ウリュウ
2026-01-24 00:02:20
40362文字
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われえひにけり

【RKRN】タソと保
RKRN怪談webオンリー「凍忍百物語」展示小説
タソ5人、保健5人が濃霧の中でばらばらにはぐれる怪談小説です。普通に怪異が出てくる怖い話なのでご注意ください。


【注意】
・あらゆる捏造があります。
・CPはありません。
【ある】主にタソ周りの関係性などの捏造、妄想
【ない】恋愛感情



 ——◆六 善法寺伊作

 ぽっかりと霧の中に浮かぶ巨大な影を追って、走る。
 伊作は、乱太郎とはぐれた場所から谷沿いに、ずっとさっきの大きな生き物を追っている。
 ——乱太郎、まさかあれを追って一人で動いたのでは。
 そう思ったのである。それにしては声もかけずに行くというのはおかしいが、とはいえ他に手がかりもない。探しても見つからず、呼んでも答えなかったのだ。可能性を一つずつ消していくしかなかった。
 あの大きい影は谷を進んでいたから、谷沿いに走るだけで幸いすぐに追いつくことが出来た。気配を殺して近づき、よきところで崖の上からじっとながめる。走ってはじっと眺め、眺めては走った。それを我慢強く繰り返していると、ふと、霧から頭の上の方が露出し始めた。
 伊作は木の枝に乗った状態で足を止めた。じっと目を凝らす。
 霧の中に浮かぶ、二つの目が丸く飛び出た独特の頭の形、ぶつぶつした皮膚、茶色っぽい体。
 それは、どう見ても、蛙だった。
 本当になんでもない、ガマガエルである。それがとにかく、ばかに大きい。小山ほどもある。
 蛙の顎から下は霧が濃くてよく見えないが、なんとなく賑やかな気配がある。下にはもっとたくさんの何かがいるのかもしれない。蛙の頭に目を戻す。大きさのせいで肌のぶつぶつなどがはっきりと見えて、ちょっと気持ち悪い。
 伊作は蛙の観察を中断して、蛙を見下ろせる崖沿いの場所をくまなく見渡した。
 ——乱太郎の姿はなさそうだ。
 それから、蛙の向こうの崖に何か模様があることに気付いて、じっと目を凝らす。そして、顔をしかめた。到底人が気軽に触れなさそうな位置に、黒い手型がべたべたと無数についている。
 ——まずいなあ。後輩たちを早く探さないと、本当に危うい気がする。
 たまに、あるのだ。
 何か良くない場所に入り込んでしまう事というのは、ある。
 忍務中に、戦場で人を手当てしている時に、夜の移動中に。『そういうこと』はあるものだと、伊作は認識している。しかし、昼日中に、しかも後輩を連れている時にこうなったのは初めてであったし、いくらなんでも規模が大きかった。
 気味の悪いものを見るにつけ、焦りが強まる。一年生から三年生の、伊作から見ればまだ幼い後輩たち。彼らのしたたかさを信頼していないわけではないが、それでも、
「早く合流しないと」
 小さく口に出した。
 見えない蛙の足元の賑やかな気配が気になるが、あの時乱太郎が自分の目を盗んで崖を降りたとは考えにくい。もう離れるかと伊作が腰を浮かせたとき、蛙の動きが止まった。
 おや、と思った伊作は、自分も足を止める。
 その瞬間、蛙の目が、明らかにこっちを向いた。
 ——まずい!
 すぐに気配を消す。
 伊作は素早く、霧の中に身をまぎれさせた。




