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ユキ
2025-11-01 21:49:51
7802文字
Public
🌙🎏
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月鯉小ネタ詰め合わせ
ふせったーや🦋のツリーに投げていた小ネタ詰め合わせ
いかがわしい雰囲気のものにはパスワードを付けています
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『誕生日』
「...ただいま」
外から電気がついていないことは確認しているがもしかして、という期待と共に開いた扉の先の真っ暗な廊下と一組のサンダルを見て少しだけがっかりする
自分もそうだが、彼もこの時期忙しいのは分かっている
分かってはいるし、週末会う約束もしているが
ノロノロと靴を脱いで手洗いとうがいを済ませ部屋の電気をつけるとまだしまう予定の無いこたつの上に一枚の紙が置いてあることに気がついた
飛んでいかないように置かれていた土産で🌙に似ていたからと貰った犬の置物をのけて紙をつまみ上げる
整った文字で書かれていたのは祝いの言葉と冷蔵庫に食事を用意している、というメッセージ
(......来てくれてたのか)
なんで待っていてくれなかったのか、というちょっとした不満を自分が帰るのが遅かっただけだろうとなかば無理矢理飲み込んで冷蔵庫を開けると、ラップに包まれた皿の上に大きなまん丸のおにぎりと鍋に入ったままの味噌汁が入っている
🎏のことだからもっと誕生日らしいものだと思っていたのに、と意外に思いながら鍋を火にかけて温め直す
風呂は食べてからでいいだろうとジャケットとネクタイだけ外して時々鍋をかき混ぜながらおにぎりもレンジで温め、少し温めすぎた味噌汁を椀によそう
じんわりと伝わる熱にほっと息が漏れる
「いただきます」
返ってくる言葉がないのがやっぱり少し寂しかった
すっかり空になった皿と鍋を水に浸して風呂も済ませた後携帯を手に取った
食べ終わってから送ったメッセージに返信が来ている通知にアプリを開く
お疲れ様という労いと三度目の祝いの言葉に思わず笑ってしまう、少しだけ入れたアルコールのせいかふわふわした思考のままちょっとした不満をこぼしてしまった
『一緒に食べたかったです』
既読が着いた後しばらく何も返ってこないことに一気に頭が冷える
慌てて謝罪と弁明の言葉を送ろうとした時ポコンと緑の吹き出しが増えた
『顔を見たら帰りたくなくなってしまうと思って』
その後にしょぼんとした顔のごめんねスタンプが送られて来たのを見て思わず受話器マークを押した
「🌙?どうし...」
「すみませんでした」
「......ん?」
「わざわざ来てくれたのに、こんなこと言ってしまって...」
焦って何度も謝罪していれば軽い笑い声と気にしてない、という声に体の力を抜く
機械越しに耳元で響くくふくふという楽しそうな笑い声に
あぁ会いたかったな、と思う
「🎏とさん」
「んー?」
「...金曜日の夜会えませんか?」
土曜日に出かける約束をしてはいるが、早く会いたいという気持ちから聞いてみたが、うぅーんという声の後「やめておこう」と思いがけず断られて思わず大きな声をあげて驚いてしまった
「いや、あのな?土曜日出かける約束してるだろ?」
「はい...だから前の日からうちに泊まってくれれば」
「......泊まったらするだろ?」
その言葉にぐっと言葉が詰まる
今までにも何度か次の日予定があるのに止まれなくて出かけられなくなったことを思い出した
ぐぅぅと唸る自分に笑いながらじゃあ土曜日に、と告げる🎏に自分でも分かるほどしょげた声ではい、と返す
「......🌙しまぁ」
「はい?」
「土曜日、いろいろ準備していくからな」
「?はい、楽しみにしてます」
「...夜の」
「............は?」
通話が切れた携帯を呆然と見つめる🌙が🎏に会えるまで、あと三日
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ジリジリとした焦燥感を抱えたままなんとか仕事を終え土曜日を迎えた🌙
待ち合わせは11時だが、家でじっとしていることが出来ず早めに家を出て待ち合わせ場所に着くと、そこにはいつも時間通りに来る🎏が立っていた
クリスマスに貰った腕時計を確認するがまだ時間までは一時間以上ある
時間を勘違いしていただろうかと慌てて🎏の元に駆け寄るとさっきまでの真顔で近寄り難い雰囲気が嘘のようにぱぁっと笑顔を浮かべ🌙!と名前を呼ぶ🎏に、にやけそうになる顔をキュッと引き締める
「遅れてしまってすみません」
「私が早く来すぎただけだから気にするな...いつも🌙が待っていてくれるが、うふふ、これはなかなかいいな」
楽しそうに笑う🎏はとても可愛いが、待っている自分のところに駆け寄ってくる🎏を見るのが楽しみなので、次からはもっと早く来ようと密かに決意していると
「🌙しま、誕生日おめでとう」
「!はは、それ何回目ですか......ありがとうございます」
「こういうのは何回言ってもいいものだろう」
もう一度、おめでとうと柔らかく笑いながら言祝ぐ🎏が本当に、泣きそうになるくらい綺麗で
🎏が毎年、こうやって嬉しそうに祝ってくれる度に、自分の誕生日は良い日なのだと、そう思えるようになった
「🎏とさん」
「んー?」
「ありがとうございます」
「......ふふ、うん」
少し潤んだ目を誤魔化すためにスマホを取り出してこの後どうするか考える
買い物をしてから🎏が予約してくれた店で夕飯を食べる予定だったが、時間はあるしどうするか
🎏に何かしたい事はあるか聞こうとするとくんっと服の裾を引かれた
「......なぁ、🌙しまぁ」
ホテル行かないか?
ばっと顔を🎏の方に向けると恥ずかしげに俯く赤く染まる顔
ちらりと上目遣いで見てくる目の中に渦巻く欲が垣間見えてごくりと唾を飲み込んだ
「......いいんですか」
こくり、と小さく頷く🎏の手を取って足早に歩き出す
予約の時間まで、後八時間
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