる相手が居ないのが悩みでな
…
。友人と言える君ならば相手として不足でない。」
「貴方の部屋に控えておかないとなのか
…
。」
自分が雇われる立場になるかもしれないのに意外と我儘なアムロにも引かずグイグイと押していく。
「いや、別の部屋を用意させよう。そこに私が尋ねる形式でどうだ。」
「
……
時給は?」
「5000は出そう。」
「乗った。」
やはり金。金がモノを言うのだ。若い頃から金に困った事のないシャアだが、この時ばかりは「金を持って居て良かった」と強く思った。
シャアは自分の上着をアムロの肩にかけ、その腰を抱いていそいそと店を出る。
「善は急げだ、この仕事はすぐに辞めたまえ。好きな物は何かな?食事や酒も用意しよう。」
「待て、そこまでして貰っては流石に悪い。食事とか酒は俺が用意するよ。」
「そうか
…
、しかし今君の財布は寂しいのだろう?経費としてツケてくれれば、後で精算しよう。なに、君が選んでくれるだけでも価値のある食事だ。」
「ええ
…
。でも正直助かるな
…
。」
和気藹々と仕事内容を打ち合わせながら連れ立って去っていくライバルたち。
しかし二人とも知らない。
そのような内容の仕事は遠い昔、旧世紀にて「キャバクラ」と呼ばれていたことを
——
。
おわり
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