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RonpaDearR



:(2章

大丈夫、大丈夫。

君の頑張りは、____も見てくれているよ。

私も手を貸すから、どうか。
あの憎き___を。

一匹残らず、殺してしまおうか。



先の事件が残した傷跡は大きい。
特に親しいものを失った彼らの様子は、目も当てられない程だった。

そんな状況でも、怪人物は“次なるコロシアイの動機”を与えてくる。
「そんなのいらないよ」とは、誰の呟きだっただろうか。

《誰にだって秘密の一つや二つ……あるものだよね!》

気になりませんか、あの子の秘密。隠し通したいものだってあるでしょう!とアナウンスは高らかになっている。
事件のショックも引かぬ中、更に追い討ちをかけるように。

《ね、例えば。そこの……お宝を守り損ねたキミとか》

《“防犯専門家”なんて立派な才能じゃなくって、“義賊”っていう犯罪者なこと。みんなに隠してるのは良くないんじゃないかな》

:(情報更新
【キィ・超高校級の義賊】

A・S・1《ウソ ついてたんですか どうして》

俯くキィにA・S・1は必死で訴える。いつもよりもグチャグチャとした筆致で書かれた文字が痛々しい。
キィはそれに応えない。暴かれた秘密に否定の声を上げることもせず、ただただ何かを堪えるように拳を握っているだけだった。

A・S・1《何か 言ってくださいよ》
キィ「……ごめんな」

《友情って美しいものですね!もしかしたら貴方の隣の彼らも、大悪党だったりするのかも!》

《それじゃあ頑張って!宝物は、決して手離さないように!》

――

幸雅は配られた封筒を見つめていた。その中には、現時点で生きている“誰かの秘密”が入っているらしい。
いなくなった……白澤の秘密はないらしいと聞いて、少し残念に思ったのは内緒だ。

自分は果たして、どれだけ彼のことを知れていたのだろうか。
もう少し内側に踏み込んでいれば、先の事件は起こらなかったのかもしれない、と後悔している。

新代「秘密なんて配らなくったって、元々お互いを信用してはいないのに。くだらない」
駒割「だとしても、前よりも空気悪くなってるのは事実でしょ。腹が立つわ」

閑と声擬は睨み合っている。それを見たFが「仲良しですね!」なんて言うものだから、場は更に混沌へと向かっていった。

あちらこちらがギスギスとした空気を醸し出している。純愛くんは何やらみなみに突っかかっているし、ナラズはそれを見て泣きそうになっている。アパタイトは一人そそくさと去るキィの背中を見送って、A・S・1は呆然としたままだ。

こんな時、間に入ってくれそうな才能を持つ好梦は彼らをニコニコと見つめたままだし。
……自分は大人なのだから、もっとしっかりしなくては、と幸雅は自らを鼓舞する。

溝内「まあまあ、とりあえず落ち着こうぜ。お嬢さん方……

キリキリと痛む胃を無視して、幸雅は笑顔を浮かべて見せた。

―――

D-r「それで……貴方、見たのね。わたしの秘密」
Blue:L「うん、そう 見ないと返してあげられないからさ。ま、た〜いしたこと書いてなかったから安心してよ」
D-r「……そう。今度からはその軽率な行動、やめた方がいいんじゃない。死にたくはないでしょう」

D-rの脅しとも取れる発言に、Blue:Lはカラカラと笑っている。
なんだか恐ろしい瞬間に立ち会ってしまったかもしれないな、とみなみは息をついた。

ナラズ「怖い人も、いたものdeathね……
十河「そうだね。おにいさんは、配られた封筒どこにやったの?」
ナラズ「ワレは……自分の部屋の引き出しに入れてmathよ。封印してるんdeath」

ナラズの判断はきっと正しい。けれど、疑心暗鬼の解消にはつながらない。
まあそもそも、自分のように視界が遮られている人間にとっては関係のないことなのだけれど。

F「あ!また人間さんに酷いことを言ってたんですね、そんなこと言っちゃ……ダメ、ですよ!」
純愛「キミには関係ないでしょ。ボク今あんまり気分良くないからやめてくれない」
F「関係ありますよ!私人間さんのこと大好きですし!」
純愛「……キミがそう思うのと同じくらい、ボクは地球そのものが大嫌いなんだよ」

