マエバ・セイボスキー
2026-02-21 19:42:40
16143文字
Public パーバソ
 

眠りの海の船長

眠りパロのパーバソ。
Dの眠りをとてもオマージュしています。
なんのひねりもなく、タイトルままです。
二人はしあわせにくらしましためでたしめでたし、です。



「パーシヴァル、おまえいったいどこへ行って……マントと帽子は?」
 
 門を越えたところで、何故か父王が息子を待ち構えていた。

「父上、聞いて下さい!」

 ひらり、踊るように馬を下り、パーシヴァルは小さな父の手をとった。

「な、なに」

「出会ったのです」

 この喜びを伝えなくてはならない。パーシヴァルは今日、森の中で運命に出会ったのだ。

「何に会ったって?」

「愛に」

「あいぃ?!」

 すぐ横で控えていた側近が、まあ!と驚きに声を上げている。
 驚くのも無理はない。パーシヴァルは今日このときまで、父から勧められる縁談はすべてことわり、浮いた話のひとつもなく、いったいあの堅物は誰なら心を許すのかと皆をやきもきさせていたのだ。それが突然愛などと、驚くよりないだろう。

「息子よ、それで、いったい」

「ああ……森で」

パーシヴァルの心は浮き立っていた。目に浮かぶのは、パーシヴァルの大きなマントを羽織った背が楽しげに揺れる姿。

「森?!」

 驚く父の手を取る。そうすると小さな父王は簡単に持ち上がってしまう。パーシヴァルは、ワルツを踊るときのように父の両腕を掴み機嫌良くくるくるとまわった。ぶらぶらとゆれるつまさきに、側近があああああと心配そうな声を上げているが、パーシヴァルには届かない。

「ええ、森で。うつくしい人だった」

「そっそれでっ」

「今夜もう一度あう約束を」

「森っにっいった、いどんっなっ」

「うつくしい……海のような人です、彼は」

「彼?!」

 パーシヴァルは、踊る足を止めた。眉を八の字にすると、まるで幼子に言い聞かせる時のようにふうとため息をつく。

「父上、もう十四世紀ですよ」

 父王は息子が非常に頑固であることを思い出していた。