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燈 ともしび
2026-01-09 19:50:56
18040文字
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ぎゆさねオメガバ【破れ鍋アルファーに綴じ蓋オメガ】
ぎゆさねでオメガバースを書きました。
キ学軸。アルファー🌊×オメガ🍃
格好良い🌊さんも🍃さんもいません。独自設定モリモリです。
🍃さんが子ども産んでやる等発言します。また2人の子どもの描写がさらっとですが出てきます。
大丈夫でしたらよろしくお願いします🙇♀️
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▽3
子どもを産んでやる、そう言って貰えたことはとても嬉しい。幸せだ。
でも、単なる同僚だった俺たちが番になるにはどうすれば良いんだろうか。分からないからやっぱり俺は落ちこぼれアルファーなんだ。
「冨岡は休みの日は何してんだァ?」
あの怒涛のやり取りのあと、気まずくなることもなく不死川は機嫌良くニコニコと笑い、お茶に付き合ってくれていた。
流石にあの店に居続けるのは気まずくて場所を移動しようとしたのだけれど、俺は気の利いた店なんて知らなくていきなり俺の家に誘ってしまったのだ。不死川はちょっとびっくりした顔をしただけで着いてきてくれた。嬉しかった。
誘っておいてなんだが我が家にはまともな飲み物がなく、帰りがけにコンビニに寄ってお互い好きなものを買った。不死川はブラックのコーヒーと駄菓子の小さなあんこ玉を買っていて、その意外さに驚くと共に不死川の事を知れたのが嬉しいと素直に思った。
そこから家に着いてからも、それはそれは楽しい時間だった。あまりに物が少ない俺の部屋に爆笑されたけれど、なんとかローテーブルに座ってもらえた。不死川が俺の家にいるのが不思議で仕方ないが嬉しい。どうしよう。
というか、笑う不死川がこんなに魅力的で可愛いなんて思っていなかったので俺は終始ドギマギさせられていた。柔らかく弧を描く目も口角がきゅっと上がった唇も白くふわふわな髪の毛も全てが魅力的で、俺は目の前にいる不死川をまともに見られないし、まともに会話が出来ないでいた。
つい昨日までは同僚、しかもそれほど仲良くもない同僚だった男。俺がアルファーだと思い込んでいたくらい優秀で、生徒からも職場の仲間からも信頼されている男。そんな男が実はオメガで俺の子どもを産んでも良いと言ってくれるだなんて凄いことだ。まだ好きだとまで断言は出来ないけれど、不死川に惹かれているのことは間違いない。今の正直な気持ちをお礼と共に伝えたいと思う。
……
思うのだが。
「不死川」
「なんだよ」
「あの、俺は今まで人と付き合ったことがないんだ」
「おう」
「なので、ここからどうしたら良いのか分からない」
不死川には惹かれている。でもこんな状態のまま『付き合ってください』だなんて言う資格が俺にあるんだろうかなんて考えてしまう。
俺の中では告白して付き合って、そうしてしかるべき時に結婚する。そんな流れがある。俺はたった一人を見つけたらそうしたいと思っていた。
言っても良いのだろうか。この段階でも。
はっきり言えば考え込み過ぎて分からなくなってしまっている。
すると不死川はちょっと笑い、俺が卓上に置いていた手に自分の手を重ねた。
「別に俺は次のヒートですぐ冨岡と番になっても構わねェと思っていたんだ。俺にとって重要なのは俺だけを見て愛してくれるパートナーの気持ちだったからなァ。冨岡はそこをちゃんと誓ってくれたから心配してねえ。でも、冨岡にとってはそこに至るまでの流れが自分の中であるんだろ? だからすっ飛ばされそうになっていて困ってる。違うか?」
一瞬、不死川は俺の頭の中が見えるのかと思った。それくらい言語化出来ずにモヤモヤしていたものがスーッと溶けて消えていく。やっぱり不死川は優秀な男なのだと思う。
「違わない。情け無い話だけれどその通りだ。
「別に情け無くねェっての。それは言い換えれば冨岡の誠実さの現れでもあるところだろうがァ」
俺が急ぎ過ぎていたかもしれねェ。悪い。
不死川に急に頭を下げられてしまって、慌ててその顔を上げるように伝える。俺が情けなかっただけなのに不死川に頭を下げさせるのは間違っている。
「ち、違うんだ! 不死川は何も悪くない。ただ
……
あの、その、だな」
「うん。聞いてる。だからゆっくり話せ」
今日の不死川は怒りもせず、ましてやいつものように殴りかかってこようとしないので調子が狂う。だが、そのおかげで心がまとまったし勇気が出た。
「不死川、俺とデートをしてくれないだろうか」
重ねられたままだった不死川の手から自分の手を取り戻し、今度は俺から不死川の右手を両手で包み込む。
「え
……
」
「俺は不死川に惹かれている。それは本当だ。あと俺の子を産んでやると言われたのもとても幸せだった」
そこまで一気に話すと不死川の頬がうっすらと赤くなる。
「俺たちは圧倒的にお互いのことを知らないと思う。同僚としては知っている。でも、俺は俺の大切な伴侶になると言ってくれた不死川をもっと知りたいんだ。だから今更そこからかよと思うかもしれないが、俺とデートから始めてくれないだろうか」
「
……
テメエは本当によォ」
言いたいことを言い終わったあと、不死川は俺に手を握られたまま下を向いてしまっていた。
しまった。俺はまた言葉選びを間違えてしまったか。
慌ててそんなつもりではなくて、なんて一人でアワアワしていると握ったままだった不死川の手にも力が込められた。
「アルファーらしくないアルファー。そう言われたことが多かったんだろ?」
「
……
うん」
まぁ、真実だから。否定はしてこなかった。
「もし冨岡が偉ぶってオメガを蔑むような嫌なやつだったとしたら俺は絶対に選んでねェ。そんな奴だったら心底軽蔑する。でも」
握り合った手に不死川の唇が触れる。
「冨岡は違うだろ。アルファーとかオメガとかじゃなくて、いつもきちんと相手を一人の人間として見て尊重してる。俺は自分でも頑張って教師をしているがそれでもオメガだからと下に見てくる奴はいるんだよォ。でも冨岡は出会ってから一度もそんなことをしてこなかった。ただの一度もだ。それってすげぇことなんじゃねえのかって思う」
「だから、そんな奴の番になれたのなら
……
そいつの子どもを産めたのならなんて幸せなんだろうかって思ってた」
不死川の顔はまだ赤い。そして気のせいじゃなければその瞳はうっすらと潤んでいるように見える。
「冨岡が望むのならデートでもなんでも好きなだけしてやる。二人でたくさん話してお互いのことを知って、あちこち出かけよう。
……
なァ」
「さっきは言ってなかったが、俺は冨岡のことがちゃんと好きだ」
不死川は片方の瞳から涙をひとつ落として、綺麗に笑いながら伝えてくれた。俺はそんな姿を見たら堪らなくなって思わずその身体を抱きしめてしまった。
初めて抱きしめた不死川は、思っていたよりも柔らかくて。
幸せを集めたらきっとこんな匂いなんだろうなってくらいに甘い匂いがした。
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