恋見「ま、まあまあ、喧嘩はやめてほしいな〜♡なんて……仲良しが一番なんだから……♡」
アパタイト「ぼくもそう思います ここで争うのは、あのスピーカーの向こう側にいる人の思い通りになるだけですし」

純愛くんがいつも通りの態度を持って、好梦に何かを言ったらしい。彼は痛い目を見てなお、その態度を変えるつもりはないようだ。
いつもであれば“またか”でスルーされるその態度は、この状況では目に有り余るものだった。

そうしてFが始めた人間談義を、純愛くんはおとなしく聞いている。
彼らを仲裁しようと腰を上げたアパタイトは、その様子を見て再び席に座った。

不安定な土台の上で、束の間の平和が成り立っている。
いつ瓦解するのかわからぬそれを、必死で支えていた。

:(そんなことしても、意味ないのに!

――――

このまま事件なんて起こらず、コロシアイなんて終わればいいのに。
キィはただただそう思っていた。

失ったものが帰ってくるわけではないのはわかっていた。命とは、簡単に取り返せるお宝ではないことは十分に知っている。
だからこれ以上誰かの大切なものが奪われるのは嫌だった。

アパタイトは見回りを続けているらしい。ならばとキィはそれを倣った。
彼一人ばかりに苦労をさせるわけにもいかない、と。人手が多ければ多いほど、事件を未然に防ぐチャンスも上がるのだから。

異常がないことを確認して、倉庫を出る。次のフロアを見て回ろう、と角を曲がって。

目に飛び込んできたのは、主人を失った車椅子だった。

――

家族のことが好きでした。

昔の思い出は、優しくって温かなものばかりだ。いつ振り返っても、それは私のことを包み込んでくれているような気がした。

思い出とは補完され続けていくものらしい。
今の状況が苦しくて暗闇の中にあればあるほど、過去とは光り輝くものなのだと聞きました。

だからなのかな、私がずっとピアノに縋り付いてしまっているのは。

広すぎる家に取り残されたものは、私とそれだけだったから。
家族も足も失って、周りが全員敵のように思えたあの時。寄り添ってくれたのはピアノだけだった。

もっとも、小さなあの子が来てくれてからは。寂しさは少しだけ薄れたのだけれど。

……ごめんなさいね。置いていかれる苦しみはよく知っているのに。

もっと警戒すればよかった。自分が弱くってどうしようもないのは気がついていたというのに。
人間ってこれだから苦手。他人のこと、平気で全部踏み躙っていけるんだから。

【2章シロ】新代閑

――⠀⠀

A・S・1は暗がりの中を歩いていた。
別に見回りをしようとか思っていたわけではない。ぼんやりしていたらありえないくらい時が過ぎてしまっていただけで。

自分の秘密は、誰の手に渡ったんだろう。そこに書かれているものはなんなのだろう。
隠していることが色々とあるからか、あまり予想ができない。大した秘密が書かれてないといいなあとは思うけれど。

……さっさと部屋に戻ろう。なんだか皆殺気だっていたような気がするし、いつ背後から襲い掛かられるかわかったものではない。

現にほら、遠くの方から誰かの怒鳴る声が聞こえるような気がするし。

A・S・1は、その声の正体が気になった。恐怖よりも好奇心が勝ってしまった。

喧騒はいつの間にか止んでいる。ごん、と何かが転がっていくような音が聞こえて、足を必死で動かした。

青色が付着した階段、その下の踊り場には。

大きくなった“友人”の抜け殻が、転がっていた。

それから、こちらを呆然と見上げる__の顔を見て。
A・S・1は、どうするべきかわからなくなった。

―――

愛ってとっても素晴らしいものだと思わない?

