芹沢亀吉
2026-01-10 09:57:10
12543文字
Public 風刺
 

2025年12月8日

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算121話目。女性が全裸になる場面もありますよ(白目)。


 大蛇清仁がそう叫ぶや否や、他の皇族連中が全員死亡した上みるみるうちに全身が朽ち果てていく。どうやら大蛇清仁に精気を吸い尽くされた模様。壬申の乱、早良親王の変、浅原事件、南北朝の動乱等古来より皇室内部の諍いに端を発した戦乱、事件は数多く、清仁自身長年にわたり実弟義仁と対立し続ける中他の皇族全員への不信感を募らせていた。本来1945年8月の敗戦時に解体しておくべきだった皇室が大蛇の怪物と化した清仁、即ち今上天皇により事実上壊滅というのも皮肉な巡り合わせよ。

「天皇陛下、貴方様も超人になられたのですね!」

 先程清仁に見限られた絶望と屈辱により大蛇の怪物に成り果てたのに、その清仁が己とほぼ同じ姿形になったと知り歓喜と横堤の忠皇ぶりは見上げたもの。ただし先程灼熱の炎を吐き「皇国義勇軍」を壊滅させた際には逃げ遅れた大勢の民間人を巻き添えにしていて、彼女の忠皇ぶりは民間人を「虫けら」と見做す非道ぶりと不可分なのはまず間違いない。

「最早自衛隊など必要無い、在日米軍も。横堤よ、朕とそなたで新たな日本を創ろうではないか。」

「天皇陛下の仰せのままに。この横堤政美、新たな日本を創るため働いて、働いて、働いて、働いて、働いて参ります!」

 まだ高支持率だった頃にも同じことを言い過労死遺族から抗議の声が寄せられたというのに大蛇横堤ときたら。

 つい先程まで皇居だった一帯に地響きが生じ、地中から巨神が2体現れた。オウムガイを彷彿とさせる胴体から蜘蛛状の脚を6本生やすスキュラと、雪のように白い鱗が全身を覆う四足歩行の爬虫類然とした姿に後頭部から尾にかけ瑠璃色の結晶状の刺を背中にびっしり生やすシーモである。この2体の巨神は邪悪な気配を察知し地下空洞世界からやって来た。





「天皇陛下、魔物が2体現れました!早速征伐し新しい日本への贄としましょう!」

「よくぞ申した横堤!魔物共!我らの力を見よ!」

 何と大蛇横堤と大蛇清仁が融合し双頭の大蛇に。その双頭の大蛇が全身から発する強い邪念を2体の巨神はすぐさま感じ取り、自分達を地上に呼び寄せた邪悪な気配の主が今目の前にいると正しく理解している。

「横堤!朕はあの蜘蛛みたいなタラバガニみたいな方を討つ!」

「それでは私は白トカゲの方を!」

 スキュラ、シーモを攻撃する気満々な双頭の大蛇に水を差すかのように四方八方からトマホーク巡航ミサイルが飛んできた。続けざまに無人攻撃機の大群も都心に押し寄せ、ありったけのレーザー誘導爆弾、ヘルファイア対戦車ミサイルを発射した、双頭の大蛇並びにスキュラ、シーモを狙って。そう、在日アメリカ軍が武力行使に踏み切ったのだ。

「アメ公!天皇陛下とウチが新しい日本創るの邪魔するんは許さへんでぇ!」

「横堤、魔物退治は後回しだ!まずは米軍を殲滅しようではないか!」

「御意!」

 双頭の大蛇はそれぞれの首が灼熱の炎を吐き、押し寄せる無人攻撃機の大群を次々撃墜していく。2体の巨神もまずはアメリカ軍の方を片付けるべきと考えたのか、スキュラは素早く飛び跳ね長い脚による殴打に加え口から吐く粘糸により、シーモは長い尾による殴打に加え口から吐く強烈な冷気を帯びている銀白色の光線により無人攻撃機の大群は勿論トマホーク巡航ミサイルの大群も撃破した。なお双頭の大蛇も2体の巨神も全身に爆弾、ミサイルが複数発直撃したにも拘らずこれといって負傷はしていない。

「魔物共、米軍殲滅に協力してくれたことに関しては礼を言う。だが朕が既に貴様らをこの世から消し去ると決めた以上今更それを取り消すわけにはいかん。古来より綸言汗の如し、と言うからな。」