匣舟
2025-12-14 18:40:59
16321文字
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おかしといたずらどーっちだ?

秋リクエストで頂いたハロウィンパーティーをするいちは乱です。
更新系で進めていきます!遅くなってすみません!


A.くれたけど、いたずらしなきゃ!

兵乱三

……みんな楽しんでるなあ。」
 自分の不運で当たったシスター服を着ながらみんなから少し離れた位置で机の上にあるお菓子をもぐもぐと椅子に座って食べている乱太郎の後ろに、二人の影が近づいている。
「ら〜んたろ〜ッ!」
「うわぁっ!」
 勢いよく飛びつきすぎてガタガタ!と乱太郎の座っていた椅子が後ろに倒れそうになったが、抱きついてない方のもう一人が危ないなあ〜。と言って乱太郎の椅子を支えたお陰で倒れずに済んだ。
「も〜、三ちゃん。そんなに勢いつけたら乱太郎びっくりするし、倒れちゃう寸前だったよ?」
「あはは〜、ごめんねぇ、乱太郎。兵ちゃん支えてくれてありがと〜。」
 乱太郎の事を未だに離さずに抱きついている三治郎に、兵太夫ははぁ〜。とため息を零しながら彼を剥がす作業に入った。
「なんで〜?もっと乱太郎に抱きついていたいんだけど?」
三ちゃんばっかりずるいでしょ、僕にもやらせて。」
 二人のやりとりを黙ってみていると、兵太夫によって引き剥がされた三治郎が、兵ちゃんずーるい!ぶーぶー!と口で言いながら後ろに一歩下がった。そして、入れ替わりで兵太夫が抱きついてきて乱太郎をぎゅ〜っと三治郎よりも強い力で抱き締めた。
「ちょ、兵ちゃくるし、」
「助けた上に僕のこと、待たせたんだからこれぐらいじゃないと〜。」
 三治郎より長い時間抱きついている兵太夫に、だんだんとムスッとした顔になってきた三治郎は耐えられなくなったのか乱太郎に抱きつきに来た。
 その結果、サンドイッチの真ん中になるように乱太郎が二人に挟まれていて、二人とも満足げにしているが、この構図はなんとも妙である。シスター服を着ている乱太郎に両側から抱きつくナース服を着ている兵太夫と、狼男に変装している三治郎。
 ふたりとも苦しいよぉ〜。と言ってもどちらとも乱太郎を抱きしめる手を緩める気配はなく、逆に、苦しいならほら、こっちにおいでよ。と腕を引っ張られてしまい、バランスを崩した乱太郎は近くにいた兵太夫にどさっと寄りかかる形になってしまった。
「ねーえー!兵ちゃんずるいってばぁ!」
「ふふん、さっきまで三ちゃんもしてたでしょ〜?」
 もちろん、これにより兵太夫はかなりご機嫌になり、更に乱太郎をぎゅうぎゅうと抱きしめている。逆に三治郎の機嫌はぐんぐんと低下し、三治郎の可愛い顔の頬がぷっくりと膨れ上がっていた。それを見かねた乱太郎は、三治郎のことを手招きで呼んで自分の方へ来させると、三治郎の頭を優しく撫でてやった。
 すると、三治郎の顔がみるみる明るくなり、衣装だと分かっているはずなのに後ろの狼のしっぽがフルフルと犬のしっぽのように振られているように見えた。こういうところがやっぱり三治郎は可愛いよなあ。と思いながら三治郎の事をめいいっぱい撫でていると、それを見つけたのかぐいっと兵太夫の方に引っ張られてしまった。
 ちょっと、今は僕のターンでしょ。と兵太夫に耳元で囁かれて、乱太郎は思わずビクッ!と反応してしまった。その反応を見た兵太夫はニヤッと笑い、悪戯をするかのように耳元で話しかけてくる。
「ねぇ、乱太郎。トリックオアトリート?」