 ——◆七 猪名寺乱太郎

 乱太郎は、伊作を探している。
 いや、伊作ばかりでなく、はぐれた全員を探して、歩いている。
 歩きながら、乱太郎は周囲を見渡した。見渡しても真っ白なだけなのだが、そのうちひょっこりその霧の中から保健委員の誰かが顔を出してくれないかと思う。
 ここにいてと言った伊作は、見る間に霧で見えなくなった。慌てて小さく声をかけても答えはなく、その背を追って進んでも、なぜか見えていたはずの橋にすらたどり着かなかった。不安になって、小声で伊作を呼びながら前に進んだ。進んでも、伊作にはたどり着かなかった。だんだん不安になって、そのうち大きめの声で呼んでも、答えは返ってこなかった。
 仕方がないので、乱太郎は歩いた。はぐれて一人になっても、不安で仕方なくても、彼は実戦に強く非常に能天気な一年は組であった。度胸と底抜けの明るさには、比類ないものがある。とにかく進むしかないと思いきれば、ただ歩くだけだった。
 山道をあてどなく、どのくらい進んだかよくわからなくなったころ、
「止まれ。何者だ」
 と、声がした。
 その声に、聞き覚えがある。
 それに、前の霧になんとなく見知った雰囲気の人影が写っていた。
「尊奈門さん……?」
 思わず口に出すと、人影はやや大げさにびっくりしたような動きをして、こちらに向かって小走りで駆けてきた。
「その声は……!」
 そう言って走り寄ってきてぽっかり霧から顔を出す。どこか親しみやすい狸似の丸っこい顔——やはり、諸泉尊奈門であった。
「乱太郎じゃないか!」
「尊奈門さん⁉ どうしてここに⁉」
「あのなあ!」
 そういうと、近づいてきた尊奈門は仁王立ちで不服そうに腰に手を当てる。
「組頭はお前たちが霧の中で何かに巻き込まれたのではと心配して霧に入られたんだぞ!」
「えっ、雑渡さんもいらっしゃるんですか⁉」
「組頭だけじゃない、山本小頭も、高坂さんも、押都さんも……
……どちらに?」
「はぐれた」
 乱太郎は真後ろにずっこけた。
「霧の方からお前たちの悲鳴がこだまして聞こえてな、最初は組頭と、山本小頭が霧に入っていかれたのだ。ところが、直後に霧がみるみる広がってきて、のまれたと思ったらあっという間に高坂さんと押都さんが見えなくなって……気づいて呼んでも返事がなかったんだ」
 そう説明しながらしゃがんで、すっこけた乱太郎の手を取ると、起き上がる手伝いをしてやる。諸泉尊奈門、基本人がいい青年ではある。
「えっ、私もついさっきそんな感じで伊作先輩とはぐれました」
 起き上がってそう答えた乱太郎が、手短に、何があったのか説明した。
 話をじっと聞いていた尊奈門は、いつになくまじめな顔の口元に手を当て、しばし考えた。
 それから立ち上がると、言葉少なに
……とにかく、みんなを探そう」
 と言って、もう一度手を出した。
 手を出された意図をはかりかねた乱太郎がきょとんとする。もう立ち上がっているので起き上がるための手は必要ない。尊奈門が「ん」と強調するように手を突き出しなおしたのを見て、やっと、手をつなごうとしていると気が付くと、乱太郎は慌てて両手を顔の前で振った。
「え? いやいや、いいですちゃんとついていきます!」
「いや、物理的につながっておいた方がいい気がする」
 尊奈門は真面目な顔で答えた。
「高坂さんも押都さんも、一瞬で連絡がとれなくなった。ここは何かおかしい。方向感覚もなんだかあやしい気がする」
 そう言われると、ちょっと心当たりがある。乱太郎は、素直に聞き入れてその手をにぎることにした。


