ロマン君がぬくぬくとしたお布団から出て行きたくなくてうだうだする話

BLではありませんがこの生産ラインではマーロマ(順不同)も生産されています


 その後もその何かは頻繁にボクの夢を訪れた。健全な男子大学生の夢だというのになんで色気のない夢だろうか。人の生活を滅茶苦茶にするならもっと気分が良い滅茶苦茶な仕方にしてくれ。アニメのように。出来れば深夜にやっているアニメのように。
 睡眠剤の類を飲んで眠りを深くすることなどの手段を講じても望む結果が得られなかったので、ボクは熟慮の末に夢を極力気にしないことにした。所詮夢は夢である。少し気分が悪いこと以外は現実生活にさして実害はない。

 例えそれが玄関のドアノブをガチャガチャと鳴らそうが、或いは部屋に勝手に入り込もうが、部屋の中を彷徨こうが、必死に寝たふりを決め込み掛け布団を頭の上まで被ったボクを見下ろしている気配がずっとしようが。寝るのには差し障りない。
 アレが何なのか。何故ボクを見るのか。全ては疑問というか黒もやに包まれているが気にしても仕方がないことがわかったのでもう気にしないことにした。
 そう決めて仕舞えばあとは気が楽だった。夢は夢なのだ。アレも好き勝手すればいい。同居人が増えたと思えば諦めもつく。ベッドの下を見られるのだってもう怖くはない身の上だ、少しばかり部屋を徘徊するくらい流してやろう。
 だかしかし、もしもパソコンやタブレットを勝手に起動する日が来たらその時は——、温厚なボクも流石に意を決して決闘に臨むことになるだろう。だが今のところそれを試みる気配はない。あの侵入者はもしかしたら機械音痴なのかもしれないな。幸運だ。電子派に鞍替えして良かった。何をとは言わないが。
 そういうわけで夢を見るが故の眠りの浅さには悩ましいところがあれど、その程度で好条件の今の部屋を諦める気にはなれずに、ボクは今日も快適な一人暮らしを続けている。少しばかり不穏なのは愛嬌と思えばいい。
 不穏な夢ほど意外と吉兆だったりするし。

 ——信じるわけではないが、気にはなったのでなんとなしに夢占いなるもので今のボクの現状をスマートフォンで検索してみる。適当に開いたサイトは部屋に誰かが勝手に入ってくるのは人間関係に何かしらのイベントがある時という持論を述べていた。根拠はなんだろうか。ないだろうなぁ。人間はいつだって誰かに出会って別れる生き物であることを除けばの話だが。このサイトを最後までみたらより典型的なテンプレでいいねだのなんだのを押せという催促をされるのだろう。
 でも、「大学進学直後の新生活だからそんな夢を見る」というのは、ボクの現状の落とし所としてはそう悪くないのではなかろうか。じゃあそれを採用ということで、いいご縁をよろしく。