 突然乱太郎の前に降りかかった言葉に頭が真っ白になったが、すんでのところで自分のポケットに忍ばせてあったチョコレートの存在を思い出し、それを後ろにいる兵太夫にも分かるように手の上に置いて話しかける。
「へっ、あ、そうだ!これ、お菓子あげる!だから、悪戯しないで……?」
 悪戯するのをやめてもらおうと試みるも、兵太夫は抱きしめることをやめる様子はなく、さらに耳元で乱太郎にこう囁く。
「お菓子もらったけど悪戯はしちゃいけない決まりなんて無いよねぇ?」
 ねえ?三ちゃん?と兵太夫が言った瞬間、乱太郎が目の前にいる三治郎の顔を見るとにこり、と笑った彼の顔が自分の瞳に映った。あっ、これはまずい。と思ったときにはすでに遅く、目の前の三治郎が自分の首筋に噛みついていた。
んぅッ、ぃたッ!」
 目の前にいる三治郎のことを退かそうとしたけれど、後ろにいる兵太夫が乱太郎の両手を掴んでいるから、身動きが取れない。こんな状態で三治郎のことを突き放すことなど出来るわけがなく、そのまま彼からのいたずらを受け続けるしかなかった。
ん、これでいいかなぁ?」
 やっと三治郎が首筋から口を離したと思えば、そこには噛まれた跡がしっかり残っていて、こんなものをみんなに見られるわけにはいかないと慌ててシスター服の首筋の服をたくし上げようと首を隠そうとするけれど、今度は後ろにいる兵太夫が乱太郎の髪を横にかき分けた。
「三ちゃんのだけじゃ足りないでしょ、ほら、こっち向いて。」
兵太夫に無理やり彼の方へと振り向かされ、今から兵太夫に何をされるのか分からなくて目を瞑ってしまった乱太郎の首に今度は兵太夫の唇が触れる。それはただ触れるだけではなく、肌を吸われていて、時々、チリッとした痛みが走るたびに思わず声が出てしまった。
「ん、っぃッ!」
 痛いのもそうだが、みんながいる場所でこんなことをされているという羞恥心が勝ってしまい涙が出てしまいそうになっている乱太郎を見てないのか兵太夫の行為はまだ続く。
「へ、へいちゃ……、も、じゅうぶ、ん、でしょ……ッ!」
 涙目になっている乱太郎を見て、兵太夫はそそくさと離れてニコニコと笑い始めた。
「ふふ、乱太郎これはね、治療だよ?」
「ち、りょう……?」
「だって、今の僕の姿はナースだもん。さっきの三ちゃんの行為を治療してあげてるだけだよ?」
 怪我してる所を治療するのはナースの役目でしょ?と悪びれもなく言ってくる兵太夫に、怪我をさらに上乗せするナースが居るもんか。と言いたかったが、何をされるか分からないので乱太郎はため息をこぼすしか無かった。
うん、わかった、治療はもう終わったんだよね、ならさ、」
 手、離してくれない?と遠慮がちに聞くも、兵太夫は離してくれる気配がない。それどころか、こてんと頭を乱太郎の首元に乗せてきている。
 三治郎の方はと言うと、二人の方をにたりと微笑んで見つめている。その三治郎の笑顔に嫌な予感がした乱太郎は、兵太夫を振り払おうと身を捩ろうとするも、手を掴まれているため出来なかった。
乱太郎、だめだよ?大人しくしてなきゃ。」
 そう言うと、兵太夫は三治郎にも聞こえるように乱太郎の耳元で呟いた。
ふふ、イタズラは終わりじゃないんだよ、乱太郎?」
「え、」
目の前の三治郎がそう言って笑った瞬間、彼が自分の首筋に顔を寄せて牙をたてていることに気づいてしまったけれど、結局、手を兵太夫に掴まれてしまっているため、どうにも出来なかった乱太郎は諦めてその行為を享受することにするのだった。
 結局、それから噛み跡と鬱血痕でいっぱいになった乱太郎の首筋を見てにこにこ顔をしているふたりはそこから一週間ほど、タートルネックを着た乱太郎に無視されることを知らないでいる。