 手をつないで、乱太郎と尊奈門はしばし歩いた。
 やがて広い河原に出ると、乱太郎は何気なく川を覗き込む。
「あ、魚がいますよ」
 そう言って、自由な方の手を出した。途端に、魚が急に大きくなり、牙をむいて乱太郎の手にかみつこうとしてきた。
 うわっと声を出して尊奈門が慌てて乱太郎を抱き上げた。だが、その時にはもう魚は消えて、さらさらと元の通りの川が流れている。
 二人は顔を見合わせた。
「ま、まぼろし……?」
……奇術みたいだな」
 首をひねったが、もはや川には魚の影もない。
 念のため、川から十歩くらい離れて、二人は一息ついた。
「なんだか、わけがわかりませんね……
「どうにか他の人と連絡をつけねばならんな……
 憂鬱な表情をつきあわせる。そこでふと尊奈門が振り返った。なんとなく、何かの気配を感じたのだ。
 やがて人影が見え、それが、
「尊奈門」
 と、短く名を呼んだ。




 ——◆八 三反田数馬

 ——例えば、と、考えることがある。
 自分がどこか出先で身動きがとれなくなったとする。そこで待機した時、仲間は自分を見つけられるだろうか。
 目の前に一緒にいた人にも見失われてしまうほど数馬は影が薄い。それは、隣で大声で話しかけても、気づいてもらえないことすらあるほどだった。
 なのにこの猪は、まったく自分を見失ってくれなかった。
 袋小路だった。せめて後輩ふたりから猪を引き離そうとして、二人とは逆方向に駆けた数馬は、逃げているうちに崖に三方向囲まれた場所に迷い込んだのだ。
 しまったと思ったころにはもう遅い。前は行き止まり、後ろには三つ目の猪が近づいてくる。ぺたぺたと、人間の素足のような足音がしている。
 例えば、例えばである。自分が一人で窮地に陥ったら、どうなるのだろう。
 誰にも見つけてもらうことはできず、一人で膝を抱えて、いつまでも待ち続ける――そんなイメージをもっていた。でも、例えば危機が迫って、待つことすらできない状態になったら? そう、いまのように。
 これ以上うしろに下がれない数馬は、崖に背をあずけた。背負っていたはずの薬草かごは、いつの間にかなくなっていた。自分の呼吸音が大きい。追い詰めるように、ぺた、ぺた、とイノシシが近づいてくる。
 猪はやはり大きかった。その顔は、数馬の顔の高さと同じくらいになるほど。
 ——こいつは自分を追い詰めてどうするのだろう。食べるのだろうか。取り込むのだろうか。
 考える数馬に、猪の顔が近づいてくる。呼吸が浅く、心臓の音がうるさい。ぺた、ぺた、と、妙な足音が奇妙に大きく聞こえる。
 猪が、数馬の顔に己の顔を近づけてきた。猪の長いたてがみがわずかに割れた。その奥に、何か見える気がする。暗い奥に、何か、それは、まるで、まるで、人の顔のような――。悲鳴も出せず、数馬は目をつぶった。
 とん、と、地面に歯切れのいい振動があった。
 きーーーーーーーっ……
 至近距離で耳をつんざくような声がして、数馬は肝をつぶした。声だ、猪の……と、直感的に思う。
 その声は、だんだん小さくなって、かすれて、途切れた。
 ぎゅっとつぶっていた目を、数馬はゆっくり開けた。
 猪が、消えている。
 ……呆然と立ちすくむ。見ると、足のすぐ先に、手裏剣が刺さっている。
 誰かの投げた手裏剣が当たって、あやかしが消えた?
 数馬がそう思ったとき、
「君は、三反田数馬くん、だったね」
 低く、落ち着いた声がした。数馬は顔を上げた。
 正面に、押都長烈が立っていた。数馬が落としたらしい背負かごを片手に持っている。おそらくもう片方の手で、手裏剣を上に向かって投げたのだ。手裏剣は弧を描いて猪の脳天に落ち……それで……
「大丈夫かい」
 数馬はへたりこんでいた。
 ——見つけてくれた。僕を。
 危うく泣きそうになって、乱暴に袖で目をごしごし拭く。それから、みじかく「大丈夫です」と答えた。
 別に、自分を探しに来たわけではないだろう。なぜここにいるのかは知らない。それでも、見つけてくれたという実感が、助かったという安堵が、数馬の全身から恐ろしい力みを奪っていった——




