芹沢亀吉
2026-01-10 09:57:10
12543文字
Public 風刺
 

2025年12月8日

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算121話目。女性が全裸になる場面もありますよ(白目)。


 綸言汗の如し、要するに一度体外に出た汗が二度と体内に戻ることが無いのと同じく皇帝、天皇が発した言葉は取り消したり改めたりは出来ないということ。横堤が人間を辞めた途端に「皇国義勇軍」に投降しろと言った自分の言葉を取り消したのは何処の誰だったかな。

「陛下、やっちゃいましょう!」

 それぞれの首がシーモ、スキュラを狙い灼熱の炎を吐く双頭の大蛇。シーモは頑丈な身体に物言わせ灼熱の炎の直撃に耐え、スキュラは瞬発力の高さに物言わせ灼熱の炎を躱す。

「タラバガニ!何時までも朕から逃げられると思うな!」

 真上に飛び跳ねたスキュラを狙い灼熱の炎を吐こうとした大蛇清仁ではあるもののそのスキュラが吐いた粘糸により口を塞がれ、無理矢理炎を吐こうとしたのが見事に祟り頭部全体が破裂した。

「陛下、陛下、天皇陛下ぁ!ま、魔物共ぉ!よ、よくも、よくも陛下を!」

 大蛇横堤が怒りに任せ吐いた灼熱の炎はシーモが吐く超低温光線に押し負け、頭一つが破裂したばかりの双頭の大蛇はあっという間に全身が氷漬けに。魔物である大蛇横堤が吐く灼熱の炎など巨神、即ち神であるシーモにとっては取るに足らない攻撃に過ぎない。間髪入れずにスキュラが着地時の衝撃を利用して全身氷漬けの大蛇を粉々に粉砕した。シーモ、スキュラを地上に呼び寄せた強い邪念の根源が文字通り粉々に砕け散った瞬間である。

 さて読者の皆様の中には全裸男楠木がどうなったのか気になった方もいることだろう。実のところ大蛇横堤が灼熱の炎を浴びせようとした途端に崩れてきた瓦礫の山に飲み込まれるも、奇跡的に瓦礫の隙間に逃げ込むことが出来て何とか生きていた。そして双頭の大蛇を撃破したばかりの2体の巨神の目の前には瓦礫から這い出てきたばかりの全裸男楠木の姿が。

「化け物共、よぉく聞け!この楠木の全裸には聖なる力が宿っている!さぁビビれぇ!至高の愛国者であるこの楠木に許しを乞うんだ!」

 この全裸男、一体何を言っているのやら。

 不意にシーモが立ち上がり、空に向かって超低温光線を吐いた。本国のアメリカ軍が都心に向け発射したトライデント II D5核ミサイルを狙ったのだ。ホワイトハウスは在日アメリカ軍がほぼ壊滅したのを受け核攻撃を決意したとはいえ、超低温光線の直撃により核ミサイル自体が無力化され失敗に終わった。核爆発の直撃に耐え得る程頑丈なシーモではあるものの、自分ほど頑丈ではないスキュラを気遣い核ミサイルの無力化を選んだのである。

「おい!白トカゲの化け物!何処を狙って吐いている!?やはりこの楠木が怖くて狙えんのだな!至高の愛国者であるこの楠木の裸体が放つ強い力にビビッているのだな!可愛い奴だなぁ、グハハハハ!」

 スキュラが口周りに生やした触手をうねらせ何かの合図を送ると、シーモが静かに頷く。一旦振り上げた前脚を素早く振り下ろし大笑いに夢中の全裸男の全身をグチャグチャに潰したスキュラ、丁度人間が蚊を叩き潰すのと同じ感覚である。スキュラもシーモも全裸男楠木を全く恐れていない、読者の皆様はそれぐらい最初から百も承知だろう。

 ホワイトハウス内の大統領執務室ではビル・タネン合衆国大統領が項垂れている。楠木に負けず劣らず男尊女卑思考が強いタネンはまだ女性の合衆国大統領がいない中女性の日本国首相が出現したことに腹を立て、CIAを動かし全裸姿の横堤と楠木が醜く罵り合う様子を全世界に公開、楠木が「皇国義勇軍」を率い決起するのを容認し横堤内閣打倒を画策とやることが実にえげつない。そんなタネンが項垂れているのは横堤内閣が瓦解したのを見計らって在日アメリカ軍を動かし「皇国義勇軍」を叩き潰しそのまま日本を占領下に置く計画を大蛇の怪物と化した横堤と清仁、そして2体の巨神に邪魔されたからである。

「大統領、2体の巨大生物はどちらも地中に姿を消したとのことです。」