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もち粉
2025-12-21 00:57:41
22379文字
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起死回生ヒロイン―クラノム家家宝由緒書き―
カブミス クラノム姉弟
※ホルム姉の名前を「フロル」と捏造しています
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「で、結局どうなったのさ、あのあと」
後日。
ホルムの家を訪ねてきたカブルーにお茶を出してやりながら、ホルムは尋ねた。
カブルーは真面目な顔を保とうと努力していたが、目尻には隠しきれない喜びが滲んでいた。
「
……
実はね、これをもらったんだ」
そう言って、シャツの襟元から銀のチェーンを取り出す。
先には小さな指輪が通されていた。
「指輪?」
「指輪はフロルがくれたやつ。ミスルンさんには、このチェーンをもらったよ。『いつも身につけておけるように』って」
カブルーは少し照れくさそうに笑う。
「フロルに買ってもらっちゃって、カッコつかなかったけど
……
。いずれ、俺から"本物"を贈らせてほしいって言ったよ。
あと、もう他の人とデートしないって約束してもらった」
(はいはい、デレデレだね
……
)
ホルムはカップを口に運びながら、静かに心の中でツッコむ。
(
……
きみが今、とろけそうな顔で見てるその指輪の代金、半分僕のお金なんだけどな)
ああ、懐が寒い。
ホルムは全く隠さず盛大なため息をついてやった。
◇◇◇
一方その頃。
「
――
うそでしょ」
フロルの悲鳴が、通りに響いた。
テーブルの上には、黒いベルベットの箱がひとつ。
中には、繊細な細工のネックレスとイヤリングのセット。プラチナの台座に細かなダイヤが散りばめられ、ダリアの花のような深紅の大粒のルビーを彩っている。
見るからに高価で
――
どこからどう見ても、謝罪と感謝と気まずさの入り混じった贈り物だった。
添えられたカードには、優雅な筆致でこう書かれている。
「貴女の機転と優しさに、心より感謝申し上げます。
――
ミスルン」
「
……
ミスルン様って、さすが字も綺麗なのね
……
じゃなくて!」
腰を抜かしたまま、フロルは頭を抱える。
「な、なにこの値段わからない系謝罪品!? 絶対高いでしょ!? 売ったら家が三軒くらい建ちそうなレベルじゃないの!?」
そう叫んで、フロルはもう一度、床に倒れ込んだ。
窓の外、午後の日差しはやけにまぶしかった。
「これは、職場で見せびらかすには向いてないわね
……
」
――
後世、このネックレスとイヤリングはクラノム家に家宝として伝えられた。
しかし誰もその来歴を詳しく知る者はおらず、古代精霊術の研究者だった先祖が、西方に渡った際に親しくなったエルフから贈られたのではないか、と語り継がれている。
(了)
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