 ——◆九 雑渡昆奈門

「どうする」
 さらさら流れる川の前で、雑渡は陣内と顔を見合わせた。さんざん歩き回ったが、誰にも行き会うことができなかったのだ。
「いったん、情報を整理しましょうか」
 陣内はそう言った。雑渡もうなずく。
 その肩に降り積もった小雪を、雑渡がぽんぽんとはたいて落とす。


 霧の中を歩き回った結果、足跡などの痕跡はみつけた。が、保健委員さんは誰も見かけない。それでも、不自然に落ちている薬草や糸くずなどから、彼らがここにがいることそのものは間違いがないように思われた。
 岩に腰かけながら、雑渡は水を向けた。
「ここまで歩いて見つけた、道しるべになりそうなものは——
「三方囲まれて袋小路のようになった崖。そのすぐ裏にある、黒い手型がべたべたついた崖。これは、その向かいにも崖があり谷間になっていましたね。あとは炭焼き小屋に、川……
 指をおりながら、陣内が答える。
「炭焼き小屋の前には子どもの足跡があったが、途中でたどれなくなっていたね。あと、はだしで歩いたような、よろけたような変な足跡。これは人ではないかもしれない」
 雑渡は補足した。
 完全に、あやかしものの領域に入ってしまっている。子どもたちを見つけて、自分たちも外に出なくてはならないが、誰かいた形跡のある場所をみつけるばかりで、肝心のそこにいた人が見つからない。
 それどころか、歩いていると、まっすぐ歩いたつもりでも、たまに同じ場所に出てしまう。
「この霧の中では方向感覚がおかしくなる、と考えた方がいいでしょうね」
 陣内はそう言った。
「それに、霧に音を吸われるのか、小声だとかなり届きにくい」
 雑渡が答える。
 先ほど互いの体に縄を結んで二人で実験した結果、陣内の足で概ね十歩離れると姿がかすみ、十五歩も離れると姿が完全にみえなくなった。それどころか、声も届きづらくなる。姿がみえなくなるともう方向が分からなくなり、声も届かなくなるから、もう一度会うのはかなり難しい。
「とはいえ、このままではらちが明かない」
 そう言って雑渡は立ち上がった。
「二手に分かれますか」
 陣内が答える。その目が、川を見ている。
 さすがに察しがいい、と思う。頼りになる部下がいる安心感は、何にも代えがたいものがある。
「分かれて川沿いに歩いてみよう。何かあったら、川をたどって戻れば、会えるはずだ」
「そうですね。川から離れる時は十歩以内の間隔で道しるべをつけ、つねに川に戻れる道を確保するようにすれば……
「ああ。川を起点にして、どうにか探索できるはずだ」
「先ほどの件もあります。幻覚なりあやかしものが現れるかも」
「注意を払おう」
 てきぱきと決めると、特にためらいもなく雑渡は川上へ、陣内は川下へ、それぞれ歩きはじめた。




