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燈 ともしび
2026-01-09 19:50:56
18040文字
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ぎゆさねオメガバ【破れ鍋アルファーに綴じ蓋オメガ】
ぎゆさねでオメガバースを書きました。
キ学軸。アルファー🌊×オメガ🍃
格好良い🌊さんも🍃さんもいません。独自設定モリモリです。
🍃さんが子ども産んでやる等発言します。また2人の子どもの描写がさらっとですが出てきます。
大丈夫でしたらよろしくお願いします🙇♀️
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不死川とデートする度にこっそり日記を付けた。一緒に行ったお店のショップカードとか菓子の包み紙とかを貼って、そこに楽しかった記憶を書いた。
今の時代にそんなアナログな、と思われるかもしれないけれどとても楽しい。一ページ埋まる度に不死川との絆が強まっていく。
そんな思い出ノートが三冊目に進もうかという頃、キメツ学園の来年度希望が確認される時期となっていた。キメツ学園は理事長の方針で早くから働き方改革や多様化に力を入れていたので、他の学校よりも職員の希望が通りやすい。今年は担任と体育担当と剣道部顧問を担当していたので目が回りそうなくらい忙しい一年だった。さて来年度はどうするか。
思い起こせば忙しくはあったけれど、同時に充実していた一年でもあった。体力には自信があるし、来年度も今年度と同じ希望を出そうか。
不死川とのんびり俺の家でデートを楽しんでいた時、不意にそのことを思い出した。不死川は今年は担任と数学担当をしていた。来年度はどうするんだろうとつい気になった。
「俺は、来年度は時短で担任無し、部活顧問無しを希望しようかと思ってる」
大きめのマグカップで温かいお茶を飲んでいた不死川からは予想していなかった返答が返ってきたので驚いた。
「え
……
」
不死川は今年と同じか、もしくは俺と同じように部活顧問もやりたがるかと思っていたのだ。付き合い初めの頃にそんなことを言っていた記憶もある。それなのに時短で担任も顧問も無しなんて、体調に問題でもあるのかと俺は慌てた。
「ばーか。ちげェってのォ」
驚いたり心配したり、ひとり百面相をしていた俺の頬を不死川は両手で挟み込むと軽くぱちんと叩いて笑う。
「
……
約束しただろ」
「え」
「この鈍ちんがァ
……
テメエの、冨岡の子どもを俺が産んでやるって言ったァ」
「!」
「思い出したかよ」
くすくすと笑う不死川はご機嫌だ。でも俺はあまりの急展開にさっきよりも落ち着かなくなってしまう。
「し、なずがわ! そ
……
それはその」
「俺は身体が頑丈だし人よりも体力はあるほうだが、流石にあれこれやりながら妊活も出産も育児もって全部は出来ねェからなァ。それに中途半端にやりたくないんだわ、全部」
「育児は俺もやる! いや、やりたい!」
不死川の両手を握りしめて即答すれば、不死川はとうとうお腹を抱えて笑い転げてしまった。
「そう言うと思ってたァ」と。
だから、冨岡を選んだんだ。俺を一人にさせないって信じてたしなァ。
そう言われて泣きたくなった。
俺は俺がこの世で一番大切で大好きな人に信頼されている。それは落ちこぼれだと自覚のある俺にとってなによりも幸せなことだった。
ずっと。
ずっといつ渡そうか考えていた。一番良いタイミングを探っていた。一世一代の大舞台。
それはもしかして今なんじゃないだろうか。いや、今だろう。確実に。
そう思って慌てて寝室の引き出しまで走る。中には白いビロードの小箱。サイズはこっそり糸で測ったから大丈夫なはず。
小箱を持って不死川の元まで大急ぎで戻る。
お互いリラックスな部屋着だし、俺の部屋だし、おはぎとお茶だからおしゃれムードは無い。
でも、今。どうしても不死川に伝えたかった。
「不死川実弥さん」
ケラケラと楽しそうに笑っていた不死川は俺の真顔につられたのか同じく真顔になった。いつもみたいに笑って欲しいと思ったが仕方ない。俺も緊張して心臓が口から飛び出そうなのだ。
深呼吸をしてから小箱を開け、不死川に見せる。
「俺と結婚してください。貴方を一生大切にします。ずっと俺の横で笑っていてください。俺はそれが何よりの幸せなのです」
咬まずに言えた。でも緊張し過ぎて泣きそうになる。不死川はびっくりした顔のまま動かない。
断られたらどうしようか。そんな心配が込み上げてきた頃。
「ばか
……
言われんでも俺が冨岡を一生幸せにすんだよォ。冨岡の隣が世界で一番安心する場所なんだから」
そう言って不死川が俺に抱きついてきた。首すじに抱きつかれているから鼻を啜る音がよく聞こえる。
不死川は泣いていた。
「言っておくけど嬉し泣きなんだからなァ」
涙声なのに出てくる言葉がそれで俺も笑ってしまった。でもきっと俺の声も涙声になっているに違いない。
「
……
不死川、プロポーズの返事を聞かせて欲しい」
「
……
ちょっと待て」
え、まさかこれで断られるパターンが? 血の気が引きそうになっていたら、こちらに指を向けた不死川が怒りながら反論する。
「ちげえってのォ! ちょっと鼻かんでくるから待ってろ!」
その後、ティッシュを取って豪快に鼻をかむ。そして紙屑をゴミ箱に投げ入れると今度は左手を俺に差し出してきた。
「入らなかったら殺す!!」
豪快にかむから不死川の鼻の頭が真っ赤になっていた。
でも、その顔も世界で一番可愛くて愛おしい。
震える指で不死川の左手を取り、薬指に指輪を通すとぴったりとハマった。
糸で測る方法を教えてくれた宇髄に感謝しかない。不死川に先にプロポーズした怨みはこれで帳消しにしてやろうと思う。まぁ、宇髄は振られたけどな。
左手をじっと見ていた不死川は、それを色んな角度に動かして眺めて、そして俺が一番大好きな笑顔を見せてくれた。
口を開けて豪快に笑う顔だ。
「冨岡義勇さん、俺をずっと笑わせてろよ。答えはイエスだ。結婚する」
「うん。ありがとう」
俺はもう一度不死川を抱きしめながら、やっぱり涙が止まらなくて。情け無いと思いながらも、でも愛する不死川が俺を選んでくれたのだからもっと自分に自信を持たなくてはと考えていた。
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