朔文小説まとめ

朔文の短めの小説(最大でも2000字)をまとめました。





【生きている輪郭】


「ね、ふみちゃん」

背後から優しく柔らかい声が包み込んだ。考えるよりも先に、声の方向へ身体を向き直すのと、頬に少し冷たい手が触れるタイミングは同じだった。
すり、と愛おしそうに顔の輪郭をなぞるように指が伝っていく。

「どうしたの、さく」
「ふみちゃんが生きているのを確認してる」
「何それ」

文花ふみかが不思議そうに小首を傾げると、つられて長い黒髪もさらりと揺れた。朔叶さくとはその姿を眩しそうに、目を細めて見つめていた。