 ——◆十 川西左近

 左近は、泣きたい気分になっていた。
 伏木蔵が見つからない。
 それどころか、数馬ともはぐれて、さっきの炭焼き小屋にすらもどれない。
 そして、目の前にはいかにも好々爺という笑顔を満面にはりつけた、腰の曲がった老人がいる。
 たぶん、おそらく、さっき地面が崩れる前にみた、まんじゅうを食べた老人だ。それが、わざとらしく笑顔をうかべて、左近の目の前を動かない。
 沈黙に耐えかねた左近が、「……ええと、ひどい霧ですね」と言った。なんとなく不安だった。皆を探しに行きたいが、それを目の前の爺さんに言うのを、本能が止めている。ただの老人ではない、と思わざるを得ない。不気味すぎる。
「困りましたな」
 張り付けた笑みで内心が見えない老人が、急にはっきりした声でそう言った。
 左近はあとずさった。
「そ、そうですね」
「ひとつあなた、私に薬をわけてくれませぬか」
「薬……? 霧、は、関係なく? 何の薬ですか」
 わけがわからず尋ねる。老人の口の端が、にいっと吊り上がった。
「生き胆ですよ」
 口角が、耳に届いてしまうのではないかと思われた。
「生き胆を、あれをすすりますとな、こう、力がみなぎって……
 もう無理だった。なんの肝か訊きもせず、左近は走り出した。怖い。絶対、まずい。
「やあお待ちくだされ、どうか薬を分けてくだされ」
 川西左近、まだ低学年の卵とはいえ、忍者の端くれである。
 毎日の授業でランニングもあるし、なにより健康的な子どもであり、走り回ることに難はない。そして、相手は腰の曲がった老人である。いくら子どもといえど、逃げ切れる。……はずであった。
 それなのに、老人はついてきた。腰が曲がっているとはとても思えぬほど、足が速い。
「お待ちくだされ、薬をどうか」
 本気で逃げる左近に余裕をもって追いつき、張り付けたような笑みを向ける。腕をつかまれそうになったのを、左近は必死にふりはらった。方向を変えてさらに走る。
 濃い霧の中でやみくもに走ったからだろうか。岩の横を曲がったところで、左近は急に何かにぶつかった。
 はじめ左近は、それを太い木だと思った。だが反射で閉じた目を開くと、それは忍び装束を着て、伏木蔵を肩にかついでいた。
 大木かと思うほどの体幹で、ぶつかられても微動だにしなかったそれは、驚いた顔をした、高坂陣内左衛門であった。
「先輩⁉」
 高坂の肩の上から伏木蔵が声を出す。
「伏木蔵! それに、あ、あなたは」
 戸惑う左近と後ろから来る老爺を見て、状況を一瞬で理解した高坂は左近を空いている方の手で担ぎ上げた。そしてまた風のように走り出す。
「おや、もうし、薬を」
 さすがに、高坂の速さには、老人はだんだん引き離された。それでもしつこく追ってくる。
……あ」
 高坂の肩の上で、伏木蔵が何か思いついたような声を出した。
「なんだ、何か策があるか?」
 そう言った高坂に、
「策というほどのものではないんですが……
 と言って、伏木蔵はふところから大きなまんじゅうを取り出した。
「ああ! それ!」
 左近が指さして声を出す。
 伏木蔵はうなずく。さっき乱太郎が投げたのと同じ、朝しんべヱにもらったおまんじゅうだった。
 伏木蔵はそれを、自分たちから老人を引き離すように、すこし横にずれた場所に向かって、投げた。
 あっという間に、老人はころがったまんじゅうに飛びつくと、すさまじい勢いと形相で食べはじめた。
 顔を傾けて横目でそれを確認した高坂が、気味悪そうに顔をしかめる。彼はさらに速度を上げた。
「なんじゃ、生き胆ではなかったわい」
 そういうと、老人はまたこっちを見た。そのころには、高坂は木と岩とを飛びついで、霧の中に消えていた。
「もうし、どうか薬を……
 老人の声が、まだ異様に通って聞こえてくる。
 ある程度離れると、高坂は速さより音を殺す方を優先したようだった。本気を出して音を殺した彼の足元からはほとんど音がしない。左近はその足元を、目を丸くして眺める。すこし走ったところで、高坂ははっとした様子でさらに速度を緩めた。
「見ろ」と二人に声をかける。
 視線の先に、炭焼き小屋があった。
 三人は顔を見合わせる。降ってきた雪はここではすでに一寸ほどつもっており、先ほどとすこし景色は違うし、もう数馬もいなかったが、しかし間違いなくさっきの炭焼き小屋だ。
 三人は、小屋のうら手の張り出した屋根の下に、ともかくも落ち着いた。