柚子茶
2026-02-13 23:41:21
5629文字
Public 私とリオルシリーズ
 

私とリオルとときどき先生

イッシュ地方タチワキシティにある、ポケモン保護施設「タブンネの里」。
そこでお手伝いをする少女リノンと、パートナーのお話。


 私たちの言い合いがヒートアップしすぎてかなり声が大きくなっていたのでしょう。中から飛び出してきたナツユキ先生に二人揃って叱られてしまいました。
 感情的な言い合いは良くないことです。先生は言わなかったけれど中にいるポケモンをびっくりさせてしまったかもしれません。反省しなくてはいけないことです。でも私は、先生を困らせたくなくてやったことで、逆に先生にご迷惑をかけてしまったことが、悔しくて恥ずかしくて、子供みたいな言い訳をしてしまいました。
「だって先生、この人が」
「おや、誰かと思ったら君ですか。今日はどうしました?」
 なんとびっくり。この人先生のお知り合いでした。私が口を挟めないままお話が始まってしまいました。
「センセー、こいつだんだん弱くなっていくんだけど、どっかおかしいんじゃないか!?」
「だんだん弱くなる、といいますと?」
「朝暴れさせるとき、今まではぶっとい枝とか部屋の壁も壊せてたのに、今はクッションをふっとばすくらいしかできないんだ」
 聞いてみるととんでもない弱体化です。普通に体調不良とか虐待を疑います。でもどうしたことでしょう。先生はとても嬉しそうな顔をしていました。
「そうですか、そうですか。ではこれを使いましょう!」
 そう言うと先生は、白い円盤を取り出して、ルリリのおでこに当てました。そして裏庭の方に私たちを連れて行き、とんでもない無茶振りをしたのです。

「さあ、これを攻撃してみなさい」
「これってかくとうタイプ用のサンドバッグじゃないですか!?」
 ここにある用品はリハビリの為の物なので、トレーニング用のそれよりも負荷が軽いものばかりです。それでもかくとうタイプ用のサンドバッグは、通常の物より重いのです。明らかにルリリの体格に見合っていません。普通に考えてルリリが吹っ飛んでおしまいです。
 私とお兄さんは驚いているのに、先生もルリリも自信満々。その様子を見ると、やがてお兄さんはルリリに指示を出しました。
「行けるんだな? よし、やってやれ!」
 その日の衝撃を私は忘れないでしょう。小さなルリリが、大きくて重たいサンドバッグを壊したのですから!
「す、すげーなお前!」
「すごいなんてもんじゃないですよ! 先生、一体何したんですか!?」
「特別なことはなにも。この子のとくせいは『ちからもち』。文字通り他より力持ちな子なんです。元からこのくらいのポテンシャルはあったんですよ」