匣舟
2025-12-14 18:40:59
16321文字
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おかしといたずらどーっちだ?

秋リクエストで頂いたハロウィンパーティーをするいちは乱です。
更新系で進めていきます!遅くなってすみません!


A.い、いたずらするぞ?

金乱喜

 パーティーが始まってから机の上にあるお菓子をもぐもぐとハムスターがひまわりの種を詰めているように頬を膨らませながら食べている乱太郎は、とある机に置いてあった何かを見つけて手に取っている最中であった。
このチョコレートなに……?」
よく見つけたね、乱太郎。」
「あ、金吾。」
 乱太郎がとある机に置いてあるヘンテコな形をしたチョコレートを見つけると、金吾も後からやって来て、そのチョコレートを見つけた。
金吾はヴァンパイアの仮装なんだね?」
「あ、うん。」
 いいなあ、女装じゃなくて。私なんか見てよ。シスター服だよ?とその場でスカートで円を描くようにクルクル回っている乱太郎に金吾は災難だったね。と苦笑いを零しながら自然に乱太郎の口元についているお菓子のくずを拭った。
 乱太郎のその姿かわいいね。似合ってるよ。という言葉は飲み込んで。それを知らない乱太郎は首を傾げて、どうかした?と金吾の顔を覗き込んだ。
ううん、いや、なんでもないよ。それより、そのチョコレートは喜三太の手作りじゃないかな?」
「喜三太の?」
 喜三太さ、結構週末にナメさんに似せたお菓子を良く作るから。これもそうじゃないかって思ったんだ。と金吾は少し虚ろな目をしながら喋っているのを見た乱太郎は慰めるようにポン、と金吾の肩を叩いた。多分、その喜三太のナメさんに似せたお菓子を作って食べる役目なのは乱太郎の隣にいる金吾だったのだろうと瞬時に察したからだ。
すごいねぇ、喜三太。触覚まで再現してるよ……。」
本当、だよね。」
「二人とも、何してるのぉ〜?」
「あ、喜三太だ〜!」
 噂をすれば影がさすとはよく言ったもので、喜三太の話をしていたら偶然にも本人が目の前に現れて、乱太郎と金吾は顔を見合せて笑って執事姿に仮装した喜三太を見つめる。
「これ、喜三太が作ったのかなーって金吾と話してたの。」
「あ、そうだよぉ〜。上手でしょぉ?」
「すっごく!」
練習の成果、だな。」
「ふふ。そうでしょ〜?」
 一つ食べるぅ?と聞いてきた喜三太の問いかけに乱太郎は頷き、金吾は遠い目をしながらも頷く。喜三太から二人分の皿を受け取って食べると、思いの外美味しくて乱太郎と金吾は目を合わせる。
お、おいしい!」
前より格段に美味しくなってるじゃないか!」
「ふふ〜ん、でしょお〜!?」
 乱太郎からはほっぺた落ちちゃいそうなくらい、美味しい……!と褒められ、金吾からはナメクジさんの形じゃなければもっとよかったんだけどね……と正直な言葉が出てしまっていた。
 思わず本音が出てしまい、口を滑らせてしまった金吾はハッとした表情をして慌てるものの、喜三太はそんなこと気にしないといった様子で笑っている。それにホッと胸を撫で下ろす金吾を見て、乱太郎は声に出さずに小さく笑った。
「も〜、金吾ったらぁ〜。またナメクジさんの可愛さをわかってもらうためにたくさんチョコレート持ってこないとだねぇ〜?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、喜三太!もう十分伝わったから、僕はもう大丈夫だから !!」
「えぇ〜?嘘つかなくていいのにぃ〜」
「本当だってば!」
 あわあわしている金吾とケラケラ笑っている喜三太を横目に、乱太郎はその二人を見て笑っている。そんな乱太郎を見た金吾と喜三太は、乱太郎が笑っている間にそっと耳打ちをし合ってとある作戦を伝えあってから乱太郎の名前を二人で呼んだ。
 乱太郎!と呼ぶとなあに?二人とも。と彼の瞳がこちらを捉える。その姿を見た二人はハロウィン定番の合言葉を乱太郎に放った。
「「乱太郎、トリックオアトリート?」」
……え?」
 乱太郎は二人が突然言い出した言葉に驚いて固まる。そんな乱太郎を見て楽しそうに笑う金吾と喜三太は二人揃ってだから〜、トリックオアトリート!ともう一度その言葉を繰り返した。
 その言葉をもう一度聞いた乱太郎はようやく意味を理解して、困ったような表情で眉を下げながら答えた。
「ごめんね。私今何も持ってないんだ……。」
 そう言って困った顔をして下を向いた乱太郎だったが、顔が上がると一瞬にしてにやり、と悪い顔をしており、なんで乱太郎が悪い顔をしているのか分からない金吾と喜三太はなんで?とでも言うように顔を見合せた。
 その二人の姿をみた乱太郎は笑って、二人へと手を広げて言葉を投げかける。
じゃあ、いたずら、してもいいよ?」
「「……え、?」」
「だ、から、わたしに、いたずらしてもいいよ?」
「「……〜っ!」」
 悪戯っぽい笑みを浮かべた乱太郎はそんなことを言った後、口元に手を当ててニヤリと笑う。まさかの乱太郎にそんな発言をされて脳内停止してしまった二人はぼーっとしているものの、乱太郎は二人が固まっていることもお構いなしに続けた。
「だから、ほら、早く?」
……は、はい。」
「はにゃ〜、乱太郎いじわるだにゃ〜。」
「ふふ〜、たまには私だっていたずらしたいもん?」
 そんなことを言われても、恥ずかしさと動揺が隠せない金吾とはにゃ〜、と言いながらも少し照れている喜三太は両手を上げて万歳のポーズをすると乱太郎はクスクスと笑いながら二人に近づき、そしてその二人へ近づいてぎゅうっと抱きしめた。
 それに対して金吾は慌てふためき、喜三太は大胆だにゃ〜。と言いながらも笑っている。
「みて、喜三太、金吾の顔真っ赤になってる。」
ほんとだぁ〜、」
「み、見ないでくれないか二人して。」
「どうしてぇ〜?」
「真っ赤な金吾かわいいもん、ね〜?」
「ね〜?」
……っ!二人ともからかわないでくれよ……!!」
「「からかってないよ〜?」」
「二人揃って同じ言葉で言い返さないでくれっ!!」
 あはは!怒ってる金吾もかわいいねぇ〜?と二人で笑い合う乱太郎と喜三太を見て金吾はむぅ、と頬を膨らませるものの、二人の嬉しそうな顔を見ると怒ることも出来ず、そのままされるがままになってしまったのだった。