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lilie_y0527
2026-02-19 23:08:54
13117文字
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先生ルークと保護者ディン
現代AUルクディン
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【湯気の中の猛省と、小さなお祈り】
「俺は、なんてことを口走ってしまったんだ」
湯気の上る浴室で、ディンは浴槽の縁に頭を打ち付けんばかりに深く項垂れていた。思い出すだけで顔が火照る。夕方の園庭。逆光の中で眩しそうに微笑んだルーク先生に、あろうことか「どうしてそんなに綺麗なんですか」などと真顔で訊ねてしまった。完全に不審者だ。
「すまない、グローグー。俺のせいで、明日からルーク先生がよそよそしくなってしまうかもしれない
……
」
ディンが深刻な顔で隣の息子に謝罪する。だが、当のグローグーは父親の葛藤などどこ吹く風で、自分の頭に乗せた泡の帽子をいじっては、お湯をバシャバシャと跳ね返して喜んでいた。
ディンは湯船に深く浸かり、鼻先までを湯に沈めた。
(いや、ルーク先生は、俺がどんなに変な保護者だろうと、グローグーへの態度を変えたりはしないはずだ。あの人はそういう、よくできた、心優しい先生だから
……
)
だからこそ、自分の無遠慮な失言が、あの清らかな先生の心を困らせていないかだけが気がかりだった。しかし、なぜ「綺麗だ」なんて言葉が出たのか。ディンは浴槽の中で、じっと己の手を見つめた。
―――
夕暮れの光が、先生の細い金髪を透かしてキラキラと輝いていたから。
……
きっと、そうだ。あの光景があまりにも現実離れしていたからだ。
脳裏に、かつて園で行われた防犯訓練の記憶が蘇る。不審者役に扮した自分を、信じられないほどの身軽さで鮮やかに引き倒したルーク先生。あの時、至近距離で自分を見下ろした先生の、汗に濡れたまつ毛も、確かに今日みたいにキラキラと輝いていた
――
。
「
…………
」
そこまで思い出して、ディンは胸が高鳴るのを感じた。心臓の音が、いつもよりずっとうるさい。
(何をしている、俺は!)
慌ててぬるま湯を顔に浴びせ、雑念を振り払おうとする。横では、グローグーがさらに泡だらけになって「うー!」と歓声をあげていた。
「グローグー、遊びは終わりだ」
ディンは浴槽から出ると優しく息子の身体を抱き上げ、シャワーで泡を流した。ふと、夕方にルークが言っていた言葉を思い出す。
「なぁ。お祈りって、どうやるんだ?先生に教えてもらったんだろ。俺に見せてくれ」
ディンが訊ねると、グローグーは丸い目をパチくりとさせた後、誇らしげに小さな指を胸の前でぎゅっと合わせた。そして、小さな口を一生懸命に動かす。
「め
……
っ、
……
ふぉーす
……
っ」
まだ上手く回らない舌で、ルーク先生の真似をして、必死に神
……
フォースの名を呼ぼうとしている。先生の言った通り、本当に完璧で、健気なポーズだった。
「
…………
」
ディンの胸の奥に、言葉にできない愛おしさがじんわりと込み上げていく。自分は、先生のように高尚な信仰心もなければ、フォースのことなんてイマイチ分かっていない。けれど、この小さな命が、優しい先生の元でこうして真っ直ぐに育っていることは、奇跡のように思えた。
ディンは大きな掌で、グローグーの濡れた頭をそっと撫でた。
「上手だな。凄いぞ、グローグー」
「ぷわ!」
「そうか。お前がそうやって祈れば、きっとフォースが、お前を守ってくれるな」
褒められたグローグーは、嬉しそうに目を細めると「ぱ!」と声を弾ませて、ディンの逞しい胸元に思いきり飛び込んだ。小さな温もりをしっかりと腕の中に抱きすくめながら、ディンはやはり、優しい先生の顔を、もう一度だけ思い出してしまうのだった。
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