人間誰しも、自分の命は大事だと思うの。
死にたくない、苦しみたくない、辛いのは嫌だって思うのは、普通のことでしょう。

だからこそ、その大事な命すら捨てて、誰かを守ろうとするのってすごく……すご〜く!素敵なことだと思うの!

だからね、このコロシアイで。みんなの“愛”をたくさん見れてあたし結構幸せだったな。

音寧ちゃんがいなくなっちゃったのは寂しいけど。大事な人守るために頑張ったんだからあたしが泣き言言うわけにはいかないよね。
すずめちゃんを守れなかったのは残念だと思うけど、ほら。愛には試練がつきものっていうでしょ?

ね。みなみくん。閑ちゃんがいなくなっちゃって、いまどんな気持ちかなあ。
あたしに教えてよ。それが知りたくて知りたくってしょうがないの!

貴方の愛をあたしに見せて。

【2章クロ】恋見好梦

―――

恋見「あたしが殺したのは、閑ちゃんだけだよ♡Fさんのことは、……うふふ。もうみんな気がついてるんじゃないかな?♡」

罪悪感など欠片も滲ませず、好梦はとある人物へと目を向ける。
いつもならギャアギャアとやかましかったその子は、まるでものを言わなくなっている。

一番の違いは、その周囲に浮かぶ黄色い物体だろうか。

駒割声擬の見た目をしたそれは、ただこちらを見つめている。

―――⠀⠀

誰にも知られたくないことがありました。

キャトルミューティレーションって知ってる?
家畜が宇宙人に連れ去られて、内臓とか血とかを持ってかれちゃう恐ろしい現象のこと。

それを人間にやったらどうなると思う?
中身をまるっきり入れ替えられて、血の色が赤から青に変わったとしたら。

私は“地球人”なのかな。それとも、あなたとおんなじ“異星人”?

そんなこと聞けるわけもなくて、ずっと隠してきたのに。
あんたが私の秘密を見ちゃっただなんていうものだから。掴みかかっただけ。

まあ、死んだのは私の方だったみたいだけれど。

【2章シロ】駒割声擬

―――⠀⠀⠀

彼女がどうして僕に掴みかかってきたのか、どうして動かなくなってしまったのか。
全然わかりませんでした。

人間さんのことは大好きです!無性にハグしてあげたくなりますし。
難しい話は置いといて、ハグは人間にとっても多幸感を生み出す行為なのだと聞いたことがあります。

だからね、悪くない話でしょ!

ぎゅっと優しく、あなたを抱きしめさせてください。
……おかしいな、なんで返事をしてくれないんだろう。

彼女が“もう二度と動かない“とわかりました。
それが悲しくって、辛くて。どうかもう一度動いて欲しいと思ったんです。

ね。皆さん。嬉しくないですか?どうして、そんな顔してるんだろう。

人間にとって、再会とは嬉しいものなんじゃないですか?死んでしまった人間がもう一度動いてくれるのは、幸せなことだって。
僕、何か間違ったことをしましたか。

教えてください。どうしてそんな目で見るんですか。

知りたいんです。それだけなのに。

【2章クロ】F

――――

裁判もオシオキも終わった。
同時に二つの事件が起きるだなんて、誰も……あの怪人物ですら予想していなかったらしく、動揺が見てとれた。

だから、大切なことを見落としてしまっていたのかもしれない。

アパタイトはぽつりとつぶやいた。

アパタイト「D-rさんの姿が見えませんが どちらに行ってしまったんでしょうか」

彼あるいは彼女は、裁判に現れなかった。
それに触れられることもなく、裁きの時間は終わってしまった。

怪人物は答えない。沈黙を守るのみである。

――――⠀⠀

Dーrは目を覚ます。いつの間にか意識を失ってしまったのか、とパチリと瞬きをした。
薄暗い天井は見慣れないものだ。

それに、こちらを見つめる顔も知らないものばかり。

コロシアイの黒幕に近づけた、と思ったらこれだ。なんだか嫌になってしまう。
思わず身じろいで、そこで違和感を覚えた。

Dーrは自らの体を見下ろす。

そこには。