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kr0mm333
2025-12-28 15:44:58
16477文字
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柴チヒ①
柴×チヒ(41×20)
原作後の未来設定。
柴さんの前からいなくなるチヒロ君の話。
2月のWEBオンリーで出そうと思ってるものです。
そのうち増えていきます。
章が変わるので話を分けました。
こちらは序章から3話までで、続きはこちらになります⤵︎
柴チヒ② (
https://privatter.me/page/698141b78b01c
)
柴チヒ③
https://privatter.me/page/698c8ed1cd5cb
最終話まであります⤵︎
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27272245
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「なんやねん、これ」
ポツリと呟いた声には怒りが滲んでいた。
千鉱が柴の前から姿を消して約三ヶ月。
理由も分からず、ただ「この家から出ようと思います」という言葉だけで納得できるわけがない。
「そろそろ、普通に生きてみようと思います」と言うから信じ、安全確保の観点から柴が拠点として持っている部屋の一つに住まうことを条件に同居を解消した。
同居というか、柴が千鉱の家に居候していただけなのだが。
しかし、柴の持ち家(マンションの一室)に住まうという約束は一ヶ月もしないうちに反故にされただけでなく、普通に生きてみる
……
つまり、働くということまで嘘だったわけだ。
真顔で嘘をつくのは身をもって知っていたが、まさかこんなにあっさりとだし抜かれるとは。
予想外だったというより、千鉱の一番の理解者は自分だという驕りが敗因だろう。
握り締めたせいでぐしゃぐしゃになった便箋を開き、丁寧に伸ばして白い紙に書かれた角ばった字を何度も読み返す。
戦いが終わり、体の傷は癒えたが心がついていかないようで千鉱が上の空でいる時間が多くなっていた。
父親が殺されてから、ただひたすら目的のために走り続けてきた。その間はろくに心を休める時間もなかった。
休息をとったほうがいいのではないかと思い、かつて六平家があった場所に家を建て、二人で暮らしてきた。
襲撃の日以降、神奈備預かりになったままだった六平の土地は、薊が手を回して登記を千鉱に書き換えた。
相続人がいないという理由で神奈備が所有していただけで、千鉱という血縁者がいるのだからその土地を相続するのはおかしいことでもない。それに所在がわかるのだからいいだろう、と混迷を極める会議で薊に味方したのは、意外にも亥猿だった。
国重とは折り合いが悪かった彼は、もちろん千鉱ともいい関係とはいえない始まりだったが、いつの間にか態度は軟化していた。その一端となる出来事が柴の預かり知らないところであったらしいことは気に食わないが、千鉱に対して敵対心を向ける人間が減るのならと気にしないことにした。
二人だけの、こぢんまりとした家。
しかし鍛刀場はなく、建てなくていいのかと聞いてみても千鉱は「俺には、まだ早い気がして
……
」と曖昧に笑うだけ。
戦ってきたのはたった一年だったが、その間は気にしている暇のなかった真実。
妖刀、二十万人もの命を奪った蠱、剣聖と自分の血縁ーー戦いが終わったあと、余裕ができたことでそれを考えてしまうのは仕方のないことかもしれない。
柴はそんな千鉱と共に過ごしながら、心に折り合いをつける時間と、心身の回復を最優先にして深くは触れずにきた。
時間と、戦いの最中に出会った仲間たちが会いにきてくれていたおかげで千鉱が笑えるようになり、やっと年相応の青年として暮らせるようになった頃。
千鉱が家を出ると言ったのは、日差しは暖かくとも風は寒い、春先のことだった。
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